民族訪ねて三千里~第31回

虎と勇敢に闘う民族
願いを天に伝える芦笙

?ラフ族は雲南省南西部の山岳地帯に住み、
衣服の色から黒、白、赤、黄に分類される。
ラフ族は古くから、タイ族や漢族と親交を持ち、
タイ族には「狩人」を意味する「ムソー」という名で呼ばれている。
これはその昔、山から下りてタイ族の村を襲う虎に、
ラフ族が弓矢や刀で立ち向かったことから、
その勇敢さを讃えたものと言われる。
彼らに古くから伝わる神話によると、
人類はひょうたんから生まれたとされる。
そのひょうたんから作った楽器「芦笙(ノム)」の音は天に響き、
人々の祈りや願いを伝えるものと考えられているという。
各村には12人の芦笙吹き「芦笙匠」がおり、
彼らは芦笙を自由に操り、村人の願いを伝えてくれるため、
尊敬される存在となっている。

1. 芦笙「ノム」は、
ひょうたんに長さの異なる数本の芦を差し込んだ楽器。
筒の中に銅製のリードが付いており、振動して重音が出る
?2. 黒ラフ族の女性。ラフ族は質素な婚礼を好むが、
離婚の際は大きな宴席を設け、村の人をもてなす
?3. 山のあちこちにラフ族の集落を見ることができる

元日の朝、人々は一番鶏が鳴く時刻に
湧水を汲む「迎新水」という儀式を行う。
日本で言う「若水取り」である。
村で最初にこの水を飲んだ人は、
その年に幸福が訪れるという言い伝えがあり、
こぞって汲みに行くという。
ラフ族の新年行事「コタ(拡塔節)」の際には、
芦笙を吹きながら長老の家へ行き、祭りを始める儀式を行う。
まず、その家が良い種に恵まれ豊作になるよう
「祝福の踊り」を吹き、村の若い男女が踊る。
その後畑へ出て、肥えた土地を探し、草刈りをして畑を耕し、
種まきをする「ガジ」の儀式を終えたら、
長老宅の庭で大地を踏みしめる「歓喜の踊り」を吹き踊る。
ラフ族の村落は通常高地にあり、
赤ラフ族だけがアニミズムの寺院を建立するという。
竹を編んだ高床式の家が並ぶ山の斜面からは、
ミャンマーを望むこともできる。


?~上海ジャピオン03月02日号

最新号のデジタル版はこちらから




PAGE TOP