オススメポイント

同作は、呉念眞が初めて手掛けた同名のテレビ番組を基にしています。中国台湾の各都市や農村の風景を丁寧に切り取り、様々な地域の風土と人情について伝えています。全編を通し、人情味に溢れた情景は、読み手の心をじんわりと温めてくれることでしょう。現代の忙しい生活に追われるあまり、埋もれてしまった美しい記憶を呼び起こすような作品です。

著者が「中国台湾で最も美しい景色は人だ」と言い切るように、人々の何気ない生活が仔細に表現され、まさに映画と小説の融合と言ってもいいでしょう。また同作は、中国台湾の国語の教材にも使われているんですよ。

人々の暮らしから読み解く、中国台湾

同作の主人公となるのは、中国台湾で生きる市井の人々です。伝統を守り、美徳を重んじる彼らの生き方が、生命力溢れる生活風景を通じて描かれています。

登場人物は東吉嶼で歌を歌うお婆さんや、懐かしのポン菓子売りの老人など、一般大衆。さらに伝統の茶芸文化や入れ墨文化などにも触れています。彼らが日常の生活の中で、時に涙し、時に喜び、そして変わらぬ温もりを持ち続ける姿を、克明に記録した作品です。

～上海ジャピオン２０１３年１２月１３日号