中華調味料いろいろ
タレのブレンドについて紹介する前に、日本では聞き慣れない調味料について理解しておこう。
中華料理で使う香油(シャンヨウ)は、身体に塗る香油(こうゆ)とは全くの別物。こちらはゴマ油と同じ、ゴマから抽出した油で、ゴマ油よりも香りが強い。火鍋のタレは香油のみ、という人も多いほど、火鍋タレとしてよく使われる油だ。
一方の生抽(シェンチョウ)、蚝油(ハオヨウ)もタレのブレンドに活躍する調味料。それぞれ日本の醤油とオイスターソースに味が近く、日本人でも馴染みやすい。また、海鮮がベースとなっている沙茶醤、XO醤も旨みが凝縮されていてオススメ。
豆腐の発酵食品である腐乳(フーニュウ)は匂いがキツいが、タレに少しだけ足すと味に深みがます。ちなみに腐乳汁は、腐乳の瓶詰めに入っている汁。
味重視か、香り重視か?
北京市など中国北の地方に多い、羊肉の鍋。鍋のスープが薄味なので、タレはこってりゴマだれベースを合わせると、羊肉とよく合う。
さらに重厚な味に挑戦したければ、腐乳に、ニラの花を主とした調味料「韮菜花醤」とゴマを加えたタレをお試しあれ。匂いの強い羊肉とタレ同士が、絶妙なハーモニーを奏でる。ほか、ピーナッツバター「花生醤」に生抽を加えても◎。
一方、四川省や重慶市に代表される辛い鍋には、香油をベースとしたタレがオススメ。元々スープにしっかりと味が付いているので、香油やニンニク、パクチーなど、味は薄いが匂いが強い調味料のみを使い、火鍋の風味を損ねず香りをプラス。口に入れた瞬間に香りが鼻を抜け、辛さに深みを与えてくれること間違いなしだ。
具だくさんソースをどうぞ
野菜やキノコベースの火鍋や、近年流行中の牛肉火鍋など、あっさり系の鍋には、海鮮の旨みがギュッと詰まった茶色い具だくさんのタレをつけていただこう。
海鮮類を煮詰めた「沙茶醤」と、キノコ数種を煮込んだ「香菇醤」はともにジャリジャリとした歯触りで、レタスや大根などにつければ楽しい。仕上げにニンニクとパクチーをたっぷり入れて、さらに濃いタレに…これは〝食べるタレ〟として、白米に乗せててもおいしそうだ。
エビや白身魚には、羊肉と同じく、こってりゴマだれが相性バツグン。腐乳の瓶詰めに入っている液体「腐乳汁」を少し入れるとコクが増す。一方、海鮮類には「生抽」などの醤油ベースか、黒酢を付けていただくのが一番、という人も多いそうなので、こってりか、さっぱりかは好みに合わせてどうぞ。
変わり種タレに挑戦
最後はちょっと変わったタレブレンドを紹介。XO醤をはじめ、具だくさんの調味料と香味をこれでもかと乗せたらできあがるのが「海底撈ブレンド」。海底撈は有名な火鍋チェーンだが、このタレに店名が付いた理由は、同店の火鍋に合うからなのか、同店にある調味料で作ったからなのかは、よくわからない。
一方、どうも火鍋のタレは油っこかったり、味が濃かったりで好きではない、という人はパウダー系のみを組み合わせた「干料」と呼ばれる調味料ブレンドを試してみよう。トウガラシパウダーに砕いたピーナッツ、塩、ゴマを入れた「干料」は、辛いもの好きには堪らない。火鍋だけでなく、串焼きなどにも合わせたい。
~上海ジャピオン2019年9月6日発行号