赤い金魚が描けたら、緑の金魚もスラスラ
水墨画を習う人たちが増えている。
中国では日本と違い、黒のほか様々な色も使うので、はっとする鮮やかさがある。
そもそも「水墨画」とは、中国伝来の絵画が日本で発展したもの。中国ではこうした伝統画を「国画」と呼ぶ。
その楽しさを探して、漢龍文化中心の教室をのぞいてみた。
筆遣いは書道のように
教室に入るなり目に飛び込んできたのは、赤・黄・橙色の、可愛らしい金魚たち。「しっぽの長さはこのくらい?」「文字はどう書くの?」日本人の生徒の言葉を、通訳の李さんが丁寧に先生へ伝える。
「絵は描くたびに変わるもの。私の絵をそっくり真似しなくてもいいんですよ」そう教える馮静(ひょう・せい)先生は、書家だった叔父の紹介で画家に紹介され、子どもの頃から国画を習っていたという。墨の濃淡を活かしながら、筆でひいた線の美しさを追求する国画は、書道にも通じるものがあるようだ。
先生は、大学でも国画を専攻した専門家。
教え方は奔放で、生徒の自主性を楽しんでいる様子。
色や形も自由に工夫
「上手に描こうとすれば大変だけど、子どもみたいに好きなように描けば楽しい。この自由さが魅力」生徒の本田さんはそう話す。わいわい質問が飛び交う教室は、確かに小学生の習い事のように楽しげだ。金魚の絵に、「おいしそう」なんて声も入る。
最後に馮先生が描き足した金魚は緑色で、最初とは色も向きも違う。「ひとつ絵を覚えたら、工夫して色や形を変えてみて。例えば、さくらんぼが描けたら杏や梨も描けるはず」そう言う馮先生は、好きなものを描く楽しさをずっと忘れていないようだった。
先生と生徒が今回描いた金魚。
何度も重ねられた色のグラデーションが美しい。
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漢龍文化中心の水墨画(国画)教室は1回2時間で、料金はひとり100元。受講者2人以上必要。
問い合わせは、虹橋校6278‐7220、古北校6275‐1881、浦東校5836‐6680。
~上海ジャピオン9月22日発行号より