ペットと暮らす

ハンドキャリーが禁止に

日本から上海へ、これからペットと一緒にやってくる人たちが身近にいたら伝えてほしい、要注意事項。それは、中国へのペットのハンドキャリーが今年1月から禁止されたことだ。

昨年までは、モノのハンドキャリーと同じ要領で、資料提出などのルールを守っていれば、飼い主と同じ便で来海し、到着後特に問題がなければそのまま自宅に連れて行くことができた。しかし今年からは、ハンドキャリーが全面的に禁止され、貨物輸送のみの対応となったため、同じ日に日本を飛び立ち、同じ日に自宅に着くということができなくなったので気を付けて。

抗体検査の実施は不要

渡航前、ペットにはマイクロチップの埋め込み以外にも様々な手続きが必要。まずは輸出検疫を受けなければならず、動物病院で証明書を発行してもらう。中国行きの場合、抗体検査はいらないものの、動物病院で「輸出検疫証明書」を発行してもらう必要がある。ただし、これは入国14日前までという条件が付いているため、気を付けて。また中国では〝申請者1人につき動物の持ち込みは1匹まで〟というルールがあるのを忘れずに。

飼い主が先に出発した後、ペットは日本のペットホテルや実家、友人宅で預かってもらうか、ペット輸送の代行手続きを行う業者を探す必要がある。中国での飼い主の集中隔離が明けた頃を見計らって、日本側からペットの輸送をしてもらう。空港での受け取りは資料提出時の記載パスポート原本が必要なため、申請時のパスポートを持参して受け取りに行けば完了だ。すべての手続きは、完了まで1カ月程度の時間を見込んでほしい。

帰国時は狂犬病対策が必須

本帰国が決まり、帰国便の手配や上海で住んでいた自宅の荷物整理をするのもひと苦労だが、ペットの帰国手続きはそれ以上に手間が掛かる。

日本から上海へペットを連れてくる時と大きく異なるのは、狂犬病抗体検査が必要になってくること。これは、中国ではまだ狂犬病が確認されているためで、日本は水際対策として、一部地域を除き海外からの動物持ち込み時に狂犬病のワクチン接種を義務付けている。逆に日本では1970年代以降、国内症例の狂犬病が確認されていないため、日本にいるイヌやネコを海外に持ち込んでも狂犬病を広めるおそれがなく、抗体検査が免除されている。

なおワクチン接種は、生後91日後の赤ちゃんから受けられる。また1回目接種と2回目接種の間は30日以上空ける必要がある。

7カ月の長丁場を覚悟

狂犬病予防接種や狂犬病抗体検査(血清採取)などを済ませた後、次に待ち構えるのが、輸出前待機。これが一番時間の掛かるステップで、狂犬病抗体検査の採血日を0日目として、日本到着まで180日以上待機する必要がある。そのため、すべてのステップを踏むのに7カ月程度掛かり、かなりの長丁場となってしまうのだ。

動物の帰国40日前までに、到着予定の空海港を管轄する動物検疫所に、届け出を提出する必要がある。フォーマットや提出に関する手引きは、日本の動物検疫所HPで確認できるが、不安な人は上海にある日本語対応のペットショップや動物病院などに頼むと代行してくれることも。最後に、動物のマイクロチップ番号、ワクチン接種情報などをまとめた証明書を輸出元である中国の専門機関で取得する必要があるが、複雑なためこれも専門業者にお願いした方がよさそうだ。

マナーでイヌ用マスク着用

上海市でイヌやネコを飼っている人に向けた注意点をいくつかご紹介。

市内を散歩していると、公園内など広々したスペースに限らず、路上でもリードを付けていないペットをよく見掛ける。リードを付けずペットにのびのび散歩してほしい…そんな飼い主の思いやりは理解できるが、これは厳密には市の条例で禁止されている。条例に違反されているからといってすぐ罰金処分などが科されるわけではないが、ペットの迷子はもちろん、ペットが誤ってほかの通行人にケガをさせないようにするためにも、リードは必ず着用して散歩するよう心掛けよう。

またここ1~2年で、特に大型犬に対してイヌ用マスクを着ける飼い主が増えたが、マスク着用自体は条例に明記されていない。ただ数年前、日本人が路上で大型犬に噛まれてケガを負った事故が起きるなどしたので、あくまでトラブルを招かないための予防策として、中・大型犬にはなるべく着けた方がいいだろう。

ペット食は店舗で購入を

ペットフードをネットショップで購入している人がいるかもしれないが、これは要注意。そのペットフードが正規品でない可能性があるほか、正規品であっても商品の保管状態が確認できないため、湿度や温度管理などがしっかりしていないとペットフードが傷んでいるおそれがあるのだ。可能な限り、商品が正しく保存されているペットショップで購入しよう。

ほか、ペットフードでは味気ないからと、時々手作り料理をペットに与える人がいるが、栄養バランスに細心の注意を払おう。塩などの味付けに限らず、栄養バランスが偏ってしまうと、結果的にペットの体調に影響する。

~上海ジャピオン2021年4月9日発行号

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