オススメポイント
作者である姜戎は、青年時代の11年間を内モンゴル自治区で過ごしました。同作はその経験を活かし、30年余りの年月をかけて書き上げられた小説です。2004年に出版され、同年の〝中国十大ベストセラー〟に選ばれました。
物語は都市部の青年が、内モンゴルで狼とともに生きる遊牧民たちと生活し、その精神に感化されていくというストーリーです。昔から中国では、狼は強欲で冷酷で腹黒いと言われ、悪いイメージの強い動物です。しかし同作には、狼の力強く勇猛果敢で、機智に富む様が綴られています。狼の不撓不屈の精神が、読者に勇気を与えてくれるでしょう。
大草原を駆ける覇者、気高い狼を描く
主人公・陳陣たち数人の青年は、都市部から内モンゴル自治区を訪れ、何もない草原に暮らす遊牧民たちと知り合います。遊牧民は狼が羊を殺しても、何も言いません。問い詰める陳陣に遊牧民は「では、(羊に食べられる)草はかわいそうではないのか」と聞き返します。青年たちはそんな〝自然の摂理〟に戸惑いながらも、次第に共感していきます。
草原で繰り広げられる大自然の摂理から、命の気高さを描いた作品です。
~上海ジャピオン2014年5月23日号