中国ゆるキャラ大図鑑

特集-01-1

日本ではすっかり定着した「ゆるキャラ」「ご当地キャラ」文化。ここ中国では「ゆるキャラ」という概念はないものの、

「マスコットキャラクター」は「吉祥物(ji2 xiang2 wu4)」と呼ばれ、イベントや企業のシンボルとして活躍している。

では「吉祥物」とは一体何を意味するのだろうか。まず「吉祥物」の変遷を見てみよう。

 古代中国より伝わる「吉祥物」の変遷

「吉祥物」とは〝幸せを呼び、邪悪なものを退けるもの〟という意味である。日本でいう「縁起物」と意味は近いが、縁起物は食べ物や踊り、歌まで含めるのに対し、

吉祥物はそのほとんどが動物や植物の実物、もしくはその偶像、絵画などを指す。

古代より、人々の祈りと幸せを願う気持ちを体現するため、吉祥物は様々なもので表現された。例えば「龍」や「鳳凰」など伝説上の生き物も伝統的な「吉祥物」であるし、

「鶴」や「松」は健康や長寿を願うシンボルとして、日本でも馴染み深い。

「吉祥物」の種類や目的が多様化するにつれ、様々な「吉祥物」が描かれたイラストも登場した。

子宝を願えば子どもの絵を、富や長寿を祈って魚や翁、松が描かれた絵を家に飾ったり、人にプレゼントとして贈った。

今でも旧正月に「福」の字や魚の絵を家に貼り出す家庭も多い。

特集-01-2

マスコットキャラクターとしての「吉祥物」

このような文化があるなかで、「マスコットキャラクター」も同じく「吉祥物」と呼ばれるようになった。確かにマスコットキャラたちは、知名度向上のためだけでなく、

イベントや企業ブランドの成功と発展の願いを込めて生み出される。そういう点では、元々の「吉祥物」と意味が共通している。

中国のマスコットキャラといえば、「福娃」と「海宝」が世界的に有名だろう。2008年北京五輪の「福娃(フーワー)」は、史上最も多い、

5人組のキャラクターで中国の歴史、伝統の素晴らしさを伝えた。また「魚」や「燕」など中国古来の吉祥物を各キャラクターに用いることで、

中国国民からも大きな支持を得た。「海宝(ハイバオ)」は2010年の上海世界博マスコットキャラだ。

名前を「Harbor(ハーバー)」に似せ上海の港をイメージし、漢字の〝人〟に似た形と青い色で、包容性と中国の潜在的な能力を表した。

このように吉祥物(マスコットキャラ)はそのイベントやブランドの意味と希望を、名前や色や形を用い最大限表現するため、

思考と吟味を何度も重ねてデザインされるのものだ。街中で見かけるキャラクターも、様々な生い立ちを持っている。

次のページからは、そんなキャラクターたちを一挙紹介しよう。

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公共機関キャラ

地下鉄やバスの広告でよく見かける彼ら。目につく頻度が多いからか、老若男女に広く愛されているようだ。

暢暢(チャンチャン)

赤と白の滑らかなフォルムに、車輪がついた足。軌道交通のキャラクター「暢暢」は、2009年に一般公募が行われ、全国各地から集まった829作品の中から選ばれた。

名前は〝歓暢(楽しい)〟、〝暢通(スムーズ)〟、〝暢想(自由に考えを広げること)〟の3つの意味を持ち、上海軌道交通の利便性と都市の発展を表している。

パオパオくん

小龍包を模した愛くるしいキャラ「パオパオくん」。日本人観光客を呼び込むため、12年に誕生した。上海市観光局の公式ウェブサイトや町歩きガイド「上海小町」に

登場するほか、日本国内での観光イベントで上海の魅力をPRしている。ローソン国貿中心店、環球中心店で購入できるグッズは上海土産として好評。

HIS主催の各種イベントでもパオパオくんグッズがもらえる。

空気宝宝(コンチーバオバオ)

空気汚染が気になるこの時期に大活躍の「空気宝宝」。表情と髪の色で空気汚染度を教えてくれる。元は環境局の職員が作った1枚のイラストだったのが、

13年の名付け投票を経て「空気宝宝」として発表された。今季は彼女が毎日笑顔でいてくれることを願おう。

 (モンワー)

女の子がかわいらしい仕草で道徳の大切さを訴え、最後に元の人形に戻る―今年の春節頃から始まったこのCMの人形は、

天津の芸術家が親戚の少女に似せて作ったもの。公共ポスターに登場後、市民に「夢娃」と親しまれ、その人気ぶりからついに動画広告が作られることになったそうだ。

特集-02-2

イベントキャラ

 毎年、市内各地で行われるイベントの盛り上げ役。元気いっぱいにポーズを決めるが、どことなくユルさが漂う。

楽楽(ラーラー)

開幕パレードや浦東世紀公園の花火大会など、大いに盛り上がる関連イベントで知られる「上海旅遊フェスティバル」は1990年に始まった。

シカの男の子「楽楽」は第1回開催時より活躍。その後、毎年デザインやポーズを微妙に変えてきたが、今年は大胆にデザインチェンジ。

あまりの激変ぶりに市民は驚き、一部ネットユーザーから奈良のゆるキャラ「しかまろくん」に似ているとの指摘が出たが、市観光局はこれを否定している。

それにしても、フェス期間中街頭に立つ「楽楽」像とは似ても似つかなくなってしまったが、来年はどうなるのだろうか。

奔奔(ベンベン)

今年の上海国際マラソン開催まで残り1カ月を切った。今年で20周年を迎える同イベントにも、「奔奔」というマスコットキャラが存在する。

彼は13年の開催日から15日前にお披露目され、翌年以降の活躍が期待されるも、その後姿を見せず現在に至る。

ちなみに07年に「奔奔」の前身で「東東」というキャラクターが登場していたが、彼も目立った活躍はなく、ひっそりと引退している。

南南・翔翔(ナンナン・シャンシャン)

 「南南・翔翔」は見た目も名前も「南翔小籠包」そっくりそのままの、なんともわかりやすいキャラクターだ。

彼らが活躍する「上海南翔小籠文化展」は毎年、嘉定区南翔鎮で催され、今年は10月28日(水)まで。期間中は歩行街に1000卓のテーブルが並び、

南翔小籠包を存分に楽しめるほか、小籠包の手作り体験や伝統工芸品の展示などを行っている。この機会に南南・翔翔に会いに行こう。

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メーカーキャラ

 何十年もブランドの顔を務めるキャラクターたち。それだけに、彼らの背景にはメーカーの熱い想いが込められている。

 大白兔(ダーバイトゥー)

上海の老舗ブランドで、「大白兔奶糖(ミルクキャンディー)」は今でも国民的人気を誇る。このウサギのイラストが登場したのは1959年。

デザインを手がけたのは上海出身の青年で、絵画が海外の展示会に出品されるなど芸術家として将来有望な人物であった。

しかし時代の混乱に巻き込まれ、同メーカー工場の一工員として働いていた時にこのイラストを作成。以降メーカーのトップデザイナーとして活躍した。

 白猫(バイマオ)

家庭用洗剤ブランド「白猫」のロゴマーク。効果線の中心に配置された、カッと目を見開いたネコはインパクト大だ。

このロゴは48年より、半世紀に渡り使用されていた。ところが2006年の企業再編に伴い、ロゴのネコもつぶらな瞳にチェンジ。

このような〝萌え〟路線へのキャラ変更は近年多くの企業で見られ、味のある中華風デザインが消えていくのはなんとも惜しい限りである。

 伊仔(イーザイ)

菓子類を販売するメーカー「来伊份」。店頭に掲げられている黄色く真ん丸な顔は、誰もが一度は目にしたことがあるだろう。

「伊仔」はこれに手足を生やしたキャラクター。クルミ国「沃」部落の妖精で、11歳の時に部落のある使命を背負って人間界に来た…という詳細なキャラ設定のもと、

グッズ販売や販促活動を行っている。

旺仔(ワンザイ)

中国台湾発の菓子類メーカー「旺旺」のマスコットキャラ「旺仔(旺旺坊や)」。陽気でのほほんとした表情とは裏腹に、彼の髪の毛や両手両足1つひとつに、

企業の希望と信念がギッシリと込められている。右手は「提携」、左手は「団結」、上向きの目線は「高収入・高成果」…といった具合だ。

旺旺坊やの全身には、35年に渡る会社の経営理念が詰まっているのだ。

海爾兄弟(ハイアーションディ)

 1985年、家電メーカー「海爾(ハイアール)」が設立して間もない頃に「ハイアール兄弟」はデザインされた。

その10年後、海爾企業集団は巨額を投じ全212編の長編アニメ「海爾兄弟」を制作。全世界を駆け巡る兄弟の冒険劇は当時の子どもたちを魅了し、

国内アニメの最高賞を受賞した。また昨年、ハイアール兄弟のイラストコンテストをネット上で開催したところ、7000点の作品と15万以上の投票があり、

兄弟が今もなお愛されて続けていることがわかる。

OPENちゃん(オープンちゃん)

コンビニ「セブンイレブン」が中国台湾と上海市のみで展開しているマスコットキャラ。中国台湾ではキャラクターショップを構えるなど絶大な人気を誇る。

キャラクター展開やグッズも豊富で、上海でも着実に人気を集めつつある。夢は故郷のOPEN星にセブンイレブンを開店し、そこの店長になることだそうだ。

天猫(ティエンマオ)

大手ネットショッピングサイト「天猫(TMall)」の新ロゴは2年前に発表された。〝T〟の文字に似せたかわいい黒ネコは、すっかり同サイトの顔である。

なお翌年、競合サイトである「京東(JD.COM)」も新キャラクターを発表、それがイヌだったので、「ネコのライバルはやはりイヌか」とネット上で噂された。

 

~上海ジャピオン10月16日発行号

 

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