イベント延期でドタバタ
上海市で年に2回開催されている、総合同人展覧会「COMICUP」。オールジャンルの二次元創作同人会と、アニメやゲーム会社や出版社などがブースを出すこの大きなイベントに、自作の同人誌を持って参戦するぞ! と、日本人有志が立ち上がった。
準備は今年1月から開始。執筆を進めつつ、公式ホームページに作品を登録。4月に同イベントのブース出展申し込みを済ませ、抽選結果を待つ。ところが! 本来6月に開催予定だったイベントが、新型コロナウイルス感染症流行の影響で7月に延期されることが決定。その後待つこと1カ月…5月半ばにようやく当選通知が届き、ホッとしたものの、それから何の音沙汰もなく6月が終了。これは、本当に開催されるのか怪しいぞ…? と不安がっていたところ、7月頭にようやく参加費支払いなどの連絡が届き、少し進展。ただ、当日参加できる人数、ブースの大きさ、そもそも何時から会場入りなの? など、初参加の我々にとっては謎が多く頭を抱えていたところに、運営会社から今週末に本登録に来てくださいとの連絡が入る。この時点で、開催2週間前だった。
1週間前に全手続き完了
開催1週間前。運営会社が指定した場所に、本登録へ向かう。と、そこには登録番号別に分かれた受付コーナーがズラリ。勝手がわからずオロオロしていると、日本語が話せる運営スタッフが親切に案内してくれた。何とか登録を済ませ、無事人数分の参加証をゲット! ほか、UVペンライトも手渡され、当日は偽札に気を付け、このライトを使ってしっかり確認するよう通達があった。
これで当日参加できることがやっと確定し、胸をなでおろす。後は、当日会場に向かうだけだ。
熱気で溢れ返る会場へ
いよいよイベント当日。会場である「国家会展中心」最寄り駅の「徐涇東」駅で落ち合った我々。駅構内や地下通路には、衣装に着替えたり、化粧をしたりするコスプレイヤーがチラホラ。早くも熱気ムンムンだ。
体温測定と健康情報QRコード「随申碼」の確認、手荷物検査を経て、いざ会場へ。ところがここで道を間違い、一般客入場口を進んでしまったところ、通路がくねくねと曲がっており、会場までが遠い…! 関係者通路の4倍近くを歩いて、ようやく自分たちのブースへ。
我々にあてがわれた場所を探すと、入場口に一番近い列にあり、なかなかいい位置だ。周りはすでに作品を広げ、着々と準備を進めている。作品やグッズがたくさんあるサークルは、前日から会場入りし、準備を進めていたようだ。我々両隣のブースも、アニメキャラのポストカードやポスター、キーホルダーなどを並べ準備万端。
と、いつの間に一般客の入場が始まったのか、にわかに人が増えてきた。気付けば両隣のブースには長蛇の列。〝最後尾〟の看板を持ったスタッフが整理に駆け付ける騒ぎにまでなっている。長い列の狭間、ぽっかりと開いた空間が私たちのブース…。これは、なかなか恥ずかしい…。
日本人によるブース出展も
気を取り直し、我々も作品を陳列。でも日本語だし、オリジナル作品だし、見に来てくれる人がいるのだろうか…? そんな不安を抱えながらスタートしたが、意外とフラッと立ち寄り、ページをめくってくれる人がいる。中には「あれ、日本人ですか?」など、日本語が堪能な中国人も。さすが、アニメカルチャー好きだ! 来場者は若い人が圧倒的に多かったが、日本語ができなくても翻訳アプリでコミュニケーションを取ろうとしてくれたり、英語が堪能だったりと、来場者の教養の高さを伺わせた。
ここでなんと、日本人の来客が。しかも彼らも、ブースを出しているという。聞くと、遥々北京からの出展で、COMICUP参加は今回で3回目。好きな漫画の二次創作を、中国語で展示しているそうだ。まさか我々以外にも日本人の参加者がいるとは…! うれしい出会いだった。
ジャンルが広すぎてカオス
今回、同人ブースの出展サークル数はおよそ2000にも上り、展示している作品も実に様々。日本のものに限っても『カードキャプターさくら』や『NARUTO』、『鬼滅の刃』といった人気の漫画から、『ウルトラマン』、『セーラームーン』など昔懐かしの特撮・アニメ、『あつまれ どうぶつの森』、『ポケットモンスター』、『陰陽師』などのゲーム系に至るまで、ジャンルが実に幅広い。これに中国系とアメリカ系のアニメ・ゲーム、完全オリジナルの小説、グッズなどが加わり、ちょっと見て周っただけでは、もはや何を置いているのかがわからないカオスぶりとなっている。
また隣の別会場では、企業が展示会を実施。こちらも、限定グッズやイベントを終日行い、かなりの盛況だ。ほか会場周りや通路は、コスプレイヤーたちの撮影会場と化し、カメラマンが群がる事態となっていた。
日本語同人誌、反応は…?
さて我々のブースはというと、じわじわ冊子が捌けている。そしてついには「え、アナタ作家さん? じゃあサインちょうだい!」なんてリクエストも飛び出した。そんなこんなで、捌けた冊子は全部で28冊。初めての出展、しかもオール日本語の冊子にしては上々の結果だったかな? 予想以上の反応&来場者の温かい応援がとても新鮮で楽しかった。反省点は多々あるものの、早くも次回の参戦を決意した我々だった!
~上海ジャピオン2020年8月7日発行号