民族訪ねて三千里~第4回

北方系狩猟民族
失われゆくシャーマニズム

オロチョン族は、
東北部の興安嶺山脈周辺の森林地帯に暮らす。
元は東北部の山谷を移動していたが、
定住化が進み、
黒龍江省の黒河市から少し離れた愛輝という地区に
居住地を構えている。

1.オロチョン族のシャーマン。
細かく切った色とりどりの布を顔に垂らした神帽をかぶり、
銅の鈴が付いた神衣をまとう 

オロチョンとは、
彼らの言葉で「トナカイを駆使する人々」、
「森に住む人々」という意味を持ち、
その名の通り狩猟採集民族として
鹿やイノシシを捕って暮らしてきた。
彼らの住居は、モンゴルのゲルに似た天幕式だが、
松の木を組んだ円錐形をしており、
「ツォロツ」などと呼ばれる。
これは簡単に解体して、
トナカイで運ぶことができるものだが、
現在は定住しているため、
作業場としての役割が大きい。
現在でも、
鹿の角や毛皮を利用した手工芸品を生業とする者がおり、
狩猟民族としての姿を少なからず残している。

2.天幕式住居。高さは3~5mで、上部は空けられている
3.ロシアとの境界を成すアムール川

定住化以前はシャーマニズムが盛んで、
病人のための祈祷や豊猟祈願などの儀式の際に
「シャマン(シャーマン)」が踊ったと言う。
定住化と共に、
日常における伝統芸能及び
シャーマニズムの伝承は失われつつあるが、
民俗学者によって細々と伝えられているものもある。
その1つが「熊送り」という儀式で、
神として崇める熊を誤って殺してしまった時に行う。
北海道のアイヌ民族にも同様の儀式があり、
また黒河市を流れるアムール川(黒河)
対岸のロシアなどに住む北方系少数民族にも「口琴」という
共通の楽器があるところから、かつて交流があったと思われる。
アムール川流域には、ロシアの市場も存在し、
国境貿易の拠点としての賑わいを見せる。
川岸は庶民の憩いの場となり、異国情緒が満点だ。

~上海ジャピオン8月05日号

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