〝爆買い〟消費額は過去最高
中国国家観光局によると、今年の春節休暇期間中の訪日中国人観光客数は過去最高、45万人を記録。
しかし大きな話題となったのは、その人数ばかりではない。彼らが日本で消費した額は、なんと1080億円超。
ちなみに昨年を通しての消費額は約5500億元というから、今年はおよそ2週間で昨年の4分の1を消費したことになる。
消費額の多くを占めたのが〝お買い物〟。日本のメディアでは〝爆買い〟と呼ばれ、思い切りの良い買い物っぷりが注目された。
さて、彼らが買い物に選んだエリアはどこなのか?
①新宿
日本一乗降者数の多い駅、と言われる新宿駅付近は、ビックカメラにヨドバシ、さくら電気と電器店が集中する。
そう、ウォシュレットに炊飯器を求める旅行客にとっては、価格の比較にうってつけなのだ。
最近は中国語対応のスタッフも配置され、買い物もスムーズなのだそうだ。
②渋谷
待ち合わせにショッピングに食事にと、人種を問わず若者が闊歩する街。
カリスマ的ファッションビル・109やストリート・アーティストがたむろする代々木公園など、日本の若者文化に触れるならやはり外せないだろう。
③吉祥寺
東京23区外に位置するが、新宿以西では立川、町田などと合わせ一大商業エリアを形成。
都心部の圧迫感に比べ、おしゃれなショップやカフェがゆったりと並ぶ景観美が好まれているようだ。
④心斎橋
東京だけでなく、上海からは航空便数の多い大阪も人気の都市だ。
中でも心斎橋はデパートにモールに老舗店にと、ショッピングに絶好のスポット。
薬局は買い物天国
マツモトキヨシやダイコクドラッグなど日本のドラッグストアは日本人にとっても日常的に使う店の1つだが、外国人でもそれは同様らしい。
中国の薬局では商品がガラスケースに入っており、店員に言って取ってもらわなければならない。自由に手に取って見ることができるのも、より一層買い物の楽しみを増幅させるのかもしれない。
人気の商品は、日常使いのできる医薬品類。参天製薬の目薬「サンテ・ボーティエ」は、香水瓶のようなパッケージと、薬液自体に添加してある甘い香りが、特に若い女性を誘惑する商品だ。
続く「龍角散ダイレクト スティック」は水なしで服用でき、のどに直接浸み込むという触れ込み。ピーチにマンゴー、ミントの3つの味があり、売れ筋はピーチだそうだ。
中国では縁起の良い「龍」が商品名に入っているのも、好まれる理由の1つになってるかも?
日本人女性にも携帯必須の鎮痛剤では、エスエス製薬の「イブA錠」を求める人が多いようだ。
話を聞かせてくれた中国人女性は「クイックイブ」は即効性がある、「イブEX」は強い痛みを抑えるなどなど、使い分けも完璧なのが驚きだった。
ちなみに、近年日本で市販されるようになった「ロキソニン」は、中国でも手に入りやすい。
デスクワークが多い人の強い味方、花王の「めぐリズム」も、日中いずれからも好評価の商品だ。
アイマスクだけでなく首・肩用や足用など幅広く展開し、無香料やラベンダーなど香りのタイプも様々。身体のあらゆる部位を癒してくれる〝ヒーリング・グッズ〟のリピート率高し。
そのほか、液体絆創膏や足のリフレッシュシート、シミ取りクリームなどボディケア商品をまとめ買いして、バラマキ土産にするとか。
単価も安いので「試しに買ってみよう」という気持ちをくすぐるのだろうか。
鉄板土産にキレイグッズ
「マスカラならコーセー、アイシャドーならカネボウよ」…日本製化粧品の人気は、「資生堂」の名称が海外でも通じるところから知ることができるが、
中国人のコアな美容フリークは日本人より研究熱心、知識豊富な人もいる。
そんな人が「女子へのお土産ならこれが鉄板!」と太鼓判を押すのが、上記4品だ。
ドラッグストアのプチプラコスメと比べても値が張るし、⑦・⑧の美容機器に至っては自分用に買うのも躊躇われる…と思ったが、海外旅行で出かけた先にほしいものがあって、
自国より安く売ってるとなれば話は別。価格と販売地、この2つがそろって購買意欲に火をつけるのだ。
スタイリッシュな鉄瓶
最近、日本へ出張する友人が会社の子に頼まれた、というのが青汁。漢方も発達し健康に目がない中国人らしいセレクトだ、と頷いてしまう。
粉末タイプは軽く、箱を捨ててしまえばかさばることもないので、大量にお願いされやすいそう。
またフルーツ・グラノーラも同じ人の頼まれものだが、穀類を使った製品も身体にいいとかそういう理由かららしい。
そういえば穀物が入ったお菓子や雑穀パン、コーンフレーク類は、中国でもよく売られているのを見かける気がする。
しかもこの2商品とも、ドラッグストアで売っているし、まとめ買いすればさらに安くなったりするのだ。ドラッグストアって本当に便利な店だな…と改めて感じる。
一方、フランス人を始めヨーロッパで「スタイリッシュ」と褒め称えられ、その人気が中国にも飛び火したのが南部鉄器。
中でも鉄瓶はそのまま火にかけられるし保温性もある、丈夫で長持ちとくれば、確かに優良商品だ。
最後は炊飯器ならぬ、おかゆ器。プラグを差し込むミニタイプのものはあらゆるメーカーから出ているが、オルゴという会社のこの商品、米と熱湯を入れておくだけで電気も火も使わない。
形状も中華鍋っぽいのは狙い…かどうかは不明。
買うべきか買わざるべきか
さて、これまで紹介した商品の多くは、ミニブログ「微博」の「ホットな話題(熱門話題)」コーナーや、チャットアプリ「微信」のモーメンツにて、
実際に日本を旅行した人の買い物リストと合わせてアップされている。
中には予算と実費の内訳や購入場所、そこまでの交通費に加え、マストバイ商品、人気トップ10などリサーチ済みのものも。
ところがそればかりか、何と「買うなら中国国内でいいモノ」をまとめたリストも上がっていた! それが上記の4品だ。
必要度をよく考える
まず1つめがPSP。ゲーム機類は、モノによっては変圧器が必要となるうえ、中国で買うのと価格にもそう大差ないとのこと。
メモリーカードなど、付属品を合わせればなおさらだ。ただし、中国で発売されていないものもあるので、愛好家は別とする。
続いてはデジカメ&ビデオカメラ。家電は日本、というイメージがあったが、理由を聞いて納得。価格は中国で購入するより安く済むが、
中国で生産されていないものであれば故障時の修理が面倒になる。また説明書が日本語オンリーか、もしくは英語までの対応になるのでこれまた厄介なシロモノ…という扱いだ。
確かに修理には時間がかかり、また部品を取り寄せるのにも手間とお金がかかるのであれば、国内で買えばいいという選択になるだろう。
iPhoneが日本で先行発売されるなど、中国人が日本で購入する機会が増えた携帯電話。
しかしこれもSIMカードフリー版は値が張るし、本体のみの購入ができないか、できてもSIM契約と同時でなければやはり高くつくとか。
アップルファンを自称する男性は、待っていればそのうち国内でも発売されるし、早く手に入れたい人は中国香港のものを買うのが賢い、とのコメントをくれた。
多くの菓子メーカーが中国へ進出している今、ご当地限定品も物産展で手に入ることが多い。
それでも買う、という人もたくさんいるが、限られた持ち込み荷物量の中で菓子類の重要度は低いのでは、とのこと。買い物は賢く、とはよく言ったものだ。
故郷の味を再現
隣国で同じ米食とは言えども、似て非なる食文化を持つ日本と中国。醤油や油の味にもわずかな違いがあり、薄味の料理を作ればその差は歴然としてしまう。
もちろん上海の外資系・日系スーパーでも売られているが、価格が数割増になるうえ、日本のスーパーのようにオリジナルブランドの廉価アイテムは取り扱っていない。
帰国ついでに、まとめ買いする人は少なくないようだ。
上海との気候の差
靴や衣類も日本で買う、との回答は男女ともに多かった。理由としては「地元に気に入っているブティックがある」、「日本の流行を知りたい」。
北国出身者は「ウッカリ上海の装いで帰国して、空港で慌てて滑らない靴を買う羽目に」という人もいた。
実家に置いてあっても、空港からたどり着けなきゃ元も子もない、というわけだ。
医薬品・化粧品
「身体に合った薬を持って行ってね」。日本を離れる際、友人や家族にこう言われた人は多いだろう。
しかし帰るたびにドラッグストア通いをしてしまう、という女性によれば「新製品がたくさん出てると片っ端から買っちゃう」のだそうだ。
一方、「中国の蚊に日本の虫除けが効かない」と言う人もいた。
活字中毒に紙中毒
タブレットや電子書籍が出回る昨今でも、やはり〝紙好き〟は根強い。
大型書店の新刊コーナーに1日居座ったうえ、空港の書店でも追加購入、荷物の重量超過で罰金…なんてことのないように注意したい。
~上海ジャピオン2015年4月24日発行号