食道をゆく 第15回 桂林米粉

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グイリンミーフェン
桂林米粉
~広西チワン族自治区桂林市~

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つるつるとしたのど越しが魅力の桂林米粉

渡し舟をしていた善良な若者
母の病気治し、村を和解

 その名の通り、米の粉から作られた「桂林米粉」。
日本で見かけるビーフンよりも太くて切り口が丸く、主にスープ状で食べられる。
その由来には、桂林郡を設置した秦の始皇帝にまつわるものなど様々な伝説があるのだが、
ここではある善良な若者の話を紹介する。
 紀元前・秦の時代にまで遡るその昔、
漓江(りこう)で渡し舟をしている「睦哥」という若者がいた。
川を挟んだ2つの村の争いをいつも諌める心優しい若者で、
病気で臥せった母親と2人で貧しく暮らしていた。
 ある日、家に帰ろうとしていた若者は、鷹に捕らえられた鯉を助けた。
すると助けられた鯉が突然立ち上がり、「御礼に望みを叶えて差し上げます」と言ったのだ。
若者が「母の病気を治して、2つの村の争いを収められますか?」と言うと、
鯉は「お安い御用です」と請合った。
 若者が鯉の言いつけ通り、米を粉状にして蒸したものを母親に食べさせると、瞬く間に回復。
さらに香りを嗅ぎつけた人々が、作り方を教えろと言ってきた。
若者が「争いをやめたら教える」と言うと、人々は反省し、
2つの村の村長が盃を交わして誓いをたて、米粉の宴が繰り広げられた。
その後、2つの村は「敦睦村」という1つの村になり、
米粉の評判を聞きつけた人々が作り方を習いにきて全国へ広まったのだった。

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桂林観光の目玉である漓江下りでは、水墨画のような風景を存分に楽しめる

 今でも桂林には約1800軒もの米粉店があるといい、1杯10元程度で売られている。
また桂林は、「桂林山水甲天下」(桂林の山水は天下一)と称えられる絶景で有名だ。
心優しい若者に思いを馳せつつ、悠久の歴史溢れる景色を満喫しよう。

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【アクセス】
①虹橋空港または浦東空港から飛行機で桂林両江空港まで約2時間半
②上海南駅から空調快速で桂林または桂林北駅まで約22時間、硬座171元~

~上海ジャピオン11月27日号より

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