ローカル散髪体験

街角のローカル美容室や小区内の青空散髪。
日本に比べて格安だけど、その腕前やサービスはいかに?


 街角のローカルな美容室の看板で踊る「洗+剪+吹=30元」という文字。これはシャンプー・カット・ブローで30元、つまり450円程度で髪を切れてしまうというもの。これを「安いな~」と思いつつも、「カットの仕上がりは大丈夫?」や「結局は高い料金を取られるんじゃないの?」など不安が付きまとい、足を運べずにいる人も多いのではないだろうか。こうした疑問を解消するため、ジャピオン編集部が試しに、某ローカルチェーンの美容院で「洗+剪+吹」を体験してきた。

座ったままのシャンプー
泡もたれずに「很舒服」


 入り口のスタッフに案内されて店内へ。平日の午後にも関わらず、ブローする年配の女性やカットをする学生さんらで賑わっている。そして、何より多いのがスタッフの数…。特に入り口付近には、スタッフたちで溢れかえっていた。
「洗+剪+吹、30元ので」と頼むと、シャンプー台の隣の席に案内される。すると、「では、どのシャンプー液を使うか選んで下さい」と料金表が登場。5種類あり、料金は10元~50元。えっと、これって追加料金? 確認すると、どうやらそうらしい…。「無料のシャンプーないの?」とでも聞けばよかったのだが、不必要な見栄を張ってしまい、ナチュラル仕上げで香りも良いという20元のシャンプー液をチョイスしてしまった。この時点で既に50元…。


 シャンプー液を決めると、マヨネーズの容器のようなものから、ぴゅーっと頭に水をかけられる。そして、椅子に座ったままの状態でシャンプー開始。ローカルの美容室ではこの〝座ったままシャンプー〟が主流のようだ。てっぺんからボリュームたっぷりに泡立てていく。リズミカルに頭皮のマッサージも交えて、なかなか気持ちよい。終わったら「こちらへ」と、すすぐ時はシャンプー台へ。

カタログを指差して注文
「?里就?个?子」


 すすぎが終わったら、次はカット。「てっぺんはボリューム残して、襟足は軽く」と伝えたいけれど中国語力不足なので、ヘアカタログを持ってきてもらい、「てっぺんはこの人みたいに、襟足はこの人みたいに」と指差しながら注文。「オーケー、オーケー」と、スタイリストはノリノリでカットを始めた。


 すすぎが終わったら、次はカット。「てっぺんはボリューム残して、襟足は軽く」と伝えたいけれど中国語力不足なので、ヘアカタログを持ってきてもらい、「てっぺんはこの人みたいに、襟足はこの人みたいに」と指差しながら注文。「オーケー、オーケー」と、スタイリストはノリノリでカットを始めた。

前髪はアシンメトリー
左から右へ約20度

 スタイリストはノリノリでハサミを入れ、てっぺん部分からチョキンチョキン。と、落ちてきた髪が5~6㌢はある! えっ、いや、そこはボリュームを残してと、さっき伝えたはず…。しかし、覆水盆に返らず。髪は頭皮に戻らず。後ろ髪や襟足のカットも終わり、前髪へ。
 まず右側の前髪にざっくりとハサミが入る。そして左に行くにつれて、切る長さが短くなる。話には聞いていたけれど、中国ではアシンメトリー(非左右対称)の髪型が人気のよう。鏡に映る自分の前髪に20度くらいの角度が付いているところを見ると、どうやら自分もその仲間入りをしたようだ。ちなみに、ここまで一度もすきバサミは使っていない。

「このクセ毛は不好看」
ストレートパーマへ

 前髪のカットが一段落したところで、ノリノリスタイリストが一言。「この部分のクセ毛はカッコ悪いね~、よしストレートパーマしようか!」。いや、パーマってお高いんでしょ? と尋ねると、「108元だよ。洗+剪+吹と合わせて108元」。あら、ストレートパーマ108元は安いのでは!? ということで、ストレートパーマを承諾。さらに、舌が滑らかになったスタイリストは、「カラーもしとこうか? もっと良くなるよ」と捲くし立てたが、そこは「不要!」で押し切った。
 ともあれ、前髪にはストレートパーマを当てることに。ノリノリスタイリストは一時、席を離れ、女性スタッフが担当につく。おでこにアルミをあてつつ、前髪にストレートパーマ液を塗る。前髪に一通り塗り終わったると、何故か後ろ髪、そして頭頂部へとパーマ液のついたハケが伸びる。ちょっと、ストーップ! サラサラストレートになるのは前髪だけで結構!


会員になりませんか?
マッサージ中も猛営業

 パーマ液が乾くまでどのくらいとスタッフに聞くと、「20分」とのお答え。雑誌も中国語のものしかないし暇だなと思っていると、肩のマッサージがスタート。これは嬉しい配慮、と思ったのもつかの間、同時に「当店会員にならないか」との営業がスタート。「1000元のカードを買えば、50%オフだよ」。さらに先ほどのノリノリスタイリストも戻ってきて、「もう僕らは友達だろ、会員になろう」「割引もするよ!」。2人の営業トークに熱が入る。女性スタッフの肩マッサージの手はもう止まっている。なるほど、確かに今後ずっと通うならお得だと思う。ただ申し訳ないが、自分は今回限りなので…「不要!」。その後の追撃トークも「不要!」で、なんとか振り切った。 

ローカル美容体験を終えて
そしてパーマの効果は?


 パーマ液をシャンプー台で流し、ブローをすると前髪は確かにストレートに変身! これをすきバサミで軽く整えて終了。最後に「何か髪につける?」と聞かれ、「じゃあワックスを」と答えた後にハッとした。ワックスも有料なのでは? そう思い、確認したら、これは無料で一安心。「歓迎再来(また来てね)」と、ノリノリスタイリストに笑顔で見送られて店を出た。
 これにて、ローカル美容室の体験は終わり。「洗+剪+吹=30元」のはずが、ストレートパーマと高級シャンプーを利用したため、結局支払いは128元となった。カラーやパーマ、会員への入会を進める猛トークを断るのに気疲れするが、それをサラリとかわす技術と希望のヘアスタイルをきっちり伝えられる力さえあれば、問題なし!?
 髪型については周囲からは「普通、全然いいじゃん」という声もあれば、「やられたね」と苦笑いを浴びることも。ちなみにストレートパーマの効果はほぼ1日で終わってしまった…。


 続いて体験するのは、究極のローカル美容室である青空散髪。最近では目にすることも減ったが、ローカルな小区内では未だに残っているところもチラホラ。今回は豫園近くで発見した青空散髪でお願いすることにした。

理髪師は御歳82歳
希望の髪型は一瞬で理解?


 理髪師は白髪のお爺さん。聞けば御歳82歳で、昔は南京東路の大きな理髪店で働いていたという、この道67年の大ベテランだ。お手製の散髪台に座わり、恐れ多くも持参した福山雅治の写真をお爺さんに見せる。
 すると、どこからともなく現れた野次馬が写真を奪って一言。「こんなに格好よくなりたいなら50元は出さなきゃ」。さらに、「元は元でも美元(アメリカドル)だぞ(笑)」と、はしゃぎ出した。でも、50ドルで福山雅治になれるなら払いますよ。
 日本人だと分かったためか、野次馬が取り囲み、妖しげにヒゲを蓄える僕に対し、「ヒゲは剃らないの? ヒゲ剃れば?」の大合唱。僕は初めて自分のヒゲの人気に嫉妬した。
 まず、眼鏡を外され、スプレーで頭に軽く水をかけられる。そして、クシ目の粗いすきバサミでザックザック切る。キチンと研がれてないためか、髪が引っ張られて痛い! しかも、福山雅治の写真は、お爺さんの遠くに置かれ、散髪中一瞥もくれない。大丈夫か?


価格は3元、時間は10分
ヒゲのある福山雅治の完成?


 続いて登場したのが、見るからに鈍そうな散髪用のナイフ。油を付けても切れ味は悪く、すきバサミ以上に髪が引っ張られる。「そのままヒゲも剃っちゃえ」と、後ろから横からは野次馬の笑い声が上がる。最後に首筋の産毛をざっくりと剃ってもらい完成だ。クリームなんての贅沢なものを使うことなかった。
 眼鏡をかけて鏡を見ると、こざっぱりとしたヒゲのある福山雅治がいる! 価格は3元、時間はたったの10分。無論シャンプーやブローといった小洒落たオプションはないが、このコストパフォーマンスは病みつきになるかも!? 野次馬たちとの温かい交流も醍醐味だ。

~ジャピオン11月7日発行号より

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