新条例施行開始! ゴミ分別新条例を徹底解説

四分類法が条例に明記

条例可決から半年余り過ぎた今週7月1日(月)、ついにゴミ分別新条例「上海市生活垃圾管理条例」が上海市で施行された。そこで、新条例が自分たちの生活にどのように影響するのか、自分たちがすべきことは何なのかを見ていく。

これまでのゴミ分別は「湿垃圾(生ゴミ)」と「干垃圾(乾燥、その他ゴミ)」に分けられた程度で、ちゃんと分別せずとも注意されることはなかった。しかし今回の新条例では〝四分法〟が条例に明記。これはすなわち前出の「湿垃圾」と「干垃圾」に加え、「有害垃圾(有害ゴミ)」、「可回収物(リサイクルゴミ)」を指す。

この新分類法に対し、多くの市民は手間だと感じているようだ。上海に住む日本人も、ある意味快適だったゴミ捨てが面倒に感じているかもしれない。このゴミ分別条例施行の背景には、処理しきれなくなった中国のゴミ事情がささやかれている。生ゴミと乾燥ゴミを別々にすることを除けば、日本でのゴミ分別と大差なく、カンや新聞などを分けなくてよいという点を踏まえれば、日本よりは楽とも言える。

違反者・管理者には罰金も

このゴミ分別ルールは罰則付きで、個人が違反した場合、50~200元の罰金。ゴミ捨て場の管理企業・組織が違反した場合、5000~5万元の罰金が科される。また我々の身近でいえば、レストランやデリバリーが使い捨ての割り箸などを提供したうえ、担当部門の警告を受けても改善されない場合や、ホテルなどの宿泊施設が使い捨ての洗剤・日日用品などを提供し、是正されない場合、それぞれ500~5000元の罰金が科される。

それでは次ページで、具体的にどのゴミがどの分類に当たるのか見ていく。

環境に悪いモノは有害ゴミ

〝四分法〟を詳しく見ていく前に、4種いずれにも該当しないゴミがある。それは「粗大ゴミ」と「電化製品」だ。粗大ゴミは、ソファやベッドのマットレス、テーブル、また一般家庭には馴染みがないが、壊れたトイレ便器・レンガブロックなどがこれに当てはまる。電化製品は、洗濯機やテレビ、パソコンなど。

これらは、通常のゴミ収集では対応していないため、各ゴミ集積所の管理部門が指定する日時・場所に捨てるか、専門業者に依頼するしかない。電化製品に関して、冷蔵庫をはじめとする大きなものは、同じく粗大ゴミ同様に管理会社の指示に従うか収集会社に連絡を。スマートフォンなど小さなものはゴミ管理者の指示を参照してほしい。

リサイクル品は青色の箱へ

では〝四分法〟の1つ「有害ゴミ(有害垃圾)」を詳しく見ていく。これは、日本の有害ゴミにほぼ相当するため、難しく考える必要はなく、要は環境に害を与えるようなモノがこれに該当する。

薬品も有害ゴミに含まれるのだが、注意すべきは、薬品を包装していた包装紙やビンなどもこれに含まれることだ。紙・ビニール袋は通常「乾燥ゴミ」、ビンは通常「リサイクルゴミ」に含まれるので気を付けてほしい。

また「リサイクルゴミ(可回収物)」は文字通り、再利用可能(〝可回収〟)なゴミ、すなわちカンやペットボトル、衣類などだ。もともとこのゴミ分別新条例は、環境に配慮した〝エコ〟が1つのテーマなのだ。今までは、リサイクル品を〝自主回収〟してゴミ分別に間接的に貢献していた、ゴミを集めて金銭を得ていた人の仕事が、法律によって徹底管理され、ゴミ分別されることになる。

ゴミの半分超が生ゴミ

「生ゴミ(湿垃圾)」をチェックは、残飯や植物など、腐敗しやすいものを指す。日本と異なり「生ゴミ(湿垃圾)」をゴミジャンルの1つとしているのは、上海での食品廃棄がゴミ全体の60%を占めているからとも言われている。確かにレストランでは、客が実際に食べることのできる量よりも多く注文する光景を目にする機会が多い。

しかし注意すべき点は、大きめで肉が付いていない骨(中国語で大骨头)は「乾燥ゴミ」に分類されることだ。なぜなら、「生ゴミ」は腐りやすいもの、肥料になるようなものだが、骨は腐らないものだから。また生ゴミを分類する際にビニール袋を使う人が多いだろうが、これも分類の対象。ビニール袋は「乾燥ゴミ」にしなければならない。また、使用済みトイレットペーパーも、文字通り湿っているからと「生ゴミ(湿垃圾)」になるわけではなく、あくまで紙なので「乾燥ゴミ」に分類される。

害、回収、湿以外が乾燥ゴミ

「乾燥ゴミ」は、四分法の「リサイクルゴミ」、「有害ゴミ」、「生ゴミ」、そして粗大ゴミ、電化製品に含まれない〝その他の細々したもの〟が当てはまる。つまり、ちり紙やおむつ、リサイクル困難な使い古した下着類、鏡、テープ類など。なお日本では「燃えるゴミ」、「燃えないゴミ」に分けるが、中国では燃える・燃えないかを気にする必要はない。

普段のゴミ分類、そしてデリバリー、宿泊施設での使い捨て用品の提供停止など、我々日本人の日常生活にも大きく影響する今回の新条例。各居住区などでは、トランプを使って新条例を解説するなど様々な取り組みが行われているので、そういった活動に積極的に参加してみるのもいいだろう。

~上海ジャピオン2019年7月5日発行号

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