無心になるひとときを過ごす

体を使い、心を解き放つ、人生の伴侶となる文化


 公園で、石畳に漢字を書き連ねる老人を見かけることがある。悠久の歴史の中で育まれた中国書法が、今も市民の暮らしの中に生きている証だ。それはもちろん、日本人に馴染み深い書道の源流でもある。日本人生徒も多い「歓楽中国語文化学習センター」の書法教室を訪れた。

スポーツと同じ効果

 しんと静かな空気が、教室に張り詰めている。先生が見守る中、3人の生徒が、ゆっくりと力強く筆をすすめる。
 「書法はスポーツの一種。例えば、上達するには、まず基礎的な体の動きを学ぶのです。」
 そう話すのは、同教室の韋先生。座る姿勢から腕の動きまで、基礎として学ぶことは多い。その鍛錬を重ねれば、「毛筆を指先と感じられるほど」自由に動かせるようになる。それを実感することが、書法の楽しさだ。
 「また、見た目はゆっくりした動きでも、様々な筋肉を使っているところは太極拳。呼吸のコントロールも必要なので、そこはヨガにも似ています」
 そのため、書法の後は、運動後のような充実感がある。韋先生は、歴史上の偉大な書家たちの多くが長命であることにも触れ、書法が健康に大きな効果があることも説明する。

△広い机の上には、生徒の書いた字がぎっしり。静かな空気と墨の香りが、心を落ち着かせてくれる。

人生を魅力的にする力

 「無心になれる瞬間が、書法の魅力です」。生徒の石川さんはそう話す。ストレスから放れ、心身をリラックスさせる効果――それはやはり、太極拳やヨガにも通じるのかも知れない。
 「書法を始めれば、人生を新しい角度で見ることができる気がします。友人、家族、仕事の印象も、きっと変わるはず」
 そう話す韋先生は、唐代の書家・顔真卿を、「字から誠実さと包容力を感じるから」敬愛している。その心はどんな生き方にも大切だから、と微笑む。

△一人ひとり、先生が丁寧に筆の使い方を説明する。日本語の通訳がいるので言葉も安心だ。

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歓楽中国語文化学習センターでは、書法のオープンクラスの申し込みを受け付け中。問い合わせは6208‐9736。

~上海ジャピオン3月9日発行号より

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