上海ジャピオンの特集 記事

~今年は3月10日~ 古今東西 龍擡頭

特集-P1-1

龍擡頭で春の訪れを祝う  雨を降らせる龍の伝説

「龍擡頭(long2 tai2 tou2」は、ほんのりと春の気配を感じる旧暦の2月2日にあたる伝統的な祭日だ。この日は「天で風雨を司る龍が頭をもたげる日」とされ、春の訪れを祝い、

その年の豊作や家族の健康、子どもの健やかな成長を願って様々な行事を行う。

中国では古代から、龍が四海や天地を司り、人々に恵みをもたらすと考えられてきた。龍擡頭は雨風を司る龍がむっくりと頭をもたげて雨を降らせ、木々が芽吹き始める日なのだ。

ではなぜこの日に、龍は目覚めるのだろうか? それには3000年前より伝わる民俗故事がある。

――昔むかし、中国史上唯一の女帝である則天武后が皇帝になり、国号を周と改めた頃。彼女の即位に立腹した天界の神・玉皇大帝は、金星を司る仙人・太白金星を通じて、

四海を司る龍王それぞれに3年間は雨を降らせないよう命を下した。

しかし人々が嘆き悲しみ飢え死んでいく姿を見た天の龍王は、人類が滅んでしまうことを危惧し、命に背いて雨を降らせてしまう。

大帝は激怒し、この龍王を下界の山に閉じ込め「龍王は天の掟を破ったので1000年の罰を受ける。金豆の花が咲かない限り、天へは戻れない」との札を立てた。

困った人々は〝金豆の花〟を探し求めたが、なかなか見つからない。そして翌年の旧暦2月2日、庭で日干ししているトウモロコシの種を見て、金豆に似ている! と思い立った人々は、

一斉にトウモロコシを炒って花を咲かせ、香を焚いてこれを献上した。村中の家に〝金豆の花〟が咲き乱れているのを見た大帝は、しぶしぶ龍王を解放。

かくして龍王は天界に戻り、再び地に雨を降らすようになったのだった。

特集-P1-2

東の地平線に輝くスピカ  天文学から見た龍擡頭

  旧暦2月2日が「龍擡頭」と呼ばれるようになったのは、天文学が関係するとの説もある。古代中国の天文学で用いられた「二十八宿」は、天球を28のエリア(星宿)に分けたもので、

それを4方位7つずつのグループにまとめそれぞれ「東方青龍・北方玄武・西方白虎・南方朱雀」と呼んだ。

そしてちょうど旧暦2月2日を迎える頃、「東方青龍」にある星「角(すぼし・スピカ)」が東の地平線上に現れ、青白く輝くのだ。

この「角」を「龍角」と呼び、龍角が地平線より昇ったことを、龍が頭をもたげる様子に例え、「龍擡頭」という祭日になったという。

春の訪れを喜び、天を司る龍を敬って今年1年の豊作を願う大切な祭日。現代では家族の健康祈願や、ゲンかつぎの意味も込めてこの日を祝う。

では当日はどんな行事が行われるのだろうか? さっそく次のページから紹介しよう。

特集-P1-3

特集-P2-1

中国各地・食の風習

龍擡頭には、各地で異なる風習がある。北京の中国式クレープ「春餅」は立春の日にも登場し、春節など春の到来をお祝いする定番の食べもの。

きな粉をまぶし、細長いお餅とあんこを一緒にクルクルと巻いた「驢打滾」は、龍が渦を巻く姿に似ていることから、これを食べ幸福を願う。

温州や上海では、春の仕事始めに今年の健康を祈願する、という意味合いが強いようだ。春に花を咲かせるカラシナが入った「芥菜飯」はビタミン豊富で疲労回復の効果があるとされ、

古来より皮膚病予防の料理としても知られてきた。

ポップコーンは言わずもがな、前述の伝説にある〝金豆花〟を模したもの。中国北部だけでなく、安徽省や広東省など広域で食べられる。

そして興味深いのが南京市。〝龍を食べる〟と称し、この日は「水餃」が龍の〝耳〟、「煎餅」が〝鱗〟、普通の白米ですら〝龍の卵〟に早変わりし、これらを食べてお祝いする。

特集-P2-2

歌い踊って賑やかに

各地で催される龍擡頭のお祭りは、現地の文化を色濃く反映している。上海では毎年この時期に「崇明〝二月二龍擡頭〟文化旅遊節」が開催され、

龍の舞に歌や踊りと豪華な演出で幕を開け、1カ月ほど続く。

黄河のほとりで行われる「合河古会」は〝奇祭〟と呼ばれる。古代人類の信仰や生命力を表現し、半裸の男性が棟木を担いで練り歩いたり、氷や剣を背負って銅鑼を叩いたりする。

また牛と馬に対し跪き供物を奉げることで、龍への尊敬を示す。

満族は龍擡頭を新年と同じく盛大に祝い、1日がかりで様々な儀式を行う。昨年末に狩ったブタの頭をこの日、家族で食すと運気が上がるという。

一方、草木の灰で地面に二重~三重の円を描き、中央に雑穀を置いて今年の豊作を願う「囲倉」は、全国の農村家庭で行われている。龍擡頭に灰を撒き、香を焚くという習わしは、

春の始まりに倉庫の虫よけをするという、先人の知恵が秘められているのだ。

特集-P3-1

龍擡頭で頭をさっぱり

国民的行事とも言える、龍擡頭の散髪。自分の髪を龍に見立て、これを切ることによって運気が向上するという。

〝2月2、龍擡頭。孩子大人都剃頭,討箇好彩頭(龍擡頭、大人も子供も髪を切り、幸運を招き寄せよう)〟と言われるとおり、老若男女が髪を切りに訪れる。

「髪を短くしたくない人でも、この日はほんの少しだけ髪を切ったりするのよ」と語るのは、美容師歴12年の梅花さん。春節前と龍擡頭は、1年で最も忙しいと言う。

「最近の若者は龍擡頭を意識しない、なんてニュースもあるけれど、そんなことはないわ。むしろ若い子のほうが、仕事を成功させたい、なんて大きな願いを込めて来ることが多いわね」とのこと。

また理髪に関して、中国北部では〝正月剃頭死舅舅(正月に髪を切ると叔父が死ぬ)〟との俗説があり、春節からこの日まで髪を切らない人が多いそうだ。

特集-P3-2

 

 

~上海ジャピオン2016年2月19日発行号

上海天益成広告有限公司 インバウンド関西

上海天益成広告有限公司株式会社ベイエリアにより運営しています。
※当サイトをご覧頂く場合、InternetExplorer7.0以上でご覧頂く事をお薦めいたします。