旅する中国寝台列車

毎日1300本以上が運行

皆さんは寝台列車に乗ったことがありますか? 時間効率のいい飛行機や高速鉄道の存在がある今、なかなかそんな機会がないと思います。日本では、ほぼなくなった寝台列車ですが、広大な国土を誇る中国では、まだまだ現役。毎日1300本以上もの寝台列車が運行されています。列車の旅っていいですよね。移動手段としては飛行機の方が早く、バスの方が安いことも多いですけど、僕はそれでも乗ってしまうのが列車だと思うんです。乗客の入れ替わりも激しいですから、長時間乗っていると様々な出会いと別れがあります。たくさんの人々と交流することによって、中国文化を学ぶ絶好の機会にもなるんです。旅情ってあるじゃないですか、ガタゴトと揺られながら、車窓からの景色を眺めたりご飯を食べたり…列車の旅には底知れぬロマンを感じますね。

切符は手軽にネット予約で

さて切符を購入してみましょう。今回私が乗車した北京~上海路線「T110次」は、およそ全長1467㌔を16時間11分掛けて走る寝台列車。料金は5ランクに分かれていて、席指定のない「無座」、椅子座席の「硬座」(各177・5元)、3段ベッドの「硬臥」(325・5元)、2段ベッドの「軟臥」(497・5元)、トイレ付き個室の「高級軟臥」(919・5元)が用意されています。無座と硬座は就寝時に身体を横たえることが難しく、硬臥は通路から丸見えと言う開放的な作りになっているので、初心者は4人部屋個室の「軟臥」か、トイレ付き2人部屋個室の「高級軟臥」をオススメします。今はチケット予約アプリ「12306」や「携程旅行」があるので、時刻表や駅名と駅名から検索して、ネット予約ができるので便利ですよ。予約ができたら、乗車までに切符窓口で切符に引き換えを。

夕食のため食堂車へ移動

「軟臥車」と呼ばれる車両には洗面所とトイレが併設されていて、その奥に4人部屋個室が9つ並びます。乗車後は自分の寝台番号のある個室を探し、荷物を整理。上海駅を17時57分に発車する「T110次」は、乗車後すぐにちょうどいい夕食の時間になるので、早速食堂車へ。食堂車で提供される料理のクオリティは、列車によってまちまちと言えど、正直言ってあまりおいしいものではありません。それを証拠に、列車はほぼ満席だと言うのにお客さんが全然いない。質の割に値段が高いせいもあって、利用客はまばらです。着席し、あまり選択肢のない中、4種のおかずとご飯の「セット」(35元~/個)を注文し、とりあえず腹を満たします。

それでみんなは何を食べているかと言うと、廊下に設置された簡易イスに腰掛け、乗車前に購入したカップラーメンをすすっているんですね。お湯は、各車両に熱湯の出る給湯器があるので、そこで調達します。目的地に着いてから、ご当地グルメに舌鼓を打つのかな? 乗車前にコンビニなどで食料を買い込むのもありですよ。

同室者が快適さのカギ!?

さて、今夜はぐっすり寝られるかな? というのも、騒ぎ回る子どもやイビキがうるさいおじさんと同室になると、熟睡は望めません。いや、イビキは自分が一番うるさかったりして(笑)。しかし、それも醍醐味だと思っています。今回の同室者は、静かに読書に耽るおじさんと、その横でポリポリとヒマワリの種を食べているおばさんの夫婦、そして終始ラーメンやミカンの香りを漂わせる大食漢のお兄さんの3組。

そう言えば20年前、偶然同室で仲よくなった中国人夫婦にいろいろ助けてもらいましたが、名刺をもらったらある航空会社の董事長で驚きました。このご時世、なかなか知らない人と話をする機会も少なくなってきましたが、こういった形での中日国際交流もいいのではないかと思います。

予想以上に寝心地が抜群

さて、21時半を過ぎると個室の電気が消され、各自が眠りにつきます。着替えももちろんベッドの上で。仕切りとなるカーテンや目隠しがないので、プライバシーが気になる人はトイレで着替えるか、室内を暗くした後に着替えるしかありません。

気になる枕や布団はとても清潔で、意外にもフカフカしているので、とても気持ちよく眠れますよ。窓の外には時々街のネオンが流れ、すれ違う夜行列車は汽笛を鳴らします。ああ、寝台列車に乗っているんだなぁと、鉄道ロマンに思いを馳せるわけです。日本じゃなかなか味わえませんよ。カタンカタンとリズミカルな振動に身を任せていると、自然に眠りにつきました。

起床から列車を降りるまで

翌朝。車窓から差し込むまばゆい光と、途中停車駅に到着した時の振動で目を覚まします。7時を過ぎる頃になると、身支度をしに洗面所に向かう人、お茶を作りに給湯器へ向かう人などで、車内に活気が出てきます。

簡単な朝食を摂りながら景色を眺めていると、北京市中心部に近付くにつれ、野原から徐々にビルが増えて来ることに気が付きます。車内アナウンスが流れ、長かった列車の旅もそろそろ終わりに近付くことを知らせてくれます。そして10時8分、北京駅に到着。足取りも軽く、降車です。

再び寝台で北京~上海へ

北京市では「故宮博物院」や「天壇公園」などを観光し、もう一つの旅の目的であった世界遺産巡りを満喫しました。そして再び北京~上海線を走る寝台列車に乗車し、帰路に就きます。

中国の祝祭日や国慶節などの大型連休期間は、人々の往来が激しくなり大変混み合うため、切符を購入することが難しくなります。特に春節休みの前後は「春運」と呼ばれる特別輸送体制が敷かれ、切符が購入しづらい期間ですが、実は春節大晦日から春節4日までは比較的買いやすくなる穴場期間のため、気軽に鉄道旅行を楽しむことができます。

中国の鉄道網は経済的な交通手段であり、空港がないような土地の隅々まで発達してきました。大型バスや飛行機のようにシートベルトを締める必要もありません。辺境まで行くと、異国文化感を楽しめますよ。

廃止が相次ぐ夜行列車

中国は〝八縦八横〟の目標を掲げ、2025年までに鉄道営業距離を17万5000㌔まで延長し、大都市のカバー率を80%まで引き上げる計画を進行中だとか。しかし昨年9月、上海市と中国香港間を直通する高速列車が開通したように、主要都市間が高速列車で行き来できるようになると、日本同様に夜行列車の多くが廃止となります。趣味や旅行の効率を上げるツールとして楽しむためにも、いつまでもなくならないでほしいものです。そんな中、北京市―上海市間で夜行列車が廃止されずに残っているのは、ある意味奇跡です。仕事が終わった後にそのまま駅に行き、寝て起きたら目的地に着いているわけですから。皆さんも、ロマンある中国鉄道に、一度は乗車してみてはいかがでしょうか?

~上海ジャピオン2019年3月22日発行号

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