プラットホーム型サービス
ここ数年で急速に拡大した中国のネットデリバリー市場。以前の店舗ごとの配送サービスから、1つのサイトでより多くの店が検索できるプラットホーム型のサービスへと移行し、より利便性が増した。配送は各店舗とデリバリー業者の2パターンがある。
主要顧客は、新しいサービスに敏感な〝80後(1980年代生まれ)〟や〝90後(90年代生まれ)〟世代。そのため、注文は持ち歩き可能なスマートフォンやタブレットなどのモバイル端末からの利用が9割以上を占める。
また加盟店は、ピザハットやサイゼリア、すき家など日本でもお馴染みの大手飲食店から、ローカルレストラン、ドリンクスタンド、コンビニ、薬局までと幅広い。最低消費金額や配送料は店ごとに異なるが、20~40元前後で配送可能なうえ、配送料が無料なところも多いので、一人前から注文できて便利だ。
オフィスワーカーに人気
続いて数ある中から、今人気のデリバリーサイトを紹介しよう。中国大手のデジタルリサーチ企業「アナリシス・インターナショナル」によると、2015年12月のデリバリーサイトの総取引額は70億9000万元。その中でオフィスワーカーは48億5000万元と全体の68・4%を占めた。なお学生は18億3000元と全体の25・8%で同年10月と比べ下降気味、オフィスワーカーの利用が伸びている。
さらに同月の各デリバリーサイトの市場占有率は「餓了麼」が34・1%で1位、「美団外売」が32・8%、「百度外売」が18・7%と続く。しかし学生に限定すると「美団外売」が40・7%で「餓了麼」を抜く。
勢いに乗る「餓了麼」
「餓了麼」は、もともとは上海交通大学の学生たちによるベンチャービジネスで、08年に創業に向け動き始め、11年から正式に運営を開始した。その後売り上げを伸ばしていき、15年12月には300都市を網羅、取引額は1億元を突破。1日の平均注文数が330万件を超える巨大企業と成長した。
サイト開設当初は時間のない人たちの需要に合わせ、ファーストフード店を中心に展開。デリバリーの需要が高く、新しい物もすんなりと受け入れる大学生をメインターゲットとしたことが功をなし、着実に顧客を増やしていった。現在は飲食店以外でも花屋やスーパーなど、加盟店を広げて新たな顧客開拓に勤しんでいる。
そのほか13年には「美団外売」、14年は「百度外売」がサービスを開始。主にオフィスワーカーをターゲットとした戦略で、市場シェア競争に拍車をかけている。では、中国デリバリー事情を簡単に頭に入れたところで、実際に注文してみよう。
公式サイトを開いて 住所検索からスタート
さあ、早速使い方をレクチャーする。まずは検索エンジン「百度」で「餓了麼」と打ち込み、一番上に出てくる公式サイト「餓了麼網上訂餐」を開こう。
トップ画面中央にある白帯左のタブから「上海」を選択し、「請輸入你的收貨地址」と書かれた欄に、配達を希望する住所もしくは建物名を入力。そのまま右の「捜索」をクリックすると候補リストと地図が現れる。地図上に噴き出しで出てくる「査看商家」をクリックすれば店選択ページに飛ぶ。なお、トップページのQRコードをスキャンしアプリをダウンロードすれば、初回注文時に最高20元の割引が受けられる。ただしアプリの場合、代金引換は不可。
検索ツールを巧みに使え アイコン表示で一目瞭然
届け先を入力したら、次は店選びだ。ここで役に立つのが画面上部に並ぶ「商家分類」だ。「品牌商家(有名店)」、「快餐類(ファーストフード系)」などで大枠を決められる。また売上、評価の高い順に並べ替えることができるほか、画面右横にある「新開商家(新店)」、「餓配送(餓了麼スタッフ配送)」などの選択ボタンにチェックを入れればより希望に合った店がヒットしやすくなる。
候補を絞ったら次は、各店の星評価や月の販売数、最低消費金額、配送料、配達所要時間を見比べよう。割引あり=減、領収書発行可=票などがアイコンで一目瞭然だ。なお星評価は基準が緩いのか、ほとんどが4ツ星以上なので参考まで。
食べたいものを探し 買い物カゴに入れよう
店が決まったら、次はメニューを選ぼう。左上の店名にカーソルを合わせると、店の評価や住所、営業時間などが表示される。
画面をスクロールして、メニューを表示させよう。食べたいものが見つかったら、ブルーのアイコン「加入購物車(買い物カゴに追加)」をクリック。すると右下にある「購物車」にオーダーした商品と金額が表示される。同じ物を2つ以上オーダーしたい時は、左右のマイナスとプラスで数量を変更しよう。
そのほか料理ごとにも評価や月間販売数がカウントされているので、参考までに。店が指定した配達消費金額を上回れば、「購物車」の右下に緑色の「去決算」が現れる。注文が決まれば、ここをクリックし次へ。
配達先データを入れて 暗証番号入力で注文完了
ここまで来たらあと一息。ウインドウ左上部の注文リストで内容を確認しよう。新たなメニューの追加は前ページに戻ってやり直す必要があるが、注文数はここでも変更可能。次に右上の「+添加新地址」を押し、名前、性別、住所、携帯番号を入れ、「保存」ボタンで次に進む。
支払い方法はオンラインと代引きの2つ。オンラインの場合、WeChat(微信銭包)、支付宝、QQ銭包、ネットバンクから可能だ。最後に配達希望時間を選択し、「確認下単」をクリック。次のページに移ると同時に、6桁の暗証番号が携帯のSMSに送られてくるので、その数字を打ち込み「下一歩」へ。「訂単己成功提交――」のページに飛べば注文完了だ。
配達トラブルを避ける 店舗情報公開で安心
支払いを済ませたのにオーダーした品が届かない…なんてトラブルを避けたい人にお役立ちなのが、配達情報のページだ。
画面上部にある「我的訂単」からマイページを開くと、そこには配達情況と注文内容一覧が出てくる。注文してからの経過時間が分刻みで表示され、予定配達時間と照らし合わせれば、おおよその時間が推定できる。
予定時刻を過ぎても配達スタッフが来なかったら「商家電話」に書かれている番号へ電話し、注文ナンバー「訂単号」を伝えて状況を確認しよう。店のスタッフ自ら配送する「餐庁配送」と、「餓了麼」スタッフの「餓配送」がある。品物が届いたら、画面右中央の「確認送達」を押してあげよう。理由は次へ。
オンライン決済でお得 評価を付けてポイント獲得
オーダーした品が届いたら終わり! ではない。おまけのステップとして評価が付けられる。前述の「確認送達」ボタンを押すと、こちらが「評価」ボタンに替わり、「商家服務」、「送餐速度」、「評価菜品」を各5段階で評価できるのだ。なお、ここでの評価は各店のオーダーページに反映される。
そしてうれしいことにオンライン決済の場合、評価をつけるごとにポイントが加算されていく。購入金額×10がポイントとなり、「積分商城」からポイントを使い、99ptでイタリア産シャンパンやエスティローダーのマスカラ、1000ptでジョバンニバレンチノの腕時計などの品と交換できる。
~上海ジャピオン2016年02月05日発行号