哪吒って? 姜子牙って? 封神ユニバース の世界に迫る

小説の登場人物を映画化

昨年、中国国産映画で歴代2位の興行収入約50億元を記録した中国アニメ映画『哪吒之魔童降世』。この映画の主人公・哪吒(ne3zha2)は、日本ではナーザやナサと呼ばれることが多いが、そもそもこのキャラクターが何者なのか、知らない人は多いはず。

哪吒は、古典小説『封神演義』に登場する神話上の人物で、道教の守護神。この小説は史実をベースに、仙人や道士、妖怪が人界と仙界を分断するというストーリーで、哪吒のほか数百にも上る神々が登場し、『哪吒之魔童降世』の姉妹編として今年10月1日(木)に上映された映画『姜子牙』の主人公・姜子牙(jiang1zi3ya2)も、この小説の登場人物だ。ほか、哪吒や『封神演義』をテーマにしたアニメ・映画は今までに何度も作られている。

中国アニメを世界に広める

この2本の映画を制作したのは「霍爾果斯彩条屋影業有限公司(COLOROOM PICTURES)」。同社は国産アニメを世界に広めることを会社理念としており、その一環として『封神演義』に登場する哪吒と姜子牙をそれぞれ主役に据えた映画を制作した。

マーベルコミックスやDCコミックスのように、それぞれ一つの世界観を共有し、アニメや実写版映画を制作しているが、中国にはこのような、世界観を共有する映画シリーズはほとんどなかった。そんな中で現れたのが、『封神演義』の世界をベースに映画シリーズを作る「COLOROOM PICTURES」であり、『哪吒―』や『姜子牙』なのだ。このシリーズは〝封神世界(ユニバース)〟として第三弾も予定し、三部作の集大成は、中国の伝説上の生き物・鳳凰が主役だ。

妖怪と怖れられた哪吒

〝封神世界〟シリーズ第1弾『哪吒之魔童降世』。『封神演義』における、哪吒の誕生から龍族との戦いまでを描く。

仙人と人間が分かれて存在する世界で、強大なエネルギーを持ち、魔丸・霊珠の2つから成る〝混元珠〟があった。この玉は最高神の弟子である「太乙真人」に預けられるが、そのうちの1つ・霊珠が、同じく最高神の弟子で龍族に仕える「申公豹」に盗まれる。残った魔丸から、陳塘関という地の総兵長を務める夫妻の子として「哪吒」が、霊珠からは龍族の子として「敖丙」が生まれる。「哪吒」は人々を傷付けて、妖怪のように怖れられてしまう。

そんな中妖怪によって村の子どもがさらわれ、その子とだけは仲がよかった「哪吒」が助けに行く。「敖丙」も同じように子どもを助けようとし、2人が出会う。しかし「敖丙」はその後、師匠「申公豹」から「哪吒」の素性を知らされ、龍族勃興の命運を託された「敖丙」は、人間界を壊滅させようとする。一度は人を傷付けていた「哪吒」だが、自分に対する両親の思いを知り、人を救うために「敖丙」と戦う。果たしてその大戦の行方は…?

古典を大幅に脚色した物語

この「哪吒」と「敖丙」は『封神演義』でも描かれ、主要キャラクターも登場するが、〝混元珠〟から「哪吒」と「敖丙」が生まれたというのは映画オリジナル。2人が出会った時に蹴鞠をする描写は原作になく、〝友情〟という要素が映画に加えられた。単に2人が戦う構造ではなく、両者の気持ちの変化を描き、人間味溢れる内容に。

またストーリー展開に限らず、映像美にも要注目。特に後半の2人の対決時、火を操る「哪吒」と、水・氷を操る「敖丙」のコントラストは壮大で、スクリーンに目が釘付けとなるはずだ。

神の力を失い、取り戻す旅へ

続いて、現在上映中の第2弾映画『姜子牙』を紹介。日本では呂尚として知られる人物「姜子牙」を主役に抜擢している。

第1弾『哪吒―』における「哪吒」と「敖丙」の大戦後が舞台。「姜子牙」は、ほかの神々を率いて妖狐との戦いに勝利、暴虐な周王朝を倒す。その功績から神々の長となる予定だった。しかしある過ちを犯して神の力を失ってしまい、人々から忌み嫌われるように。再び神の力を取り戻すために、大戦後の荒れ果てた大地へと旅に出る。旅先で自我を取り戻すとともに、ある真相を知る…。なお、9月下旬の記事執筆時点ではこの映画はまだ上映されておらず、ストーリーは劇場にて自分の目で確かめてほしい。

哪吒との関係性にも注目

「姜子牙」は実在した人物で、姓は姜、氏は呂、名は尚、諱(いみな)は子牙。周王朝の軍師で、のちの斉の始祖とされる。ほかに登場する主なキャラクターは、女の妖狐「小九」。勇敢で屈強な精神だが、一方で人の温もりを求めている。最初は人を拒絶することしかできなかったが、人を愛すること、そして愛される意味をだんだんと知っていく。姜子牙の肩に乗り、彼と旅をするのがペットである「四不相(シフゾウ)」。これは神獣として『封神演義』にも描かれており、シカ、ラクダ、ウシ、ロバにも似ていない(中国語で〝不像〟)ことからこの名が付いたとされる。ポスターで「姜子牙」が跨っている生き物だ。

「姜子牙」は、『哪吒―』に登場する「太乙真人」と同じく最高神「元始天尊」の弟子で、「太乙真人」は「姜子牙」の兄弟子。そのため「姜子牙」は「哪吒」にとって比較的近しい関係。映画予告編では「哪吒」と思しき人物も登場しており、2人の関係性にも注目したい。

~上海ジャピオン2020年10月9日発行号

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