台北で一番古いエリア
台北へのフライトは3時間くらい、朝出発してお昼着です。台北桃園空港からはエアポートバスで市内へ。1時間で「台北車站」駅に着きます。
まずはMRT板南線(青のライン)で「龍山寺」駅へ。ここから隣の「西門町」駅にかけて、2011年の映画『モンガに散る/艋舺』のロケ地が広がっています。映画は高校生の男子4人がマフィアの抗争に巻き込まれていく、というストーリーですが、少年たちが友情の狭間で苦悩する姿が嗚咽モノ。「モンガ(艋舺)」というのは万華区一帯の古い呼称で、公園や幹線道路の名に残ってますね。台湾はここから広がっていったんだそうです。
駅の北口を出て康定路を北上し、広州街との交差点「剥皮寮歴史地区」へ。その昔、木材の皮を剥く作業場だったそうですが、映画ではマフィアの親分の家が置かれました。撮影後はセットを一般公開していたとか、僕もその頃訪れたかったです…。
また康定路を北へ進み、重要なシーンが撮られた「艋舺清水巌祖師廟」へ。この石の柵…うぅっ、ゲタ親分~。あ、危ない、ネタバレしてしまうところでした。これ以上はお話しできませんが、ここはマストチェックポイントです。
ジェイの母校を訪問
次はMRT淡水線(赤)で北端「淡水」駅へ。駅を出て西へ歩くと、「淡水高級中学」があります。
ここは何を隠そう、あのジェイ・チョウ(周傑倫)の母校! そして07年のジェイ初監督作『言えない秘密/不能説的秘密』が撮られました。ヨーロピアンな建物、ステキ~と思ってたんですがホントに学校なんですね。おおっ、ジェイのサインが彫られた木製プレート! 「聴媽媽的話」って、後輩へのメッセージかな(笑)。わ~中庭に面した回廊、グイ・ルンメイ(桂綸鎂)ちゃんがジェイに「秘密よ」って囁くとこだ。
ジェイ経営のレストラン
学校から中正路へ出ると、2人がアイスを食べた堤防が。近くには、学生時代のジェイ行きつけのワンタン屋さんも。駅からバスで45分くらいの「白沙湾」、映画で2人乗りしてたサイクリングロードがあるけど…今回は厳しいな。再び市内へ戻ります!
MRT「台電大楼」駅で下車、目指すはジェイ経営のレストラン「MR.J藤原豆腐店」。…あった! 小ざっぱりとした居酒屋風、店内は『頭文字D』のスチールや、豆腐店の車で飾られます。メニューはカレーに串焼き…さくっと腹ごしらえ。
外へ出たらもう真っ暗。近くにあった『言えない秘密』にレコード屋さんとして出てきたカフェは、台北の北東部にある日本人街「天母」に移転しちゃったのか…。お気に入りだったのに~。じゃあちょっと離れてるけど、お気に入りパートⅡに行こう。
監督創設のミニシアター
「中山」駅2番出口から徒歩5分。前からオシャレなエリアだけど、デザイン事務所やヘアサロン、カフェが増えてますます磨きがかかってるな~。お、見えたぞ「nichinichi」の看板。「日子咖啡」は〝哈日(日本好き)〟の映画監督が経営してるんだとか。日本で買ってきたんでしょうか、雑誌「Ku:nel」のバックナンバーがたくさんあります。カフェラテをオーダー、ゆるりとした時間が流れるひと時…あっ、こうしちゃおられん、ここはあのスポットの近所じゃないか!
ダッシュ5分で着いたのは、ミニシアター「光點台北」。ここは元アメリカ大使館だったのを、著名な監督・候孝賢が買い取って映画館にしたんだそうです。併設のカフェでは、映画のタイトルを冠したカクテルも。「愛情萬歳」に「咖啡時光」…どんな味なのか知りたいけど、確かめるのが怖い。カフェ横にはショップもあって、カッコいいTシャツやフリペも。荷物増えちゃう~。
台北の1ページを繰る
そしてついに、華西街夜市へ! 市場の入口…ああここ、4人組で何度も通った! 抗争のシーンはほとんどここ、あの映画はこの市場ありきだったんだなぁ…。ヤギの頭とか売ってますが見ないようにして、映画観てる時食べたかった「イカスープ」を探すぞ、おー!
夜もとっぷり更けました。実は、深夜になるのを待ってぜひ行きたい所があるんです。それは…「誠品書店 敦南店」!
ここは2010年のジャック・ヤオ(姚淳耀)、アンバー ・クォ(郭采潔)主演作『台北の朝、僕は恋をする/一頁台北』で、2人が出会う場所なんです。フランスへ留学した恋人を想い、夜な夜な書店でフランス語の勉強をするジャックに、書店員のアンバーちゃんが話しかけるシーン…映画同様、みんな立ち読みならぬ〝座り読み〟状態ですね~。深夜2時まで営業してるんですが、さすが〝宵っ張りの街〟、老若男女が集っています。日本語の雑誌やマンガも豊富です。
映画から生まれたカフェ
日が変わって、お次は『台北カフェ・ストーリー/第36個故事』のロケ地に参りましょう。「台北松山機場」の南、閑静な住宅街の一角にある「朶児咖啡館」。実はここ、映画のために作られたんです。劇中では、グイ・ルンメイちゃんが妹と2人で経営してました。撮影終了後もそのままカフェとして残され、甘いもの好きな僕の心を鷲掴みにする日替わりスイーツから、インテリアまでそのまま。感動です!
最後は、王道とも言うべき観光スポット「故宮博物院」で締めましょう。ここが舞台になったのは『時の流れの中で/経過』という作品。これもまたルンメイちゃん作品なんですが…偏ってますね。博物院は所蔵品が多すぎて一度に展示できず、限られた人だけが入れる倉庫に眠っているそうなんですが、ミステリアスでしょ? 倉庫ってどこなんだろ?
さあみなさん、お次は香港ですよ!
SOHOエリアから
香港での宿は「重慶マンション」。『恋する惑星/重慶森林』で金髪の女がいた所です。カオスな雰囲気に惹かれますね。
…カオス過ぎたので、お隣のホテルに変更。荷物を置いて出発! まずは『傷だらけの男たち/傷城』で有名なSOHOの「Staunton’s ワインバー&カフェ」へ。「中環」駅を出て、皇后大道中と閣鱗街の交差点から坂を上ります。2階のテラス席、劇中で金城武とトニー・レオンが話し込んでいたテーブルに通されました! ラッキー☆
時が止まった茶餐庁
カフェ横の「ヒルサイド・エスカレーター」は『恋する惑星/重慶森林』の要ポイント。トニー・レオン演じる警官のアパートは、エスカレーター沿いにあったはずなんだけど…どこだろ(笑)。上りしかないので、横の階段を歩いて下ります。
斜め向かいには、同作OPが撮られた建物、隣の「上環」駅近くには『インファナル・アフェア/無間道』で潜入捜査官の密会場所「粤海大廈」と、ロケ地密集ですね。
次は、モンコックエリアに移動。ジョニー・トー監督の『PTU』などであまりにも有名な茶餐庁「中国氷室」! ローカル市場の中、目当ての席は埋まっていたので、地元のおじさんに混じりミルクティーでしばし休息。映画ではドンパチがすごかったんですが、今は時間が止まったように穏やか。
夕食は『花様年華』と『2046』のロケ地「金雀餐廳」で。「銅鑼湾」駅から入り組んだ路地を入り…遠くから見える外観だけで、僕もう涙出そう。ここ超老舗なんですよね、年配のウェイターさんばかりなんて、今どき珍しいです。オーダーはもちろん「花様年華」と「2046」セット!
ふー、1日で堪能した~♪
~上海ジャピオン2014年9月5日号