賢くオトクに、アジアごはん探検!

話題のベトナム料理店が初来海

福建省福州市創業、昨年末に上海に初出店したベトナム・フォー専門店「PHOLOSOPHY西貢厨房」。本場の味に独創性を追求する料理が楽しめることで、多くのブロガーに取り上げられる人気店だ。11号線「雲錦路」駅から徒歩5分の「AI PLAZA西岸鳳巣」に位置し、「西岸美術館」や「油缶芸術中心」にも近いため、周辺を散策する合間の食事にピッタリ。ガラス張りで、オシャレなカフェのような店に入ると、こぢんまりながらも清潔感があり、女性同士でも入りやすい明るい雰囲気だ。

サッパリ・オイシイ・ヘルシー

同店のこだわりは、一切の化学調味料を使用せず、毎日牛骨と野菜を10時間以上煮込んで作り上げたスープ。それを生肉にかけて、熱々のうちにいただくのも本場ベトナムらしく◎。看板メニュー「招牌火車頭越南河粉」(58元)には、霜降り肉や牛すじ、牛肉団子、牛モツ、野菜など具材がたっぷり。ツルンと滑らかなビーフンが、コクのあるスープによく合って箸が進むおいしさ。この1皿で58元という価格設定も納得。

もう一品ほしいなら、おかずの「越南脆皮鶏全翅」(32元/2羽)がオススメ。カリッと揚げた手羽先を、細切りの梅干菜や玉ネギなどで配合した、甘酸っぱい特製ソースに漬けた一皿。旨味と酸味のバランスが絶妙で、梅干菜特有の風味がアクセントになり、サッパリでジューシー。まさに中と洋のハーモニーを見事に奏でる一品だ。

 

本場マレーシアの味ここにあり

東南アジア料理店「秘之味東南亜料理」には、5ツ星ホテルでエクゼクティブシェフを務めた料理人歴20年のマレーシア人シェフが在籍し、上海でも珍しい伝統的「ニョニャ料理」を提供する。木や竹のナチュラルな雰囲気の店内には、エキゾチックな絵と雑貨が飾られ、アジアンテイスト溢れる、落ち着いた空間だ。

プラナカン文化のニョニャ料理

中華とマレー料理が融合したニョニャ料理は、中国の食材や調理法を用い、地元のスパイスやハーブなど取り入れ、風味豊かに仕上げるのが特徴。今回は、看板の「ナレシマ(馬来西亜椰漿飯)」(58元)を注文。ひと皿にフライドチキンとタマゴ、小魚、ピーナッツ、野菜が添えられて色鮮やかだ。ココナッツミルクやパンダンリーフ、レモングラスなどで蒸したライスは香り高く、具材と一緒に食べると、米粒のやさしい甘さや乾物の香ばしさ、チキンのジューシーさが口の中に広がり、食感と味のバランスが秀逸。途中でサンバルソースで辛味をプラスしてトライ…最初は、ココナッツ風味ご飯との組み合わせが不思議だったが、慣れたらクセになるかも?

ヤマイモやムラサキイモを配合した餡を、網目状のライスペーパーで巻いてパリパリに揚げた「娘惹山薬巻」(18元/3本)。衣はサクサク、中はホクホク、とろりとした絶妙な口当たりがヤミツキになる。タイ風の甘辛ダレを絡めてさっぱりと堪能もよし、デザート感覚で芋類の自然な甘みを楽しむのもよし、大人にも子どもにも喜ばれそうだ。

 

ココナッツミルクの麺

巨鹿路に構える小さなシンガポール料理レストラン「滕記星発餐室」。香港の「茶餐厅」のようなカジュアルでちょっとレトロ感が漂う店内は、平日のランチタイムでもほぼ満席。ピークタイムを避けて行くと、並ばずにすむだろう。

同店のオススメ「シンガポールラクサ(新加坡叻沙)」(52元)は、東南アジアで広く食べられるエスニックヌードル。魚介出汁にココナッツミルクとスパイスを加えたスープと、プルプルの太い米の麺が特徴だ。同店のラクサは、エビと油揚げ、玉子が入っていてボリューミー。辛そうな見た目に怯えながら一口すすると、ピリッとした辛さの後に、ココナッツのまろやかな甘さが広がる。クリーミーなやさしい味わいと、プリッとした麺のハーモニーがやみつきになるおいしさだ。

胃と心が癒される味

サイドにはバナナ味の「飛餅」(16元)をチョイス。中国の「手抓餅」にも似た薄い生地に、ペースト状のバナナがくるまれた素朴な味わいだ。コンデンスミルクの甘さ際立つ「テ―タリック(拉茶)」(22元)は、紅茶とミルクを高いところから注いで混ぜ合わせるという本場の作り方が守られており、トップがもこもこと泡立っている。

中華料理の辛さや、東南アジアのパンチあるスパイスにやられた時に、ここでほっと癒されたい…飾らない味と、どこか懐かしさを感じる雰囲気の店で、胃と心を労わろう。

 

工場跡地の多国籍料理店

「上海人民電機」の工場跡地をリノベーションした複合施設「800秀創意園区」内にある、アジアン料理店「Masse Gastro Lounge」。とても工場跡地とは思えない、オシャレな建物が立ち並ぶ中にある同店では、タイやインド、マレーシアなど、南・東南アジアの国々の料理を味わうことができる。

パニプリにハマる

今回は贅沢にインド料理「パニプリ」(38元)とタイ料理「パッタイ」(48元)、一度に2カ国の料理を堪能しよう。初挑戦の「パニプリ」とは、小麦粉などで作った生地を揚げた〝プリ〟と呼ばれる空洞のボールに、ジャガイモとヒヨコ豆をペーストにしてスパイスを効かせた具と、〝パニ〟と呼ばれるソースを入れて食べる、インドのストリートフード。ハーブとスパイスで刺激的なのが本番のパニらしいが、ここでは甘さ強めのチリソースとミント風味の爽やか塩水といったところで、インド料理初心者でも食べやすい。パリパリ食感の生地の中にスパイシーで甘くしょっぱい味が混ざったパニプリ、スナック感覚で食べられハマること間違いなし。変わって、ライスヌードルにエビやモヤシ、ニンジンなどを入れて炒めた「パッタイ」は、ナンプラーの風味が薄めで、味にインパクトをプラスするライムなども添えられていないため、物足りなさを感じる一品だ。主食は、人気の「ラクサ」(68元)など、ほかのメニューを選ぶのがオススメ。

 

~上海ジャピオン2022年3月18日号

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