リアル脱出ゲーム体験

リアル脱出ゲーム体験を早速レポート!
といきたいところだが、
レポート前にまず、
リアル脱出ゲームについて説明しておこう。

リアル脱出ゲームとは

「リアル脱出ゲーム」は、
ネットのブラウザゲーム「脱出ゲーム」の現実版
と思ってもらえれば間違いない。
脱出ゲームは、
密室などの閉鎖環境に閉じ込められたという設定で、
そこから脱出するのが目的だ。
密室には様々なアイテムや暗号が隠されており、
制限時間内にそのアイテムを利用して暗号を解き、
箱を開け、脱出のための鍵を手に入れる…
これを実際に、
生身の人間が現実空間で体験するというのが、
リアル脱出ゲームなのである。
現実の密室空間として、
マンションの一室や倉庫などが利用されることが多い。
このゲームの発祥地は、なんと日本。
2007年7月に
京都のフリーペーパー『SCRAP』が、
京都で主催した「謎解きの宴。脱出とパズルとカレーとビール。」
が始まりとされている。
その後、大阪でも同様のイベントを行い、
09年2月には東京に進出。
各地で脱出ゲームブームを巻き起こした。
その後も、
東京ドームや遊園地、ホテル、廃校、倉庫などの空間を使った
リアル脱出ゲームをプロデュースし、
原宿と新宿、京都に常設のゲームルームをオープンしている。

ライブハウスで初開催

中国では、リアル脱出ゲームは
「真人版 密室脱出遊戯」と呼ばれ、
11年9月に上海のライブハウス
「Mao Livehouse Shanghai」で
開催されたのが初めてとされる。
今年3月には北京、
4月には蘇州に常設のゲームルームができ、
その後、瞬く間に、
杭州や南京、無錫、成都、長沙など、全国各地に広まり、
学生や会社員の間で人気を博している。
現在、上海では25店舗を超えるゲームルームが存在し、
ブームの真っただ中にあると言っても過言ではないだろう。
日本と中国のリアル脱出ゲームの違いは、
謎解きのヒントの言語が異なるくらいで、
遊び方などに違いはない。
語学力に不安のある人は、
中国語のできる人と一緒に遊ぶと、
より楽しめるはずだ。
ただ、日本では基本的にゲーム終了後に解説をしてくれるが、
中国では、種明かしをしてくれないところもチラホラあるとか。
では、リアル脱出ゲームの大まかな解説はここまでとして、
ジャピオン取材班の謎解きぶりを見ていこう!

ホームズマニアも参加

今回取材班が体験したのは、
「InBox真人密室逃脱」
のリアル脱出ゲーム。
静安寺の久光百貨店北側にあり、
アクセスは◎だ。
今回集まったのは、編集部の精鋭5人と、
ドイツからの助っ人1人の計6人(写真①)。
特に助っ人のベンヤミンは、
シャーロック・ホームズマニアということで、
謎解きに入る前から
「謎解きのキモはね、
あまり複雑に考え過ぎないことなんだよ、ワトソン君」と、
聞かれてもいないのにアドバイスを送るなど、
早くも興奮気味だ。
予約の時間となり、
マンションの27階に向かう一行。
廊下は薄暗く、
何やら密室に閉じ込められたような緊張感に襲われる。
お店には難易度の違う3部屋があったが、
全員リアル脱出ゲーム初体験にも関わらず、
一番難しいという
「恐怖殺人夜」なる大部屋を選択し、遊ぶことに。

エアコンを解体する人

部屋に入ると、
怪しげな手錠や斧、甲冑などが転がっている(写真②)。
参加者が揃ったところで、
スタッフが簡単にルール説明を始める。
なになに?
「エアコンをバラさないこと。
コンセントも取り外さないで」ですと。
「そんな人いないっしょ~」と編集Hが笑うと、
真面目な顔で「実際にいたんですよ」という返事が返ってきた。
謎解きアイテム探しに
必死になるのもわからないでもないが、
「それはやり過ぎやろ~」と、
顔を見合わせる取材班一同だった。
この部屋で行うのは、
散りばめられたヒントをもとに謎を解き、
制限時間(1時間)内に、
ここで殺された人の名前を突きとめるというもの。
最後に、
箱の中に入った手紙にその名前を書き入れることで、
部屋から脱出できる。
ヒントは3回まで。

ゴキブリに寒いギャグ

早速ゲームスタート!
…かと思いきや、
先に人質役を1人決めろとの指示。
と、その瞬間、一斉に編集Kに視線が集まる。
「えぇっ、やっぱり俺なの~」と、
アニメ『サザエさん』に登場する
マスオさんばりの素っ頓狂な声をあげつつも、
なぜか嬉しそうな様子を見せる編集K。
ということで、編集Kに手錠が掛けられ、
ゲームの始まり始まり。
なお、以下ネタバレ要素を含むので、ご注意を!
手錠を掛けられ動けない編集Kに、
タイプライターの解読を任せ(写真③)、
ほかの参加者はそれぞれ小箱や机を探る。
壁の黒板には数式が書かれ、
解読しようと必死の編集F(写真④)。

すると、「ギャ~!」と
静寂を切り裂く悲鳴が、部屋中にこだました!
編集Fが振り向くと、
机の傍に、生首とゴキブリが転がっているではないか(写真⑤)。
ギャーギャー騒ぐ編集Sの横で、
編集Oが「それオモチャですよ。じっちゃんの名にかけて!」と、
渾身のギャクをボソリ。
悲鳴が冷笑に変わった…。

人質の解放に成功

机から出てきたのは、
英語の本や紙切れだった。
紙切れを並べると何やら数字が書かれているようだ(写真⑥)。
ただパーツが足りず、
何を意味するのかわからない。
20分経っても謎が1つも解けないという膠着状態の打開に、
1回目のヒントを貰うことに。
スタッフが現れ、
「まだ、人質を解放できてないの?」と一言。
結局、ヒントではなく、
人質解放のための謎、即ち、
タイプライターの暗示に対する答えを
アッサリと教えてくれるのだった(写真⑦)。
これにより、
小型ケースの暗証番号が判明し、
ケースの中にあった鍵を使って、
編集Kは無事解放となった(写真⑧)。
俄然盛り上がる取材班。
続けて小箱の中から時刻やたくさんの数字が書かれた紙を発見し、
さらには、遺体(人形)も発見、
その胸からは懐中時計も出てきた(写真⑨)。
これは脱出も時間の問題、
誰もがそう思った瞬間だった。

時計と時刻の関係は

しかし、ここからが大難航。
懐中時計の時刻を12時に合わせても何も起こらず、
数字を黒板の数式に入れても、
答えが出ない。
ウンウン唸るベンヤミンに、
頭を抱える編集H(写真⑩)。
その横では、
これも謎解きの一環と言い張って鎧を身につけ、
刀を振り回す編集FとK(写真⑪)、
というカオスな状態に。
知らない間に残り20分となり、
2つ目のヒントをもらうことにする。
またしても登場したスタッフは、
懐中時計と時刻の謎を解いてみせる。
このお陰で関連する数字は増えたが、
謎はやはり解けない。
諦めモードに入った頃、
ベンヤミンが突如「推理で迷ったら初心に帰れ!」と叫ぶ。
そこで、もう一度、全てのモノを隅々まで見ることに。
すると、懐中時計以外持っていないと思われた遺体から、
鍵を発見(写真⑫)!
沈滞ムードが一気に吹き飛んだ。
その鍵に合う箱を開くと、
アルファベットと数字が書かれたハンコが出てきて(写真⑬)…
と、ここでタイムアップ。
なんとも尻切れトンボな状態で体験は終了となった。
最後に、スタッフが謎の解説を行い、
「これまで、ヒントなしで脱出したのは1組だけだし、
こんなもんだよ」と慰めの言葉をかけてくれた。
充実した1時間だったが、
情報収集力不足と、
役割分担意識の欠如が失敗の原因と分析し、
悔しさ満点の取材班(写真⑭)。
リベンジを誓い、マンションを後にするのだった。

~上海ジャピオン2012年10月19日号

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