1.極上ダシの出るハム
浙江省金華地区で作られる「金華ハム」は高級ハムとして知られ、イタリアのパルマハムなどと共に「世界三大ハム」に数えられているんだ。
このハムは、金華豚の肉を2カ月ほど塩漬けにしたあと乾燥させ、その後数カ月から3年ほどかけて熟成させて作るんだ。時間をかけた分、旨みもしっかり詰まっているから、中華料理では主にスープのダシや煮込み料理に使われているよ。
金華ハムの歴史は長く、唐の時代から豚肉の塩漬けが作られ、皇帝にも献上されていたんだ。その時、ハムの断面を見た皇帝が「火の様に赤い腿だ」と言ったことから、ハムは「火腿」になったといわれているよ。
2.熟成した嫁入り道具
日本でも有名な中国酒「紹興酒」は、江南地方の良質のもち米と、 名水・鑒湖(かんこ)の水から作られる醸造酒。浙江省の紹興市近辺で作られているものだけが、この名前で呼ばれているよ。
昔の紹興では、娘が生まれた祝いに贈られたもち米を使ってこの酒を作り、かめに入れて地中に埋める風習があったんだ。やがて娘が成長して結婚するときになると、これを掘り出し美しい彫刻を施して娘の嫁入り道具にしたというよ。これが転じて、紹興酒の中でも長い期間熟成させたものを「花彫酒」と呼ぶようになったんだ。
紹興には長年熟成された紹興酒を出す居酒屋が並んでいてね、私もときどきこれを飲みに行くよ。
3.有名作家の日本留学
「阿Q正伝」や「狂人日記」を書いた魯迅は、日本でも有名な作家だね。彼は浙江省出身。紹興市で生まれ育ったんだよ。紹興には今も、彼の生家や通った塾、小説「孔乙己」にも出てくる「咸亨酒店」があるよ。
実は彼は、日本への留学経験もあり、1902年から09年、21歳から28歳にかけてを日本で過ごしたんだ。初めは医者を志して仙台の医学専門学校で勉強していたんだけど、中国人には身体の治療よりも先に精神改革が必要だと思い至り、学校を中退して文学活動を始めたんだ。彼の留学時代の姿を描いたのが、自身の小説「藤野先生」。また、太宰治の「惜別」という小説も、魯迅の留学時代の話なんだよ。
浙江省ってどんなとこ?
中国一美しいと称えられる「西湖」を擁する省都・杭州をはじめ、四大仏教名山の「普陀山」など美しい見所が多い。
【人口】4,898万人
【面積】10万1,800km2
【省都】杭州
【民族の割合】漢族91.1% その他民族0.9%
【平均寿命】74.70歳
【都市部平均年収】16,294元(約244,410円)
【農村部平均年収】6,660元(約99,900円)
■次回予告■河北省
①万里の長城の東の起点はどこ?
②名物料理は何の肉?
③河北省滄州の孟村には何の達人が集まる?
~上海ジャピオン4月27日発行号より