今、CBAがアツイ!

421-feature-v1

チーム名は動物に由来
アジアで、有数のバスケットボールリーグとして
急成長中の、中国プロバスケットボールリーグ
「CBA」。
中国語では「中国男子籃球職業聯賽」と言い、
1995年2月に、わずか8チームで創設されたが、
現在は、当初の2倍以上となる
17チームが加入している。
チーム名には、基本的に
動物の名前を用いている。
北京のチームは「北京鴨(ダックス)」、
広東のチームには「広東華南虎(サザンタイガース)」など、
地域と関係のある動物名を付けているチームもあり、
なかなか興味深い。
ただテレビや新聞の報道では、
「北京金隅」などと、
スポンサー名だけで表記されることも多い。
ちなみに、上海のチームは
「上海大鯊魚(シャークス)」と言う。
リーグ戦(レギュラーシーズン・常規賽)は、
毎年11月下旬頃から翌年2月頃まで、
各チーム2回ずつの総当たり
(今年は1チーム32試合)で行い、
上位8チームがプレーオフ(季後賽)へ進む。
プレーオフは、レギュラーシーズンの1位と8位、
2位と7位、3位と6位、4位と5位が対戦する
トーナメント方式で行われるため、
1試合1試合白熱したゲームが繰り広げられる。
なお、優勝回数が最も多いのは、
八一ロケッツの8回で、
上海シャークスは、ヤオ・ミン(姚明)の
CBAラストシーズンとなった、
2001―02年シーズンに初優勝を飾っている。

421-feature-v2

NBAのスターが加入
中国の経済発展と相まって、
世界トップレベルの選手が、
参加することも珍しくなくなったCBA。
特に11年には、世界最高峰と言える、
北米のプロバスケットボールリーグ・NBAが
ロックアウト(施設閉鎖・締め出し)
になったこともあり、大量のNBA選手が、
中国にやってきた。
00年のドラフト1位選手、ケニオン・マーティン、
スラムダンクコンテスト・チャンピオンの
ジェラルド・グリーン、
推定1年約300万㌦と
CBA歴代最高の年俸で契約した、J.R.スミス、
ヤオ・ミンの元同僚、アーロン・ブルックスなど、
普段NBAを見ている人にはお馴染みの選手たちが、
CBAにこぞって参加したのだ。
これに、彼らより先にCBA入りしていた、
元NBAオールスター、
ステフォン・マーブリーの大活躍が加わり、
CBAはこの年に一気に盛り上がりを見せた。
今シーズンは、八一ロケッツを除く16チームに、
それぞれ2人ずつ、合計36人の外国人選手が所属。
そのうち、28人がNBAに在籍した経験がある。
特に、元NBA得点王で、
中国でも絶大な人気を誇る、
トレイシー・マグレディが加入、
さらに、中国代表のエースとして活躍中の
イケメン選手、イー・ジャンリャン(易建聯)が、
古巣の広東サザンタイガースに電撃復帰したため、
例年以上にファンの関心を集め、
報道もヒートアップしている。
では、基礎知識が頭に入ったところで、
今シーズンの注目選手をピックアップし、
紹介して行く。

421-feature-v3

421-feature-v4

①トレイシー・マグレディ
ニックネームは、「T―MAC」。
高校卒業後すぐにNBA入りし、
オーランド・マジック時代には、
2度の得点王に輝いたスコアラーだ。
ヒューストン・ロケッツ在籍時には、
ヤオ・ミンとコンビを組んだこともあり、
中国でも屈指の知名度と人気を誇る。
マグレディを語る上で
欠かせない試合といえば、
2004年のサンアントニオ・スパーズとの一戦。
残り時間35秒、8点ビハインドという
絶体絶命の状況で、
3ポイントシュート4本+
バスケットカウント・フリースロー1本の
合計13点を1人であげ、
81対80と逆転勝ちしたのだ。
結果を知っていても興奮間違いなしなので、
動画は必見!

②ステフォン・マーブリー
NBA時代は、ストリート仕込みの
派手なプレーで観客を魅了したマーブリー。
ただ、自分本位のプレーも目立ち、
わがまま、トラブルメーカーと
評価が下されることもしばしば。
09年にNBAを離れると、
自分の生活を24時間ネットで生放送し、
ワセリンを一気飲みするなどの奇行で
一時話題となった。
その1年後、突如CBAに加入することを発表。
中国では人が変わったかのように
献身的なチームプレーに徹し、
リーダーとしてチームを引っ張っていく。
そして、昨シーズンファイナルで、
1試合平均33・4点を叩きだして、
北京ダックスを初優勝に導き、
一大マーブリー旋風を起こしたのは
記憶に新しい。

421-feature-v5

③ギルバート・アリーナス
珍しい背番号〝0〟を背負うアリーナス。
これは、名門大学に入った時、
周囲から「お前の出場時間は0分さ」
とけなされたことに由来し、
その悔しさを忘れないために選択したという。
NBA06―07年シーズンには、
ブザービーター(決勝点)や
40得点以上を連発し、
スーパースターの仲間入りを果たす。
ファンの間で、その豪快なプレー以上に
注目されるのが、理解に苦しむ行動の数々。
試合前にロッカールームで、
同僚のジャージを隠すといった
いたずらは朝飯前で、
試合中には、熱くなって、
シュートのたびに「HIBACHI(火鉢)」
と叫びまくり、試合後は、
ジャージを着たままシャワーを浴びる…。
コートの内でも外でも、
常に目が離せないプレイヤーと言える。

④イー・ジャンリャン
今季、5年ぶりにCBAに復帰。
昨年のロンドン五輪では、
開幕式で中国代表団の旗手を務め、
試合では1試合平均10・2個の
リバウンドを奪取。
NBAのリバウンド王、
ケビン・ラブらを抑え、
ロンドン五輪のリバウンド王に輝いた。
今季は、首位を独走する広東サザンタイガースを、
中国人選手最高の平均得点で牽引する。
ゴール下でのスピンターンムーブからの
豪快なダンクに注目だ。

421-feature-v6

⑤メンケ・バータル
現役最高齢。
見かけによらず機敏で、
スピンターンや3ポイントシュートも得意とする。
02年、王治郅に次いで2人目の
中国人NBA選手として渡米した。
出場機会には恵まれなかったが、
サンアントニオ・スパーズ在籍時に、
中国人初のチャンピオンリングを獲得している。
何作かの映画にも出演しており、
ドニー・イェンやニコラス・ツェーらによる
アクション映画『孫文の騎士団(十月圍城)』では、
少林寺の元修行僧役で、
ニコラスと絶妙な掛け合いを演じ、
役者としても高評価を得た。

⑥ヤオ・ミン
愛称は「歩く万里の長城」。
身長226㌢を誇り、NBAでもCBAでも、
リーグを代表するセンターだった。
すでに引退し、
現在、上海シャークスのオーナーとして、
CBAに参画している。
時折試合会場を訪れ、
ファンから歓声を浴びる姿が見られる。

421-feature-v7

残り1分のアツイ攻防
取材班が向かったのは、
強豪・新疆フライングタイガースを迎え撃つ、
上海シャークスのホームアリーナ・
浦東源深体育館。
中に入ると、すぐにオーナーの
ヤオ・ミンがお出迎え!
と言っても単なる写真だが、
等身大ということもあり、
一斉に「デカッ!」と声が上がった。
体育館は思ったよりこぢんまりとして、
どの席でも選手を間近に感じられるのは
ポイント高い。
試合開始早々、シャークスのキャプテン・
劉煒のノールックパスが炸裂!
さらに3ポイントシュートも決め、
スティックバルーンによる、
ババババッという音が鳴り響く。
攻守の切り替わりも早く、
シュートも小気味よく入るという飽きない展開に、
取材班もドンドン引きこまれていくのだった。
観客自身もアツイ雰囲気を作り上げる。
相手がボールを追いかけ、
チアリーダーのいる場所に突っ込むと、
「わざとだろ」、「テクニカルファールじゃ~」
などとやじを飛ばしつつ、
選手と一緒になって戦う。
中盤からは、アリーナスの
3ポイントシュートが入りまくり、
シュートを打つたび大歓声。
「MVP」コールが会場を埋め尽くす。
この大活躍もあり、シャークスが8点の
リードを保ったまま残り1分に突入。
誰もがシャークスの勝利を確信した、
その時。
その気の緩みをつかれ、ヴォン・ウェイファーに、
3ポイントと目の覚めるようなダンクシュート、
さらには残り14秒に同点の3ポイントを
沈められることに。
観客の悲鳴の後に、沈黙が訪れる…。
シャークス最後の攻撃。
そこで、フライングタイガースが痛恨のファール。
劉煒がフリースローをきっちり決め、
勝負あり。
シャークスの逃げ切りが成功した。
試合終了の瞬間、周りの観客と思わず
ハイタッチする取材班。
スポーツの手に汗握る興奮と感動、
そしてファンとの一体感を満喫した1日だった。

421-feature-v8

~上海ジャピオン2013年2月1日号

 

 

 

最新号のデジタル版はこちらから




PAGE TOP