オススメポイント
同作は、1970~80年代にかけての時代の変遷とともに、人々の前に立ちはだかる様々な問題を深く掘り下げ、現代の中国を俯瞰的な見方で描いています。また、当時の農村での日常風景も丁寧に描写されており、冠婚葬祭など地方の風俗習慣を理解するのにも役立ちます。
そして何より、主人公が時代に翻弄されながらも、様々な困難に立ち向かう姿は、現代の若者にとって大いに刺激となると思います。全三部作の長編小説なので、初・中級者には、読み進めるのにパワーがいるかもしれませんが、現代中国文学を代表する同作品、ぜひトライしてみてほしいですね。
日常生活と時代の流れが複雑に交錯
舞台は、1975年~82年の陝西省農村一帯。孫兄弟を中心に、その家族や親戚、クラスメート、村の幹部などが、当時の中国社会の状況下で巻き起こる様々な問題に揉まれながらも、それぞれの階層で逞しく生きる姿が活き活きと書かれています。挫折や痛み、希望や歓楽―日常生活と巨大な社会が複雑に交差し合い、時にその大きな時代の流れに飲み込まれることも…。
中国北部の農村の生活と変遷の様子が、リアリズムの手法で描かれています。
~上海ジャピオン2013年11月1日号