バックパッカーとは…
僕は風来坊りょ~た。
いつもは深センで放浪しているけど、
今回出張で上海に来ることになり、
滞在するユースホステルを探している。
何でユースホステルなのかって?
それは僕が放浪者…いや、
バックパッカー気質だからと言っておこう。
バックパッカーとは
バックパック(リュックサック)
を背負って、
低予算で個人旅行をする人のこと。
僕のように公共交通機関で移動し、
観光地を巡るのが好きな人もいれば、
長期間滞在して
地元の人たちとの交流を楽しむ人もいる。
その時、
その場所でしか得られない出会いや
経験があるから、
バックパック旅行はやめられないんだ。
1週間以上滞在することもザラだから、
バックパックには色んな物が入っている。
中でも欠かせないのが全世界対応の
「コンセント①」。
各国々でプラグの形状が異なるから、
電化製品を持参する人にはマストアイテムだ。
「加熱器②」は温かい物を飲みたい時に、
水に浸ければものの数分でお湯が沸かせるし、
「紐③」は、洗濯物を干す時に重宝する。
「S字フック④」は、
荷物掛けのないトイレで大活躍。
経験から言うと、
現地で安く調達できる物もあるから、
リサーチをした上で荷造りをするべきだ。
ユースホステルで安旅
話は戻って、
そんな低予算のバックパッカーの強い味方が
ユースホステル。
何でもサービスしてくれるホテルとは違い、
部屋は簡素だが、宿泊料が安い。
数人でシェアするドミトリーだったら
1泊100元もかからないし、
ユース会員になれば、割引きもあったりする。
安いだけじゃない、
多くの人に出会えることもメリットだ。
情報交換ができたり、
中には一生モノの出会いになることもある。
今は世界中色んなホステルがあるけど、
僕が選ぶ時に気を付けているのは、
まず安全かどうか。
当然と言えば当然だけど、
見知らぬ人が自由に部屋に入れたり、
相部屋のイビキがうるさかったり…、
心配でならない。
まあ先に部屋を見せてもらって、
慎重に選べば良いだろう。
次は交通アクセスの利便性。
あちこち回りたいわけだから、
地下鉄の駅から近いとか、
有名な観光地まで徒歩圏内などは
外せないポイントだと思う。
あとは、ラウンジなど、
ほかの旅人と交流できる公共スペースがあるか、
寒い場所ならお湯の出るシャワーの有無も重要。
でも、
あまり色々心配し過ぎても旅を楽しめない。
人や場所との出会い、
酸いも甘いも含めて楽しむのがユースホステルさ。
さあ、これから宿探しに行くとしよう。
窓からは外灘ビュー
船長がテーマのホステル
なるほど、これが外灘か。
黄浦江を挟んで眺める浦東と浦西は、
上海のこれからと
これまでの姿を同時に見せてくれるようだ。
そうこうしているうちに、
今日の宿「上海老船長国際青年旅舎」に着いた。
風の噂では
英国建築を改造したホステルと聞いたが、
その通り万国建築群の中に
違和感なく佇む洋風の建物だ。
早速中に入ってみよう。
ロビーに
操舵輪や船長の銅像が飾られているのは、
ホステル名の〝船長〟に
合わせてのことなのだろう。
海のない場所で育った僕は、
航海に憧れを覚える。
今回は海の旅ではないが、
海を感じさせてくれる
この宿に泊まってみるのもいい。
初日だし、色んな情報を得るため、
ドミトリーにしよう。
まず見せてもらった「水手艙」と呼ばれる
7~8人用の部屋には、
先客の西洋人が3人ほどいた。
バックパックから懐中電灯やら
ナイフやらを取り出しているところを見ると、
彼らもパッカーのようだ。
話も合いそうだし、
窓から見える外灘もキレイだから、
この部屋に泊まることに決めた。
彼ら曰く、ここは外灘、
浦東を楽しむのに絶好のロケーションで、
ホステルが組む独自のツアーもあるから、
初めて来海する人には便利なのだとか。
話が弾み、6階にあるバーのテラスで、
夜一緒に飲もうと誘われた。
友好的な人たちだ、
やはりパッカーはこうでなくては。
それまでは近くの南京東路を散歩しよう。
ロビーでは
インターネットが繋がるようだ。
酒の後は、明日の宿を調べなくては。
上海老船長国際青年旅舎
住所:福州路37号
電話: 6323-5053、5350-0353
URL:www.captainhostel.com.cn
料金: ドミトリー70元/日、シングル358元/日
ローカルの国際宿泊所
テラスから覗く暮らし
豫園をゆっくり散策したい、
と軌道交通10号線「豫園」駅を降りた。
近現代的な外灘からそんなに離れていないけど、
この歴史情緒溢れる街並みも、
上海の魅力の1つだろう。
豫園をさまよった後、
昨日相部屋の人に教えてもらった
「上海老西門国際青年旅舎」に着いた。
こんな所にホステルなんてあるのか、
と思わせるほどローカルなエリアだ。
周りには民家や店が立ち並び、
地元の人たちで賑わう通りになっている。
市場散策は後にして、先にチェックイン。
中華様式のドアを開けると、
フロアこれまたは中華様式の石畳。
国際という割には中華風な造りだが、
本当にここはユースホステルなのか?
バックパックを背負った客が
何人かロビーに立っているのを見て、
ホステルだと確信した。
ドミトリーは空いているかフロントに尋ねると、
今日はシングルしかないとのこと。
客室が少なく、
すぐに満室になる宿らしいので、
事前予約をしておくべきだった。
仕方がない、
とその部屋に案内してもらうと、
トイレにテレビ、電話もあり、
おまけに24時間お湯が使える部屋だった。
僕には少し贅沢かな、
と何気なくカーテンを開けると、
外には洒落たテラスが。
出てみると、近隣の民家が真横に見え、
上半身裸のおじさんが体操していた。
良い景色とは言い難いが、
大都会で、
こんなローカルな雰囲気を味わえる
ホステルも少ないだろう。
ロビーに置かれた、
パッカーの旅ノートに、
僕も地元に溶け込んだこの宿への想いを記した。
上海老西門国際青年旅舎
住所:蓬莱路115号
電話: 6366-5798
URL:www.lmhostel.cn
料金: ドミトリー55元/日、シングル158元~/日
極道の倉庫と蘇州河
全部屋ネット接続可能
昨日泊まったホステルの掲示板に、
「上海蘇州河畔国際青年旅舎」が
オススメと書いてあった。
詳しく読んでみると、
前を蘇州河が流れ、
かつて、杜月笙という
上海暗黒界の人物が使っていた
倉庫をリノベーションしたホステルだとか。
ギャングスター…、
男なら誰でも1度は憧れを持ったはずだ。
ワイルドな極道と美しい蘇州河、
このミスマッチさに惹かれ、
宿を訪ねてみた。
軌道交通1号線「新閘路」駅を降りて、
蘇州河沿いを北西に1㌔ほど進んだ所に、
そのホステルはある。
極道の倉庫らしく、
もっと重々しい外観を想像していたが、
実際は灰色を基調とした
レンガ造りのシックな建物だった。
伝説のギャングスターには
似つかわしくない落ち着いた雰囲気に
一目惚れしてしまった。
フロントに尋ねると、
浴室なしのドミトリーが空いていたので、
早速案内してもらう。
宿泊客が残したものなのか、
部屋までの廊下に描かれた、
花や風景を見るのも楽しい。
どうやら部屋は僕が一番乗りのようだ。
共同の洗濯機で溜まった衣服を洗い、
その間にネットで周辺情報を検索することに。
この宿は全室無線LAN完備なのだ。
部屋に戻り、
持参した紐を使って洗濯物を干すと、
最初片付いていた部屋が、
いかにもパッカーらしい、
散らかり具合になった。
建物の外に出て、
蘇州河を眺めながら今日という日を振り返る。
伝説のギャングスターも、
同じ景色をここから見ていたのだろうか?
上海蘇州河畔国際青年旅舎
住所:南蘇州路1307号
電話: 5888-8817
URL:www.yhaonline.com
料金: ドミトリー55元~/日、シングル238元~/日
北外灘の穴場ホステル
上海放浪の果てに
上海滞在も明日で最終日。
時間が許す限り、
思うままに外灘の辺りを徘徊していると、
いつのまにか北外灘と呼ばれるエリアに。
賑やかな外灘と比べて、ここは幾分静かだ。
この出張で、
最初はカッコよく思えた上海の高層ビルも、
今では見ていると不安になってくる。
数日続いた商談で疲れたのか。
あぁ、都会の喧騒から逃れたい、
と歩き続けていると、
見覚えのあるユースホステル協会の看板が。
確か老房子と言われる、
上海に多い洋風老建築だが、これが宿なのか?
独特の佇まいに吸い込まれるようにして、
入ってみた。
フロントや壁には動物や花の絵が
手描きでペイントされ、僕を包み込む。
このレトロで壮大な空間に浸りたくなる。
どこでもいい、早く疲れた心を癒してくれ。
早速フロントに尋ねると
「家庭房」という部屋に案内してくれたが、
ドアを開けた瞬間、ビックリしてしまった。
ベッドの頭側、壁一面に広がる森林の絵。
寝転がると、
森の中で寝ているような気分になった。
翌朝、2階の共同スペースで寛いでみる。
この心地良さに上海を去るのが惜しくなった。
今回訪れた4つのホステルへの感謝の意を込めて、
ゲストノートにホステルの名を記し、
僕は再び深センに戻る。
上海那宅国際青年旅舎
住所:保定路318号
電話: 6541-7062
料金: ドミトリー75元~/日、シングル189元~/日
~上海ジャピオン2012年9月7日号