オススメポイント
同作は、1930年代という激動の時代、上海と南京を舞台に繰り広げられる悲恋の物語。恋人同士の2人が別れ、長い年月を経て再会してからまた燃え上がる恋の情念を、文学的に描き出しています。
作中には、いわゆる悪役に分類できる人物も登場しますが、著者はその人物を徹底的な悪人として描写していません。登場人物たちはみな弱いところのある〝人間〟であり、そのリアリティある描写で、芸術性の高い文学作品と評価されています。アン・ホイ(許鞍華)監督によって映画化もされているので、小説の前にこちらを観ると、よりお話を理解しやすいでしょう。
18年後に再会する元恋人たち
1930年代の上海、タイピストとして働く女性・顧曼楨は、同僚である南京出身の心優しい青年・沈世鈞と恋に落ちます。2人は結婚を約束するも、家柄が釣り合わないという理由で両家の親が反対。何とか周囲に認めてもらおうと頑張っていた2人ですが、曼楨の姉・曼璐のある計略によって、やはり別れを選択せざるを得なくなります。
それから18年後、2人は再会を果たしますが…。
~上海ジャピオン2014年3月21日号