【くず湯】
<紹介者> 鮨処「順」料理長上原敏夫さん
私の家では、風邪のひきはじめにくず湯を飲むようにしています。調理方法も簡単ですし、体もすぐにポカポカと温まってきます。おろしたしょうがを入れることで風味が出ますよ。また、砂糖を入れると甘くなるので、子どもでも飲みやすくなります。子どもの頃、おばあちゃんが作ってくれた少し甘いくず湯の味は、今でも忘れられませんね。
<作りかた>
①コップ1杯程度の水を鍋に入れて煮立たせる。この間、くず粉小さじ1杯を少量の水で溶いておく。
②煮立った鍋に水で溶いたくず粉を入れ透明になるまでかき混ぜる。この時に、おろしたしょうがや砂糖を入れると飲みやすい。
③とろみがついたところで、好みに合わせて柚子の皮をおろしたものをいれる。熱々のうちに飲もう。
<評価>
くずの根は「葛根(カッコン)」と呼ばれ漢方薬としいても用いられている。カッコンには解熱、発汗作用があるといわれている。
【卵酒】
<紹介者> 小粥崇史さん
風邪にはやっぱり卵酒ですよ。キッチンにある手ごろな食材でパパッと簡単に作れるのもうれしいですね。故郷の家では蜂蜜を少しいれて飲みやすくしています(←ここは自由に替えて下さい)。卵は栄養価が高いですし、酒は体の内側からポカポカ温めてくれます。少し寒いな~と感じたら試してみてください!
<作りかた>
①清酒を鍋にいれてアルコールを飛ばしながら暖める。この間、ボールに卵を入れ蜂蜜を加えてよくかき混ぜておく。
②ボールに入った卵を混ぜながら、アルコールを飛ばした清酒を少しずつ加える。
③②を分離しないように注意しながら湯煎すれば出来上がり。冷めにくい容器に移そう。
<評価>
卵は高たんぱくでビタミンも豊富。アルコールは体を温める効果があるので相乗効果もあり期待大!
【柚子茶】
<紹介者> パク・ファウンさん
韓国では「ユジャチャ」と呼ばれ、コンビニ、スーパー、どこでも買えるほどポピュラーな飲み物です。普通は瓶詰めになって売っているんですが、私はママの手作りを飲んでいます。柑橘系の香りと爽やな甘酸っぱさで、子供からお年寄りまで幅広く愛されています。柚子の皮まで食べるのがポイントです!
<作り方>
①柚子を半分に切って中身を取り出し、皮を細かく刻む。
②①と砂糖を1:1の割合で瓶詰めにして常温で放置する。
③砂糖が完全に溶けジャム状になったら完成。
④③をカップに入れ、適量のお湯で割る。
<評価>
柚子皮にはレモンの3倍の天然ビタミンCが含まれているといわれています。風邪予防だけでなく美容にも良さそう。
【冰糖燉生梨】
<紹介者> 王芬さん
咳が止まらない場合に、中国では梨と凍砂糖の蒸し煮を良く食べます。甘いので、子どもも大好きですし、私も小さいころ母が作ってくれたのを食べていました。素材は全て自然のものですし、体にも良いです。頂くときは、蒸したての熱い梨だけでなく、お碗へ流れ出た果実のスープも飲んでください。もちろん大人でも食べますよ(笑)。
<作り方>
①梨丸ごと1個のへたの部分だけを切り落とし、芯の部分をくり貫く。皮は剥かないように注意。
②くり貫いた芯の部分に凍砂糖を詰める。
③お茶碗などの碗に入れ、蒸し器で柔らかくなるまで蒸せば出来上がり。お碗にたまったスープも飲もう!
<評価>
梨は漢方で薬効のある果実とされており、体を冷やす効果があるといわれている。ただ、なによりも甘く美味しいものは体に良さそうだ!
※上記の民間療法は医療ではありません。38度以上の高熱やインフルエンザなどの症状が見られる場合は、早めに医療機関へ行くようにしましょう。
【ドクターに聞くインフルエンザ】
Q1どのようにインフルエンザの感染を確定するのでしょうか?
症状に加えて、流行情況と接触情況を念頭において、患者さんのインフルエンザ感染を疑います。疑いがある場合、確定のためにインフルエンザ判定キットを使います。鼻に綿棒のようなものを入れ、粘膜に付いているウイルスを取り測定するのです。
また近年、インフルエンザに感染しても37度程度の熱にとどまり、典型的な症状の出にくいケースがわかっています。そのような場合でも、インフルエンザに感染している確率が高いとみなした場合は、適切な処置を行うようにしています。ですので、おかしいなと気づいたら、来院して医師の診断を受けるようにしてください。
Q2インフルエンザワクチンについて教えてください。
ワクチンには、感染後の症状を軽くする効果があります。ワクチンを接種したからといって、インフルエンザに感染しないというわけではありません。
とりわけ子どもはインフルエンザ感染後、急激に「インフルエンザ脳症」などの致命的な症状に至ることがあります。このようなケースを少なくするためにもワクチンの接種が大切なのです。
ワクチン接種から2週間後に抗体がつき、その数は4週間後をピークとして、徐々に減少していき6ヵ月で約半分になるといわれています。インフルエンザが流行するのは、だいたい11月から3月です。10月から11月ぐらいにワクチンを接種するのが良いといわれるのは、このためです。
現在のところ、中国で接種することのできるインフルエンザワクチンは、欧米メーカーか中国メーカーのものとなります。ただ、ワクチンは毎年、WHOにより流行の予測されるインフルエンザウイルスの種類に基づいて決められているので、メーカーによる効果の違いはほとんどありません。
Q3これまでの上海でのインフルエンザの流行について教えてください。
当医院での診療結果でお答えさせていただきますと、A型7割、B型3割程度となっています。上海での特徴として、通常日本では晩冬に多いといわれるB型が、12月から確認されました。
その他、こちらにいる日本人の方は、どうしてもお付き合いが限定されてしまいます。そのため、インフルエンザに感染して来院される方の多い週とそうでない週の差が大きく、日本人社会の中でインフルエンザが流行するピークがはっきりしていることが、大きな特徴ではないでしょうか。例えば、旧正月前の週末には、1日だけでインフルエンザに感染、または疑われる患者さんが10人以上来院されました。
<ドクター紹介>
上海国際クリニック主任医師 小林 昌明
84年山形大学医学部卒業、第一外科(消化器外科)入局。99年外務省入省、01年在上海総領事館へ赴任。05年6月より上海国際クリニックにて勤務。「医師は日ごろ、患者さんに勉強させていただいています」を信条として日々、診察にあたる。何かわからないことがあれば直接kobayashi@kokusaiclinin.jpへ。
~上海ジャピオン2006年2月17日発行号より