学生×中国株=付加価値

学生×中国株=付加価値


もはや飛ぶ鳥落とす勢いの中国株式市場。
世界中が注目する渦中に飛び込んだその先には何があるのか。
日・韓・中の学生が中国株投資を通して得たもの、それは――。


【日本人学生×中国株=オトナへの一歩】
「お子ちゃまでしたね。上海に来てお金に興味を持つようになるまでは」。と、はにかんだ笑顔で話すのは、財経大学3回生に在籍する藤岡耕三さん(22)だ。
落ち着いた話しぶりの藤岡さん。いくつもの学生サークルの代表を務め、学業と合わせて多忙なスケジュールをこなす。彼が中国株投資を実際に始めたのは2006年3月だ。そこからおよそ1年で、元手は約2倍となった。
勝因は、2006年初めにそれまで数年間低迷を続けていた中国株市場が底を打ち、そこから急速な右肩上がりの成長を遂げた市場のおかげもある。しかしそれ以上に、投資を始める以前の周到な準備が、この結果をもたらした。
 そもそもお金に興味を持ったのは、ある1冊の本がきっかけだった。50万部を超えるベストセラーとなった「ユダヤ人大富豪の教え(本田健著)」だ。「幸せになるには?」、「お金持ちになるには?」どうしたらいいかを考えさせられた。そしてビジネスの勉強が必要だと気づく。ビジネスの勉強には投資がいい。本の中のススメを行動に移した。
中国株関連の本だけでなく、投資に関して先進的なアメリカの著書を中心に何冊も読み込んだ。ウォーレン・バフェット、ジム・ロジャーズ、ピーター・リンチ…。投資のプロである彼らの哲学を吸収し、実際の投資に踏み切るまでに、2年を費やした。
投資での大きな失敗はまだ知らない。運がよかっただけだという人もいるかもしれない。ただ、人になんと言われようと、株式投資の経験が、彼を「お子ちゃま」から脱皮させたのは紛れもない事実だ。
自身の留学さえも「投資」。卒業後の目標としている金融関係への就職の布石ともなった投資経験は、これからも彼を後押しし続ける。

中国株がくれたもの

【韓国人学生×中国株=投資は博打じゃない】
 上海財経大学大学院に在籍する韓国出身の金正杰さん(28歳)は、学費を全て自分でまかなっている。その資金源は株投資で得た利益だ。
 彼の目が、中国株にぐっと向くのは、2005年。当時、うなぎのぼりの今と違って中国株は低迷を続けていた。「その頃は4年連続で下落してたんだよ。発展はしてるのに、これはおかしいと思って目をつけたんだ」
 といっても、それまでには紆余曲折があった。「元々は地道に働くタイプだったんだ。株投資なんて博打と一緒だと思ってたし(笑)」。その言葉どおり、韓国ではアルバイトに尽力。しかし、稼げるお金はたかがしれている。そこで起業を思い立つ。「蘇州(最初の留学先)の名産タピオカを、韓国で安く売ろう!」と、韓国に戻って始めたのが貿易会社。ところがこれが1年で破産。それでもめげず、再びアルバイトに精を出し、再度中国へ。本科生として留学中、今度はピザチェーンを目指す。「ピザの作り方? 韓国で修行したよ。1日だけど(笑)」ただ、これも軌道にはのらなかった…。
起業も難しい…そこで株に目が向いた。韓国語の資料を探すものの中々見つからず、やっと見つけたのは1冊のみ。さらに、韓国系証券会社で中国株を取り扱っているのも1社だけだった。問い合わせてみるものの、口座開設費用が余りにも高く断念。最終的に自力で中国系証券会社の証券口座を開設し、自分の勘だけを信じて2万元を投じた。「もう投資じゃなくて博打! 何にも分かってなくて、ちょっと下がるだけでも慌てふためいてた(苦笑)」
 これは勉強が必要だ。そう気づいた彼は、前述の韓国系証券会社を直撃訪問し、インターンを直談判。総経理から「要らない」といわれるも食いつき、採用してもらった。そこで雑用をしながら、情報収集に努め、多くの実りを得た。そして気づいたことがある。「株式投資は博打じゃない。綿密な下調べの下に、長期的に保有するつもりで購入すれば、恐れるリスクはぐっと軽減されるってこと。まぁ、僕が始めた時は完全に『博打』だったけどね(笑)」
 卒業後は、インターン先の証券会社に就職するつもりだ。今後も自分が信じた銘柄とともに歩み続ける。


【中国人学生×中国株=経済を学ぶ実践ツール】
 初対面でも開放的。自信のみなぎった顔は輝いている。そして、気配りを忘れない。20歳の于遊さんは、設立わずか1年弱で会員数900名を超える大規模な株式投資研究サークルのトップに立つ、財経大学の2回生だ。
 同校で、最大にして最初の投資サークル。株投資を始めるきっかけはそのまま、設立のきっかけとなった。「上海ではみんな株式投資してて驚いたよ。故郷の山東省では全然だったからね。ただ、やりたいと思っても学校では実践的なことは全然教えてくれないし。なら、学べる場所を作ろうって仲間と始めたんですよ」
 初めは数人で投資の勉強。投資の神様・バフェットなどの本を読み漁り、互いに情報を共有し、投資関係のセミナーにも積極的に参加した。どんどん情報を集め、実践への準備を着々と続け、投資の勉強を進めていった。その一方で、実践に向けて投資資金を日々の節約生活の中から少しずつ貯金。親に頼るつもりはなかった。そして貯めた数千元で2007年初めついに投資スタート。学んだ成果を発揮し、確実に資産を伸ばしていった。
 彼の投資の目的はシンプルで「目的は金稼ぎじゃない。勉強です」と言い切る。そうして、投資が経済を学ぶ実践的なツールになることを体感した後、サークル会員数が爆発的に増加する起爆剤となったあるイベントを企画する。それが「高校生のデモトレード大会」だ。ただ、開催に必要な資金は試算の段階で8万元。周りは無理だと言って諦める者が多かった中で、彼は「お金がないなら集める」と、ひとりスポンサー探しを始めたのだ。
 その後1カ月でコンタクトをとった企業は100件以上。「興味を示してくれても、本気じゃない。みんなできると思ってないんですよ」それでも、「不可能はない!」という信念を曲げず、ある企業の出資を得るにいたる。学生ひとりの動きに10万元以上の援助を惜しまなかったこの企業の協力もあり、2007年4月の開催にこぎつける。大会は参加申込み期間3日間で約7000人が申し込み、大成功を収めた。中国の主要メディアの取材もあった。「卒業後は就職しません。金融関係で起業します」。株式投資を通じてスタートした今の活動は、将来へのステップとなるに違いない。

今更聞けない! 中国株Q&A


自分もいつかは始めようと思っているものの、中国株ってそもそも何? 基本を知って1歩進もう!

Q1.中国株って何ですか?

 中国には証券取引所が3つ存在する。それが上海証券取引所、深セン証券取引所、香港証券取引所。これらに上場している銘柄を総称して中国株と呼び、それぞれ異なる銘柄を持つ。また、上海、深センは「本土市場」、香港は「香港市場」と呼ばれる。

Q2.外国人が投資できない株って?

 外国人が投資できるのは、外貨建ての上海B株、深センB株、香港株。外国人は元建てとなる上海A株、深センA株を基本的に取引できない(一部認可企業除く)。ただ、A株の規模、銘柄数は香港、B株市場よりも圧倒的に大きいので、外国人投資家から開放を求める声が高まっている。

Q3.いくらから購入できるの?

 まず前提として、A株とB株は100株~、H株なら100株~20000株と最低購入株数が決まっている。1株あたりでは、A株なら数元、B株なら数角というものもあり、銘柄によっては100元あれば取引できる。ただし、証券口座にいくら入金しなくてはいけないかという各社異なるデポジットのルールがある場合が多いため確認しよう。

Q4.日本にある日本の証券会社は利用できるの?

 通常、日本の証券会社は日本国内の居住が条件となるため、海外居住者が利用するのは原則として難しい。中国在住者が中国株投資を始める場合は、中国現地の証券会社で口座を開設するのがベター。

Q5.日本語で取引できる?
 中国現地の証券会社の場合、基本的に中国語となる。数字や社名など口頭の場合、伝え間違うと大変なことになる上、業界の専門用語もある程度知っておく必要があるので高い語学力が要求される。オンライン取引でも同様だ。また、英語対応可能なところもあるが多くはない。

Q6.証券会社ってどうやって選ぶの?
 選ぶ際に重要なのは、取引したい株を扱っているかどうか。上海B株、深センB株、香港株のいずれかのみ取り扱うところもあれば、全て取り扱うところもある。HPや電話で確認しよう。電話確認の場合、H株は「港股」と伝えるとA株と間違えられない。
 そしてさらに大切なことは、証券会社からいかに有意義な情報を得られるかである。それは各証券会社のリサーチ力や、担当者のレベルに拠るところが大きい。ただ、ここでも中国語が必要となる可能性が高い。

Q7.証券口座ってどうやって開設するの?
 B株のみの場合と、香港株も取引する場合とで異なるので各証券会社に問い合わせよう。一般的な流れは右図の通り。

Q8.銘柄ってどうやって選ぶの?
 後に成果をあげられるかどうかは、ここにかかっていると言っても過言ではない。資産運用を行う機関投資家の場合、有望な銘柄をピックアップしたら、これらの会社の業績、その属している業界の動向、将来の経営ビジョンなど、ありとあらゆる視点から、慎重に判断をして、売買の決断を下す。中国株だけでなく、投資についての心構えを学ぶことも大切だといえる。

【監修】武内隆明氏
TNC(拓知)ソリューションズ・総経理  
欧米や日本での投資関連キャリアは20年以上。証券業務の取扱いはないが、月5万円以下でできるファンドなど個人投資の相談から、日本企業へ数億円を超える投資を行う上海市の投資関係者まで、幅広いアドバイスを行っている。
takeuchi@tnc-cn.com

※これらの情報は、2007年12月現在のもので、今後変更される可能性があります。また、中国株のリスクについては責任を負いかねます。

~上海ジャピオン12月21日発行号より

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