ジエンビン
煎餅
~山東省泰安市~
味噌を塗ってくるくると巻く。1個約2元
継母の策略に耐え抜いて
愛を貫いた1組の男女
中国の街中でクレープに似た薄い生地を伸ばしている光景を見かけたら、それはきっと煎餅だろう。
生地に味噌を塗り、細ネギを巻いて食べるシンプルな料理で、朝ごはんの定番だ。
その由来には、ある男女の、愛の物語が隠されていた。
その昔、今の山東省泰安市に、互いに愛し合う梁馬と黄妹子という男女がいた。
しかし、黄妹子の継母は2人の結婚に反対し、梁馬が黄家で科挙の勉強をして合格すれば、
嫁にやっても良いと条件を出した。
快く条件をのんだ梁馬は、継母が用意した書房へ移り住んだ。
継母が梁馬に必要なものはあるかと尋ねると、梁馬は「紙と筆以外は何も要りません」と答えた。
すると継母はしてやったりと、梁馬に食事を一切与えず、黄妹子を諦めさせようという作戦をとったのだ。
それを知った黄妹子は、機転を利かせ、
薄く伸ばして四角く切った生地と細ネギを紙と筆に見せかけて、梁馬に届けた。
世界遺産にも登録されている泰山は、封禅(ほうぜん)の儀式が行われる山としても名高い。標高1545m
3日後、継母が様子を見に行くと、梁馬が紙に筆を巻いて食べている姿を目にした。
理由を聞くと、「以前、仙人から紙と筆を食料に変える方法を教わった」と答える梁馬。
すると継母は、仙人のお告げを受けるなんて将来きっと出世するに違いないと、結婚を認めたのだ。
その後、梁馬は見事状元(首席合格者)となり、黄妹子と北京へ移り住み、仲良く暮らしたという。
そしてこの話は人々へと伝わり、煎餅は山東名物として広まっていったのだった。
梁馬と黄妹子に負けじと、カップルで本場の煎餅を仲良くパクつきながら、山東省の街をそぞろ歩きに行こう。
【アクセス】
①上海虹橋空港から済南遥墻空港まで飛行機で約1時間20分、
列車に乗り換えて済南から泰山まで快速列車で約1時間、硬座13元~
②上海駅または上海南駅から新幹線(動車組)に乗り、泰山駅まで約7時間、硬座227元~
~上海ジャピオン5月14日号より