食道をゆく 第53回 抜絲地瓜

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バースーディーグワ
抜絲地瓜
~河北省石家荘市~

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中はほくほく、外はパリパリ

糸状に伸びるパリパリの飴
うたたね中に完成

 サツマイモを飴がけにした「抜絲地瓜」。
一見すれば、日本の大学芋のようだが、1個箸でつかんで持ってみると、
名前の「抜絲(糸を引っ張る)」の通り、飴が糸状に伸びてくる。
そこですかさず添えられた氷水にくぐらせ、表面が固まったところを、パリパリほくほく頂くわけだ。
庶民のお菓子として親しまれているこの「抜絲地瓜」。
その由来を知るには、紀元前まで遡る必要がある――。

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7世紀に造られた「趙州橋」は、現存する世界最古の石造アーチ橋

 紀元前、中国は秦の時代。
この頃はまだ今のような砂糖がなく、シロップ状の糖蜜を作る店がほんの少しあるだけだった。
しかし市場に出回るほどの量はなく、庶民からの需要が次第に高まったため、
商人たちは糖蜜作りの店を探しまわった。
 すると今の河北省石家荘にある糖蜜作りの店が、
これは商機とばかりに材料をかき集め、昼夜を問わず大量の糖蜜作りを始めた。
ところがある晩、火の当番役だった青年が、連日連夜の仕事に疲れきって、うたたねをしてしまう。
目が覚めた時には、飴が黄色く変色し、ねっとりと固まってしまっていた。
 焦った青年が、材料のテンサイを鍋に加えて混ぜているうちに、
箸に飴が絡みつき、黄金色の糸状になった。
さらに冷えると氷のように固まり、これが何とも美味しい。
そこで試しに蒸したサツマイモにからめたものを作って隣近所に味見してもらうと、絶賛の嵐となった。
 そして長い時を経て、歴代のシェフたちがこぞって改良し、
サツマイモ以外にも、バナナや山芋、マントウなどを用いた飴がけ料理が誕生していった。
日本の大学芋とは一味違う芋のお菓子を、一度味わってみよう。

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【アクセス】
①上海虹橋空港から空路にて石家荘正定空港まで、約2時間、1日2便
②上海駅から石家荘駅まで、直通列車で約11時間、硬座158元~

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~上海ジャピオン2月11日号

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