激化するチケット争奪戦
中国人旅行客の増加で
年々激しくなる連休前の帰国チケット争奪戦。
理由としては、上海に居住する日本人の数が増えていることもあるが、
近年の傾向としては、2009年7月から個人観光ビザが解禁された影響で、
中国人の訪日旅行客が急増していることも一因だろう。
JNTO(日本政府観光局)の統計によると、09年10月~10年2月の中国人訪日旅行客は、
前年同期比の20%増になっているという。
ますますチケットが取れにくい状況になっているわけだ。
まもなく訪れる5月1日の労働節は、2月の春節、10月の国慶節に次いで混雑する時期だ。
特に今年は万博開催の年ということで、上海市では4月30日(金)から5連休となる。
日本へ帰国予定にも関わらず、まだチケットを予約していないという人は、かなり危険だ。
では、このような事態に陥らないようにするためには、どうしたら良いのか?
まずは混雑期にも確実に航空券をゲットし、争奪戦に巻き込まれないようにする賢い購入方法を把握しよう。
日系航空会社の関係者に、話を聞いてみた。
とにかく早めの行動を
急変するチケット価格
ポイントはやはり、「とにかく早めの予約確定と手配に尽きる」とのこと。
では、一体いつ頃前から予約・手配ができるのか?
これについては意外と早く、予約だけならANAは出発日の355日前から、
JALは出発日の330日前から受け付けを開始しているという。
購入についても、大体6カ月を目安として、運賃が発表され次第スタートする。
混雑期は事前に各社HP(ANA:www.ana.co.jp、JAL:www.jal.co.jp)をこまめにチェックし、
いち早い行動を起こすことが肝心だ。
値段も、混雑期は予約の時期によって大幅に変化する。
一般に3カ月以上前に予約した場合は、最安で3000~4500元程度で予約が可能なのに対し、
連休間際になってから予約すると、8000~1万元と正規価格により近くなる上、
それでも売り切れになってしまう。
とはいえ、そんなに先の休みの予定まで立てられない、
急に帰国することになったという場合も多々あるだろう。
では、そんな状況下でも何とか日本へ帰国するにはどういう方法があるか、主な4パターンを紹介する。
?
上海から日本へ帰国する場合、行き先は東京(成田、羽田)、大阪、名古屋の3都市という人が多いだろう。
それぞれ毎日発着があるが、その分人気も高く、真っ先にチケットが売り切れていく可能性が高い。
なお、その次には、福岡、札幌など地方都市が続く。
チケットが取れない! という状況になった時、まず考えられるのが日時の変更とキャンセル待ちだ。
やりたい事は盛りだくさんだし、休みいっぱい日本を堪能したいところだが、
全ては早めに準備しなかった自分が招いた事態…。
1日、2日のズレはあきらめて、早めに第2、第3候補の出発日を調べていこう。
こちらも日程が近づくにつれ、どんどん埋まっていくので、迅速な行動が必要だ。
キャンセル待ちでは、出発ギリギリまで結果が分からないことが多い上に、
キャンセルが出なかった場合帰国できなくなることもありえる。
結婚式など、どうしても外せない用事がある人は、他の策を考えた方が無難だ。
多少値段が高くても確実に予約したい、という場合には、ビジネスクラスを利用するのもひとつの手。
ビジネスクラスは正規価格が往復1万元前後と高めに設定されている分、
エコノミーと比べて時期による価格の変動が比較的少ない。
ゆったりと座れて、食事やサービスもメリットがあることを考えれば、多少奮発してみるのも良いだろう。
体験裏話
日本で帰国便を変更できた!
一昨年の春節に帰国チケットを予約したら、帰りが希望日より2日早い便しか取れなかったんです。
仕方ないと思ってとりあえず日本に帰ったんですけど、
日本から直接航空会社に電話してみたら、希望日の便に変更できたんです!
ダメモトで試してみて良かった~。
(現地採用 H.K)
?
少し日程をズラしてもやはりチケットが取れない、という場合には、
中国の都市を一旦経由してから向かうのがオススメだ。
日本人の数が多い上海よりも、各都市へ移動してからの方が、チケットが残っている可能性が高い。
日本各地への直行便がある主な経由地としては、大連、青島、南京、西安、広州などが挙げられる。
東方航空には、杭州から大阪と東京へ発着している便もあるので、
新幹線(動車組)に乗って陸路で移動してから飛行機に乗ることも可能だ。
ただしその場合、駅と空港への移動に時間がかかるので、時間にだいぶ余裕をもっておく必要がある。
また、利用者が少ないだけあって、経由する場所によっては、
1日1本だったり決まった曜日しか運航していなかったりと、便数が限られていることが多い。
そのため利用するには、自分が希望する出発日とタイミングが合うかどうかが一番の肝となってくる。
中国国内経由のチケットさえも取れないという時には、
思い切って韓国やタイなど、海外を経由するのもオススメ。
時に韓国は近いので、飛行期間も短く、チケット価格も安めと良いことづくめだ。
日本国籍のパスポートなら、ビザの心配も要らないことが多いので、いざという時は検討してみよう。
体験裏話
大連経由成田行き往復4000元
同僚とチケットが取れない~と半泣きになっていた時、
大連経由成田行きの便があるという情報を聞いて、すぐに飛びつきました(笑)。
大連に夜着、翌朝便で成田だったので、行きは同じホテルに宿泊したり、
帰りは乗り換え待ちの間にマッサージに行ったりと楽しめましたよ。
(現地採用 K.O)
?
経由できるのは、何も中国や海外の都市だけではない。
上海からは東京、大阪、名古屋、福岡、札幌以外にも、
日本の各都市へ直行便が出ているので、日本国内を経由するという方法もある。
東京や大阪と比べて利用者が比較的少ないこともあり、意外と空席が残っていることも多い。
しかし状況によっては、地方都市への便よりもやはり便数の多い
東京や大阪への便が残っていることもあるので、ケースバイケースではある。
上海からの直行便がある都市には、富山、新潟、静岡、小松、岡山、広島、鹿児島、那覇などが挙げられる。
時間がなければ自分の最寄りの空港から近い場所を選んで、そこから列車などでさっと移動するのもいいし、
この際思い切って、沖縄あたりを観光がてら経由するのもいいだろう。
料金は購入時期や経由地での滞在時間によって異なるが、
単発で旅行に行くよりも、安価で立ち寄ることができる。
日本国内を経由する際は、中国や海外の都市を経由するのに比べて、
トランジットの際の待ち時間を、有意義に過ごせることも利点だ。
日本の空港は施設やサービスが充実しており、付近に住む若者にとってはデートスポットになっているところも。
土産物や本屋はもちろん、ネイルアートや美容院、宝くじカウンターまであり、時間つぶしには事欠かない。
体験裏話
札幌→福岡が12000円
僕は北京にいた頃、北京→東京→札幌→福岡→北京というルートで帰国したことがあります。
この時は、Visit JAPANキャンペーンチケットを使ったので、日本国内一区間12000円と格安で周遊できました。
経由便は安く各地を旅するのにもってこいですよ!
(留学生 T.O)
?
どうしても空の便が取れないなら、もう海を渡るしかない。
そこで頼りになるのが、神戸・大阪と上海を結ぶ、新鑑真号だ。
こちらの利点は、時期によって値段が左右されないこと。
値段は等級によって異なるが、大人は片道1人2万円から、学生なら片道1人1万8000円からで利用できる。
欠点は、2泊3日と移動時間が長く、週に1便しかないこと。
上海からの出発日は毎週土曜日の13時が基本で、翌月曜の朝9時半には神戸・大阪に到着する。
日本から上海へは毎週火曜の12時発なので、往復ならとんぼ返りになってしまうが、
片道だけならのんびり旅気分で利用するのもアリだろう。
予約は乗船日の2カ月前から7日前まで受け付けており、
サイト(www.shinganjin.com)からオンライン予約も可能。
代金の支払いは、当日港でチェックインする際に行う。
支払いは日本円で、現金のみ。
また新鑑真号のほかに、上海と大阪を結ぶ蘇州号もあるので、
こちらもサイト(www.shanghai-ferry.co.jp)をチェックしてみよう。
移動時間が長いだけあって、初対面の人と触れ合う機会が多いのも船旅の醍醐味。
思わぬ出会いが待っているかも!?
体験裏話
異文化交流の場
船内のラウンジで、中国人や韓国人、日本人留学生とも知り合いになりました。
ビールや白酒を飲みながら皆で熱く口論を交わしたりと、長い船旅も楽しむことができました。
普段ではなかなか出来ない体験なので、有意義な旅になりましたよ。
(駐在員 K.G)
~上海ジャピオン4月9日号より