チャイナ地理塾:湖南省

1.色と匂いにびっくり

 街中で、急に鼻をついた異臭に振り返ると、露店で茶色い四角いものを揚げて売っていた――そんな経験、ないかな? そう、ものすごい臭いを放つことで有名な小吃「臭豆腐」だ。
臭豆腐は、植物の汁や石灰なんかを混ぜて納豆菌などで発酵させた漬け汁に、豆腐を漬け込んだもの。この漬け汁が独特の臭いの原因なんだ。湖南省の省都・長沙の漬け汁は少し変わっていて、黒豆?・炭酸ソーダ・しいたけ・茅台酒などの原料を合わせて作る。色は真っ黒。これに白い豆腐を漬け込むと、豆腐も真っ黒になる。これを揚げて、激辛ソースをかけたのが長沙名物の臭豆腐。「かげば臭いが、食べれば香ばしい」といわれる、 一度は試してみたい食べ物だね。

2.時を越えた女性

 今から35年前、長沙にある古墳「馬王堆漢墓」で発見された約2100年前の女性の遺体が、世界を驚かせた。2100年前に亡くなったはずなのに、乾燥・ミイラ化せず、つい数日前に亡くなった様な状態。目・鼻・口もほとんど変形しておらず、皮膚にも弾力があり、胃の中には亡くなる直前で食べた瓜の種も残っていたんだよ。
普通それほど昔の遺体なら、人工的に防腐処理を施されるか、極度に乾燥した環境で自然にミイラになるなど特殊な状況が必要になる。でもこの遺体は、亡くなったままの状態で埋葬されていただけ。この謎はまだ解明されていないんだ。
この遺体は今、防腐処理などを施され、湖南省博物館の地下室で眠っているよ。

3.狭小空間利用法

 多くの少数民族が暮らす、湖南省西部の鳳凰県。そこにある小さな町「鳳凰古城」は、明清代の町並みを今に残していて、「中国で最も美しい町のひとつ」とも言われているんだ。鳳凰古城の町中には古い城壁が巡らされ、町の真ん中には沱江という澄んだ川が流れているよ。
この川沿いの家々は独特な造りをしているんだよ。昔、城壁と川の間の狭い空間を利用して家を建てるため、川の上までせり出すように床を作ったんだ。そのせり出した部分はつっかえ棒のような柱で支えている。少しでも広く使うための知恵だね。
このような家は「吊脚楼」と呼ばれ、現在では民宿などとして使われている。川に面した部屋からの眺めはとても趣深いよ。

湖南省ってどんなとこ?

世界遺産「武陵源(張家界)」をはじめ、自然、動植物、鉱物資源が豊富。湖南の料理は中国で一番辛いともいわれている。

【人口】6768,1万人
【面積】21.18万km2
【省都】長沙
【民族の割合】漢族89.8% その他民族10.2%
【平均寿命】70.66歳
【都市部平均年収】10,504.67元(約157,570円)
【農村部平均年収】3,389.81元(約50,847円)

■次回予告■陝西省

①「餃子宴」の餃子は何種類?
②始皇帝は何歳の時に自分のお墓を作り始めた?
③宝鶏出身とされる「神農」は何を始めた人?

~上海ジャピオン3月16日発行号より

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