2019年は、中華人民共和国成立70周年という記念すべき年。国を挙げて様々なイベント・行事が催され、中国各地が国旗で真っ赤に染まった。
70周年祝賀イベント
国慶節に当たる10月1日(火)、北京市の天安門広場にて、建国70周年祝賀パレードが開催。朝のパレードから夜の祝賀会まで、ほぼ1日掛かりで行われたイベント。その様子はテレビで生放送され、中継で見た人も多かったのではないだろうか。
一糸乱れぬ隊列も圧巻だったが、今年はそれに続いた、一般人による豪華絢爛なパレードが見事だった。のべ10万人、70台のパレードカーを投入したこのパレードでは、70年間の歴史や文化、民族の調和、中国各地の発展を表現。1時間に渡って街道を賑やかした。
中国各地でフラッシュモブ
「我和我的祖国、一刻也不能分割(私と我が祖国は、片時も離れられない)」で始まる曲『我和我的祖国』は1985年に発表されたが、建国70周年で再びブームに。今年の春節期間、中国中央テレビ(CCTV)が、中国各都市の街頭で、オーケストラが突然この曲を演奏し、皆で歌うというフラッシュモブを行い放映。これが反響を呼び、その後も各都市で同様のフラッシュモブが催された。上海市でも外灘や松江区、長寧区の中山公園、金山区のビーチなど、数多くの場所で開催。遭遇した人はいるだろうか?
国産映画がヒット
国慶節休暇期間中に、国産映画『我和我的祖国』、『中国機長』、『攀登者』が公開。どれも中国の史実をもとにした内容で、特にそうそうたる監督と俳優陣が出演した『我和我的祖国』は、12月に興行収入30億元を突破し、歴史に残る大ヒットを飛ばした。
続いて中国の重大ニュースを見ていこう。昨年に引き続き中米貿易摩擦が世界経済に大きな影響を与えた一方、世界的な大発見もあった。
中米貿易摩擦第1段階合意
2018年から始まった中国・アメリカ間の貿易問題は、今年も決着せず長引いた。しかし12月13日(金)、中国とアメリカは、9項目に渡る第一段階の貿易協定文書で妥結。アメリカ側が15日(日)に予定していた、1600億㌦分の対中関税を無期限に延期、且つ9月1日(日)に発動していた1200億㌦分の対中関税を7・5%に引き下げることを決定し、世界中から安堵のため息が漏れた。ただ以降も、関税緩和に向けての話し合いは継続される。来年も世界中が気を揉むトピックとなりそうだ。
ブラックホールの撮影に成功
中国、日本、アメリカなど世界中の研究者・機関が参加した国際共同研究プロジェクト「イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)」は4月10日(水)、世界で初めてブラックホールの撮影に成功した。米科学誌『サイエンス』は2019年の成果のトップに、この出来事を挙げ「チームワークと技術が生んだ驚くべき偉業」と称えている。
これは世界中の電波望遠鏡をつなぎ合わせ、地球サイズの仮想的な望遠鏡を作り上げるというプロジェクトが実現したもの。国を超え、英知と最近技術の結晶が成し遂げた快挙は、まさしく人類の歴史のページに刻まれるべき出来事だ。
ジャック・マー(馬雲)引退
「阿里巴巴集団(アリババ・グループ)」の創業者ジャック・マー(馬雲)氏が、9月10日(火)に会長職を退いた。一方で同企業が先導する〝双11〟セールでは、今年も過去最高の売り上げを記録。一大カリスマの引退後の躍進が注目されている。
上海市では今年、市民の生活に直結する制度やサービスの施行、施設のオープンが相次いだ。
ゴミ分別新条例が施行
上海市では7月1日(月)から、新しいゴミ分別条例「上海市生活垃圾管理条例」が施行。今までは「生活ゴミ」としてほぼひとまとまりに捨てられていたゴミが「湿垃圾(生ゴミ)」と「干垃圾(乾いたゴミ)」に加え、「有害垃圾(有害ゴミ)」、「可回収物(リサイクルゴミ)」の4種類に分類され、市民はゴミを分けて捨てることが義務付けされた。
施行開始直後は、違反した際の罰金に怯え、どのゴミがどのカテゴリに入るかわからないなど少々混乱する市民もいたが、今は一段落した印象。一方でこのルール施行を商機と捉え、ゴミ捨てや分類の代行サービスや、ディスポーサーの販売が急増した。また、生ゴミの臭いや、ゴミを捨てられる時間の制限など、課題もチラホラ。ゴミ分類については来年も、新しい取り組みが次々と出てきそうだ。
浦東国際空港衛星庁オープン
浦東新区の浦東国際空港では9月、サテライトターミナル「衛星庁」がオープン。早くも同ターミナルを利用した日本人からは、清潔で静か、快適だと好評だ。同ターミナルオープンにより同空港は、年8000万人規模の利用を見込む。今後は同空港と虹橋国際空港を結ぶ新しい軌道交通が、2024年に竣工予定。空港間の移動がますます便利になる。
5Gサービスが開始
上海市では日本に先駆け、第五世代移動通信システムのサービスが開始。第四世代と比べ高速・大容量、低遅延、多接続を実現した同システムの普及で、来年以降、市のITサービスが飛躍的に発展することは間違いないだろう。
~上海ジャピオン2019年12月27日発行号