全長20 ㌔超の長いコース
黄浦江沿いではここ数年、散歩やジョギングコース、花壇設置による景観の整備などが進んでおり、より多くの市民が足を運ぶスポットにアップグレードされている。浦東側黄浦江沿いコースは「東岸漫歩」と言い、最終的には東は楊浦大橋、西は前灘休閑公園まで20 ㌔超の大規模整備計画が現在進行形で進んでいる。まずは、陸家嘴の東方明珠塔から楊浦大橋までの全長約5・6㌔のコースから。現在、同コースの出入口は数カ所に制限されており、各出入口では体温チェックを実施。今回は、東方明珠塔塔すぐ裏、東方明珠遊船碼頭前から「東岸漫歩」に入場する。
花見や砂場遊び、散歩、ラン 本文
入場後は北西の楊浦大橋を目指して進む。コースは、川沿いの遊歩道、歩行者レーン、往来別の自転車レーンに分かれている。自転車レーンを走っている人を見ると、自前の本格的なロードバイクに乗っている人、レンタサイクルに乗っている人と様々だ。沿道は、花壇が整備されており、鮮やかな紫色のパンジーが植えられているほか、サクラもちらほら。さらにサービスセンター「望江澤」がいくつもあり、ベンチに腰掛けたり、清掃が行き届いたトイレを利用したりできる。またベンチや自動販売機も多く設置されているので、休憩場所にはまったく困らない。1・5㌔ほど進むと、造船所跡地をリノベートした「船廠1862」が見えてくる。アートセンター部分は取材当時閉館中だったが、川に面した部分に連なるレストラン部分は開いており、お腹が空いたら食事を取るのも◎。さらに進んでいくと、上海では珍しい砂場が!市内中心部では中々、子どもがこうして自然のものに触れながら遊べる場所がないため、むしろ砂場目当てに来るのもありかもしれない。
外灘の景色を一望できる
続いて、東方明珠遊船碼頭から南に進んでみる。ここ一帯は「滨江公園」(MAP①)として、カフェやレストランが多く立ち並ぶ。夜になれば外灘の景色を眺めることができ、すぐ背後は陸家嘴のきらびやかなビル群が取り囲み、なんとも優雅な時間を過ごせるとあって、昼夜問わず多くの人で賑わう。散歩やサイクリングに疲れた時に打って付けの休憩スポットだ。
この公園を抜けるとしばらく、歩道レーンと自転車レーンが分かれており、お互い接触の危険を気にせずに済む。また近くには、バスケットボールのハーフコートもあり、バスケ+ランニングといったトレーニングも◎。
川沿いテラスでまったり
もう少し南に進んでいくと、本格的な歩行者レーン、自転車レーンが続く。この辺りはアスファルト舗装で、歩きやすく、走りにも適しているのが特徴。レーンはカーブが多いので、スピードの出し過ぎに注意しよう。また途中には、日差し除け付きベンチもいくつか設置されているのがうれしい。
東方明珠塔から1・5㌔ほど離れた「財富金融広場」(MAP②)にもテラス付きのカフェが軒を連ね、週末の午後ともなれば、子どもや友人らと遊びに来て、談笑したり読書を楽しんだりと、プチリッチなひと時を過ごす人々で賑わう。「老白渡滨江緑地」(MAP③)には飲食店がない分、静かで人がさほど多くなくランニングなどのトレーニングに励む人が目立つ。「上海芸倉美術館」(MAP④)まで来ると、人はもっとまばらに。同館もすでに営業を再開し、展示会もいくつかやっているので立ち寄ってみよう。この美術館周辺で「東岸漫歩」の完成部分は一旦終わるが、自転車であればさらに南の「中華芸術宮」まで行ってみてはいかがだろうか。
文化施設が多い黄浦滨江
ところ変わって浦西へ。浦西側の黄浦江沿いといえば外灘が有名だが、この一帯は自転車の通行が禁止され、散歩するにも観光客が多くてゆっくりできない… 。そこで今回は、外灘からさらに南に位置する南浦大橋近くの上海当代美術博物館~龍美術館の遊歩道エリア「黄浦滨江」を紹介する。①花④②花桜桜⑤③まずは、上海当代美術博物館からスタート。最寄り駅は4・8号線「西蔵南路」駅か4号線「南浦大橋」駅。上海当代美術博物館のほか、昨年末にオープンしたばかりの「TeamLab無界美術館」が隣接(MAP①・②)し、いずれもすでに営業を再開している。「TeamLab無界美術館」はオープン当初、入場に40 ~50 分待ちは当たり前という状況だったが、今なら待ち時間なしで入れるかも。
上海万博跡地が残るエリア
MAP①・②近くの遊歩道部分は歩行者レーンのみで、自転車レーンは車道に面しているため、散歩をするのがオススメ。「黄浦滨江」にも浦東の「東岸漫歩」同様に、自動販売機が複数設置。この自動販売機は、支付宝でボックスに記されたQRコードを読み取るとトビラが開き、好きなドリンクを取り出してトビラを再び閉めるだけで勝手に精算してくれるハイテク自販機だ。のどが渇いた時に重宝したい。「上汽栄威児童文化中心」(MAP③)までくると、サクラや色とりどりのチューリップが植られた花壇スペースがお目見え。MAP③からは遊歩道隣に自転車レーンが設置され、自転車でも川沿いを走ることができる。この辺りは上海万博の跡地で、再開発に着手されていない部分が結構残っている。いまだに残っている初代遠望型衛星追跡艦「遠望1号」は、中に入ることはできないものの、その圧倒的な大きさに驚かされる。
花々が咲き誇るエリア
上海万博跡地の浦西側と浦東側を結ぶように架かる橋「卢浦大橋」から西に少し進むと、公園に似た「南園滨江緑地」(MAP①)がある。今は入場エリアが制限され、龍華東路沿いの北門からしか中に入れないので注意しよう。なお入場は無料。入って早々、立派に育った色鮮やかなチューリップがところ狭しと花開いている。敷地内には池があり、子どもは池の中を泳ぐ魚たちを覗いていて楽しげな様子。花①桜③④桜花②奥に進むとさらに大きな花壇が一面に広がり、南国気分に浸れる
かも?この「南園滨江緑地」は道路を挟んで2カ所に分かれており、現在は一時的に封鎖されているが専用の歩道橋で繋がっている(MAP②))。黄浦江沿いの遊歩道エリアでも景観が整備され、またランニング・散歩レーンも設置。
運動や音楽に励む人々の姿
「南園滨江緑地」の遊歩道からさらに進むと、スケートボードの練習に励む中国人・外国人がちらほら。ここ一帯は「上海市滨江滑板公園」(MAP③)と言って、その名の通りスケートボード(滑板)を楽しむための場所なのだ。ランニングレーンやベンチのほか、ちょっとしたスペースでは青空ヨガ教室を開催したり、おじさまたちがトランペットなど楽器の練習に励んだり、犬の散歩をしたりと、各々が好きなことをしていて、市民生活に密着している場所という印象。ここには元々電車が走っていたのか線路が残り、インスタ映えする写真が撮れそう!公園内には、浦東新区にある龍美術館の西岸館(MAP④)もあるため、散歩がてら美術鑑賞を楽しもう。美術館裏手のサクラはちょうど満開の季節を迎え、見応え十分のコースだ。
~上海ジャピオン2020年4月3日発行号