劉じいさんの 革製品修理専門店
受け継がれる師匠の技
80歳になってもまだ現役
手始めは、半年以上も放置していたパンプスの修理から。
ローカル修理屋は、小区の入り口付近にあることが多い。
向かった先は、淮海中路の小区内にある革製品修理専門店だ。
おそるおそる入ってみると、白髪姿のおじいさんが店先の小さなイスに腰掛けていた。
早速、末期レベルに傷んだ靴を披露すると、七福神顔負けの微笑が返ってきた。
これはいけそうだ! 一応値段を確認すると10元!!
予想を大きく下回ったので、そのままお願いしてみた。
担当は弟子の葉さん。
まずは、剥き出しになった金具を専用ペンチで抜く作業から。
取り出した道具には相当な年季を感じる。
いつからこの仕事をしているのかと尋ねると、10年前からだという。
技術は全て師匠であるおじいさん仕込みだとか。
さらに話を聞いてみると、この店は、もともとおじいさんの弟が開業した店だった。
靴が大好きだったおじいさんが1968年に受け継ぎ、
その後40年間同じ場所で弟子2人と修理屋を営んでいる。
古今を問わず、地域住民の私生活には欠かせない、服飾トラブルの駆け込み寺となっているようだ。
と、同店の歴史に耳を傾けることわずか15分。この短時間に修理も完了!
半ば諦めていた靴が、新品さながらに輝いている。
最後に、弟子の出来栄えを聞いたところ、自慢げな笑みが返ってきた。
期待を遥かに上回る実力に早くも圧倒。
次は何を試そうか。
住: 淮海中路833号
営: 7時~17時
修: 靴、ベルト、傘、洋服、チャックなど
汪おばさんの 服飾修理専門店
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すそ上げ職人8分の技
ミシンは中古の足踏み式
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ローカル修理の味をしめて、次はズボンのすそ上げに挑戦することに。
次に向かったのは、南昌路の服飾修理専門店だ。
店内には、推定年齢50歳ぐらいのおばちゃんが1人。
真剣な眼差しで、ジャケットの肩幅を直している。
客の気配に気づくと笑顔でニコリ。
早速すそ上げをお願いすると、作業を中断して見てくれた。
「どれくらい上げる? ちょっと履いてみて」と促されたが、外に面した扉や窓は開けっ放し。
その状況にたじろぎ、そこは遠慮して、5㌢でとお願いした。
おばちゃんは、すぐにズボンをアイロン台に広げて、
シューシューと音を立てながらアイロンをかけ始めた。
そして鋭い目つきで、ミシンの前に並べた50種類ほどのミシン糸から、
ジーンズの縫製に使われている糸と同じ色のものをスパッと抜き取り、ミシンにセット。
ミシンのペダルを踏み込むとダダダと勢いよく縫い始めた。見るからに古そうなミシン。
いつから使っているのかと尋ねると、「古いけど6年前。中古品だよ」と照れ笑い。
汪さんは、安徽省出身で、上海には98年から出稼ぎにきているという。
今の仕事は20歳ごろ故郷で開始。
そのキャリアを裏付けるかのごとく、すそ上げにかかった時間はジャスト8分と素早いものだった。
待ち時間なし。技術文句なし。気になる料金は、またまた10元!
次の直しもここに来よう。
そう思って店を後にした。
住: 南昌路585弄10号
営: 8時~22時
修: 裾、肩幅、チャックなど
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湯さんの ナンデモ修理店
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小区内のナンデモ修理店
温かな住民と驚きの価格
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? 前2件の成功体験を生かして、次はデザインが複雑なベルトを修理してみることに。
今回は、瑞金二路の小区内にあるナンデモ修理店に行ってみた。
店に着くと、小区の住人と思われるパジャマ姿の客でいっぱい。
まずは、主人にベルトが直せるかどうかを聞いてみる。
すると、周りの客たちが「モチのロンよ!」と口々に答えてくれた。
これは期待できると思い、ベルトを主人に渡した。
今回直したかったのは、切れて解けた三つ編みの部分。
主人はベルトをしげしげと眺めると、ボンドを取り出して、つなぎ目にチョンチョンと塗布。
そして両方をくっつけると、
「ボンドが乾くまで使っちゃだめだよ」と言いながら戻してきた。
が、肝心の三つ編みが解けたままだ。
改めて希望を細かく伝えると、「お~そうか!」という具合でやり直し。
2回目は、三つ編みから補強まで期待通りに仕上げてくれた。
集まっていたお客さん曰く、湯さんはこの敷地内に住んでいて、
18歳から修理屋をしているという。
敷地内の住人宅で何かトラブルが発生すると、直ちにみんなが湯さんを探しに来るとか。
「家の内鍵とか、トイレ詰まりとか、なんでもゴザレよね、おじさん!」
と近所のおばさんが得意げに話す。
温かな小区の雰囲気に和みながら料金を尋ねると、なんと無料!!
「彼は小さいことにはお金をとらないの、またおいで~」とみんなに見送られ後にした。
住: 瑞金二路132弄
営: 8時~日没まで(雨天休業)
修: ベルト、靴、傘、鍵など
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李おじさんの 日用品修理専門店
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明るいときは百人力
手元見えずとも修理完璧
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? 傘のつゆ先が取れて、針金がビヨーンと飛び出した傘。
もしかしたらこれも直せるかも!? と半信半疑で嘉善路にある日用品修理専門店へ。
修理屋のおじさんは、夕暮れ時で帰宅準備をしていたが、
壊れた傘を見せると、いいよいいよと迎えてくれた。
おじさんは、ジャラジャラとつゆ先がたくさん入ったビニール袋を取り出すと、
目を細めて器用に縫い始めた。
日がだいぶ落ち、手元が見えにくいはずなのに、それでもスイスイと針を運ぶ様は、まさに職人芸だ。
よくよく聞いてみると、李さんは修理屋歴13年。
年中無休で働いているとか。
曲がった傘の骨も直せるのかと聞いてみると、「明るかったら何でも直せるよ」と自信たっぷり。
今回の修理代1元を払い、次回は曲がった傘を持ってくると約束した。
ローカル修理屋は奥深い。
住: 復興中路1239号
営: 8時~17時
修:傘、靴、ベルト、など
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周おじさんの 包丁研ぎ屋
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この道一筋40年
砥石の泥が歴史を語る
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? 最後は、錆びて切れ味が悪くなった包丁を直すことに。
上海人から研ぎ屋を探すなら野菜市場がいいと聞き、復興中路の野菜市場へ向かう。
市場に着くと、入り口の片隅で、包丁研ぎに精を出すおじさんを発見。
早速、持参した2本の包丁を渡すと、切れ味回復用の砥石で勢いよく研ぎ始めた。
包丁研ぎの周さんは、1日に30本以上を研ぐという。
指の爪の間には長年に渡り蓄積されたと思われる砥石の泥がびっしり。
それもそのはず、周さんはこの道40年の大ベテランだったのだ。
待つこと20分。極限まで鋭く研がれた包丁が完成した。
料金は最初1本10元だったのが、仲良くなるうちに、2本で5元に!
そういえばどの店もそうだった。
ローカル修理屋では、会話を楽しむことが価格質に反映されるのかも知れない。
住:復興中路1239号
営: 3時~19時(隔日定休)
修:包丁
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ローカル修理屋 実用中国語
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靴
日本語:かかとを修理してください。
ピンイン:qing3 xiu1li3 yi1xia4 xie2gen1 .
中国語:?修理一下鞋跟。
日本語:ブーツの筒周りを3㎝狭めてください。
ピンイン:qing3 ba3 xie2zi kou3 suo1xiao3 san1 li2mi3.
中国語:?把鞋子口?小3厘米。
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洋服
日本語:ファスナーを修理してください。
ピンイン:qing3 ba3 la1lian4 xiu1li3 yi1xia4.
中国語:?把拉?修理一下。
日本語:マジックテープを修理してください。
ピンイン:qing3 ba3 mo2shu4tie1 xiu1li3 yi1xia4.
中国語:?把魔??修理一下。
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ベルト
日本語:穴を1つ開けてください。
ピンイン:qing3 da2 yi1ge dong4.
中国語:?打一个洞。
日本語:この穴を広げてください。
ピンイン:qing3 ba3 zhe4ge dong4 da3 da4 yi1dian3.
中国語:?把?个洞打大一点。
日本語:4㎝短く(伸ばす)してください。
ピンイン:qing3 ba3 pi2dai4 jian3duan3 si4 li2mi3.
中国語:?把皮?剪短(接?)4厘米。
日本語:ベルトのバングルを直してください。
ピンイン:qing3 ba3 pi2dai4kou3 xiu1li3 yi1xia4.
中国語:?把皮?扣修理一下。
傘
日本語:傘の骨を直してください。
ピンイン:qing3 xiu1li3 yi1xia4.
中国語:?修理一下?骨。
日本語:つゆ先をつけてください。
ピンイン: qing3 bu3 yi1ge san3zhu1.
中国語:??一个?珠。
日本語:傘の穴をふさぐことはできますか?
ピンイン:san3 po4 le ke3yi3 bu3 ma?
中国語:?破了可以???
日本語:開け閉めしにくいのですが、直せますか?
ピンイン:san3 de kai1guan1 hen3 jin3, ke3yi3 xiu1 ma?
中国語:?的??很?,可以修??
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~上海ジャピオン11月27日号より