中国発!雲南産コーヒー豆のススメ

雲南珈琲とは一体何?

コーヒー豆といえばアフリカ・エチオピアや南米・コロンビアなどで栽培・生産されたものを思い浮かべる人が多いはず。そんな中で、中国では近年「雲南珈琲」も人気になっている。

市場に流通しているコーヒー豆の品種は大きく分けて「アラビカ種」と「カネフォラ種」の2種類。全体の6割前後が「アラビカ種」といわれ、酸味が比較的強い。ちなみに「キリマンジャロ」や「マンデリン」というのはコーヒー豆のブランド名で、キリマンジャロはアフリカ・タンザニアにある、キリマンジャロ山脈の麓で栽培・生産されたアラビカ種、マンデリンはインドネシア・スマトラ島産のアラビカ種を指す。

珈琲豆栽培に適した雲南省

アラビカ種は高温多湿・霜などに弱く、標高1000~2000㍍の熱帯高地での栽培に適していることから、雲南省でもこの品種を栽培。つまり「雲南珈琲」とは、同省で栽培されたアラビカ種のコーヒー豆を指す。中国では、国内で栽培しているコーヒー豆の70%近くを雲南省が占め、ほか海南省海口市や台北市も有名。

コーヒー農園が多く分布する、プーアル茶でも有名な普洱市は標高約1900㍍。ここは標高が高く、年間の平均気温が1520度高いため、広大な土地を持つ中国大陸の中でもコーヒー豆の栽培に打って付けなのだ。コーヒー農園自体は100年以上前からあったものの、1950年代になって生産量を一気に増やしていき、2000年までに7800ヘクタール(8000万平米)に拡大している。

国内で栽培・生産されている分長期輸送に伴う品質劣化がなく新鮮且つ安価、爽やかな酸味で飲みやすいのが、人気の秘訣なのかも。

大手も採用の雲南省珈琲豆

大手コーヒーチェーン「STARBUKCS」の中国店舗では近年、雲南省にあるコーヒー農園で栽培・生産されたコーヒー豆を買い付け、加工して販売。同社はブレンド豆で淹れたコーヒーがメインだが、近年は雲南省豆をはじめ、オリジンブレンドの提供もし始めている。

スタバのコンセプト店舗「STARBUKCS RESERVE ROSTERY」南京西路店は、店内に巨大焙煎機を設置。同店では、雲南省産の生豆や焙煎度の異なる豆などを展示し、同省産のコーヒー豆を大々的にアピール。焙煎機で焙煎しているものも同省産のもので、加工後は市内を中心に配送されていく。

農園2カ所から販売

スタバは10年ほど前から雲南コーヒー豆の商品化に力を入れ、2017年から同省産のシングルオリジンコーヒー豆の販売・提供をスタートさせた。現在扱っているコーヒー豆は「晴開(QINGKAI)農園」と「佐園(ZUOYUAN)農園」の2種類。「晴開農園」は普洱市にあり、蔡晴開氏がオーナーを務めている。一家4人が、昼夜問わず10㌧近くの果実を摘んでいるんだとか。生豆の乾燥を乾燥機で行うことで、雨季と重なった時にカビが発生したり品質のムラが生じたりするのを防ぎ、生産量を安定させることができるという。一方の「佐園農園」は保山市にあるが、ここもコーヒー豆の生産が盛んだ。

コーヒー豆は元々果実で、その果実には酸味がある。そのため「晴開(QINGKAI)」も「佐園(ZUOYUAN)」も酸味が比較的強く、豆を挽いた時には爽やかな香りを放つ。「中国雲南佐園農場咖啡豆」(178元)と「中国雲南晴開農場咖啡豆」(198元/各250㌘)を購入し、スタッフに伝えると好みの粗さに挽いてくれる。

〝第3の波〟カフェでも提供

中国各地に店舗を構え、〝サードウェーブコーヒー〟で知られるカフェチェーン「SeeSaw Coffee」。インスタントコーヒーなどを自宅で簡単に飲めるようになったコーヒーファーストウェーブ、スタバに代表される、コーヒーの風味を重視するセカンドウェーブと異なり、同店ではコーヒー豆の産地や生産過程を重視し、雲南省産「雲南黒茶」(42元)や「エチオピア」(38元)などオリジンブレンドを、ハンドドリップ方式で提供する。

湯の温度をしっかりと測り、スタッフ自ら味見をしてから提供するというこだわりぶり。爽やかな口当たりで飲みやすく、苦味が後を引かない。オリジンブレンドの豆は販売もしていて、雲南省産は「黒茶神掌」(118元/200㌘)がある。

赤ワインに似た!? コーヒー

チェーン店に限らず、個人経営のカフェでも「雲南珈琲」を扱うようになってきた。カフェの激戦区・南昌路に構える「Umah」では、シングルオリジンのコーヒー豆で淹れるコーヒーをメインに提供。

エチオピアやケニアといった世界的に有名な豆はもちろん、雲南省「超級日晒」(36元)もハンドドリップで淹れる。オーダーが入ってから豆を挽き香りをかがせてくれるのだが、コーヒーとは思えぬほどフルーティー。それから数分後に提供されたコーヒーを舌に濡らすと、赤ワインに似た芳醇な味わいで、普段飲んでいるアメリカンやインスタントコーヒーとは似て非なる飲み物であることがわかる。なんでも「超級日晒」は、雲南生豆大会で1位を獲得したことがあるブランドなんだとか。安定した味のブレンドコーヒーもいいが、オリジンブレンドで味の違いを楽しむのもおもしろい。

~上海ジャピオン2020年10月30日発行号

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