歴史や映画から、文化を語らう交流の場
上海に住む外国人の増加に伴い、中国文化を学ぶ教室が増えている。文化といえば絵画や書を思い浮かべがちだが、会話レッスンの中で、言葉の背景にある文化を伝える教室もある。
今回訪れた「漢院」もそのひとつ。特に、中上級者向け「会話サロン」の一風変わった授業が、生徒の人気を呼んでいる。
一歩先への興味
伝統情緒が漂う老房子の教室に、生徒たちの会話が響いている。映画と歴史のクラスが隔週で入れ替わり、この日は歴史クラス。その話題は、南宋の歴史から、当事の風習である「纏足(てんそく)」、そして現代女性の地位にまで広がる。
「中国には、『幼い時は親に、結婚したら夫に、老いたら子に従え』なんて言葉があるけど、日本はどう?」そう講師の詹?さんに問いかけられ、生徒は思い思いに発言していく。
日常会話の授業と比べると、語学のレベルはもちろん高い。内容もかなり専門的だ。だが、この「一歩踏み込んだ感覚」が、生徒の興味とやる気をかき立てている。
生徒のひとりで、流暢な中国語を操る熊谷さんは、「系統的に歴史が分かって楽しい。クラスメートからも刺激を受けています」と授業の感想を語る。
△授業は、分かりやすく解説しながらテンポよく進む。
子を見て始める親
授業を導く詹?さんは、講師暦2年目。英米文学が専門だが、昔から歴史に深い興味があった。授業のために、歴史の先生顔負けの綿密さで、お手製のレジュメを作成している。
「歴史が大好きなので、授業の準備だけでも楽しい。授業を通して、日本や他の国の文化を生徒さんから教えられることも多く、どんどん授業の幅が広がるのも嬉しいです」
教室は、今日も楽しげな文化交流の会話に包まれている。
△老房子で行われる授業はゆったりとした雰囲気に包まれ、会話も弾む。
「漢院」の会話サロンには、映画と歴史クラスがある。問い合わせは5306‐7271
~上海ジャピオン3月23日発行号より