熱を増す韓流ブーム?
中国では、韓国ドラマ『星から来たあなた(来自星星的你)』のヒットにより、主役を演じた〝キム・スヒョン(金秀賢)旋風〟が起きている。3月に行われた上海ファンミーティングでは、1列目のチケットが2万5000元にまで跳ね上がり、その人気を実証した。このように、中国でも〝追星族〟と呼ばれる追っかけ文化は存在。今回は、中国の「アイドル追っかけ」事情を調査すべく、中国に住む10~40代の男女100人にアンケートを取ってみた。
ベテランが名を連ねる
まずは、人気のアイドルをジャジャンと発表! トップはベテランアイドルのアンディ・ラウ(劉徳華)で93票中13票。特に20代と40代の男女の票が多かった。次にジェイ・チョウ(周傑倫)の5票、こちらは男性票が伸びた。同性に憧れられるアイドル、これはポイントが高い!
ちなみにファンになる重要な要素は、まず歌やダンス、演技といった「パフォーマンス」、次に「キャラクター」、「外見」がランクイン。「外見」は男性16票、女性26票と票に開きが出た。女性はルックスを重視する傾向があるようだ。
ネットユーザーが主流
お次はファン活動について。コンサートやファンミーティングへ行く頻度は、約4割が「年1~2回」。「ほとんど行かない」、「行ったことがない」を合わせると45%。一方、「月1回」と「月2回以上」は合わせても15%に満たない結果に。
日本では何百万円も注ぎ込むファンもいると耳にするが…。オタク度の指標として、アイドルに費やした金額をリサーチ。すると「1000元未満」が約半数、「5000元以上」は8・6%と少数派という結果に。グッズの大量購入やワールドツアー制覇といった、過剰な応援はしていないようだ。また情報の入手元としては、「公式サイト」と「ファンサイト」が上位に。現代社会、やはりネットでの情報収集が主流と言える。
おまけで「これから注目のアイドル」を聞いてみると、中国香港出身のR&Bシンガー・鄭紫棋の名が挙がった。彼女は2013年、中国台湾の最優秀女性シンガーに輝いた実力派。上海でも7月にライブが予定されているので、チェキラッ☆
では、中国のアイドル事情の説明はこのくらいにして、お次はコンサート会場へ行って、ファンの熱気を体感してみよう!
ファン仲間をゲット
今回取材班が、ジェイ・フリークと自称するゆっちょめ氏と訪れたのは、5月2日(金)、上海体育館で行われたジェイ・チョウ(周傑倫)のコンサート。「上海体育館」駅2番出口を出ると、そこには中国のコンサートで必須のアイテムとなる、ペンライトやライトカチューシャを販売する屋台がズラリと並ぶ(写真①)。取材班一行が会場へ向かうと、ダフ屋の姿が…(写真②)。以前、ダフ屋に偽チケットを掴まされた経験のあるゆっちょめ氏は、その思い出が蘇ったのか、苦虫を噛み潰したような顔に…。「今日はカッコいいジェイが見られますよ」と励ます取材班であった。
入口へと向かう途中、人だかりを発見する。覗いて見ると、そこにはキラキラと輝く「周傑倫吧」の文字(写真③)。すかさず取材班は、「百度周傑倫吧・上海歌迷会」のステッカーを腕に貼った少年に声をかけた。聞くと、彼らは中国の検索エンジン「百度」が提供する掲示板「百度貼吧」のジェイのファンサイトメンバー。我々が日本のメディアと知ると、日本語が堪能な女の子が登場し「私、日本のアイドル『嵐』のファンなんです~!」。そして、お近付きの印にステッカーとキャンディをくれた。
彼らは掲示板で今回のコンサートのスレッドを立ち上げ、仲間を集いコンサートに参加。同日は上海のほか、武漢や南京からも20人ほど集まったとか。
会場がピンク一色に
会場入口のポスターでジェイとの記念撮影を済ませ、気分はハイテンショーン♪ なゆっちょめ氏に先導され会場へ、そこには大勢の人・人・人(写真④)。「このピンク、ぜ~んぶ人だよね。すご~い!」。そして指定の席へと…。「あれ、ほかの席にはペンライトが置いてあるのに、私の席にはない!」。キョロキョロと周囲を探していると、後ろの席の少年が3本のペンライトを差し出してくれた(写真⑤)。「どこから来たの?」、「日本でもジェイは人気?」と会話が弾む。彼らは大学2年生で、中学時代からのファンだという。「コンサートは初めて、安徽省から昨日上海に来たよ」と教えてくれた。
「ねぇ、前の人のボディペイント、私もやりたかったな~」とゆっちょめ氏(写真⑥)。見ると頬や手の甲などにペイントをした人がそこここに…。「今度ライブに来るときはペイントしよっと♪」と新たな楽しみを見つけるゆっちょめ氏なのだった。
ボルテージ最高潮
待ちに待った開演! 暗くなり、会場が歓声に包まれる…いや待て、まだジェイは登場していない。と、その瞬間、ジェイがステージに跳び立った。座っていた観客も椅子の上に総立ち、「キャ~!」と黄色い声援を送る(写真⑦⑧)。ジェイは、10年間を振り返る代表曲メドレーのほか、上海では外せないナンバー『上海1943』を熱唱、さらにジェイの曲の作詞の多くを手掛ける方文山が初監督を務める映画へ提供したナンバー、『聴見下雨的声音』も初披露。
横を見ると、ノリノリで歌うゆっちょめ氏。途中、立見に疲れた観客が、周囲に向かって「座下(座れ)!」と大合唱、いったん着席するが、曲が盛り上がると再び総立ちの繰り返しとなった。
ジェイは、「你們不回家嗎?(みんな帰らないの?)」とジョークを交え、3回のアンコールに応えた。ここでファンの盛り上がりがMAX、ジェイは来年も来ると約束し、去って行った。
今回がライブ2回目というゆっちょめ氏は、「肉眼で見れてサイコー!」とハッスルしまくり(写真⑫)。興奮冷めやらぬまま「周傑倫吧の子たちと出待ちしてこよ♪」と取材班を残し、1人駆けてゆくのだった。
上海ご当地アイドル
お次は上海歴1カ月、日本でAKB48を追いかけていたよっしゃん(写真①)が、AKB48の姉妹グループで、上海を中心に活動する「SNH48・チームSⅡ」の公演に潜入♪
取材班が会場へと到着すると、1部を終えたメンバーがちょうど車に乗り込む所で、出待ちのファンが取り囲んでいた。しかし写真を撮ったりサインをせがんだりすることもなく、スマートな対応。2部上演まで時間の余裕があったので、併設のカフェでひと休み。店内には、DVDに付いてくる生写真を交換するファンの姿が(写真②)。
その後劇場へ移動する途中、よっしゃんが前回の公演で知り合ったというカセグレン氏(写真③)に遭遇。彼は劇場が作られた2013年夏から週に3回通う常連で、「推しメン(イチオシのメンバー)」の趙嘉敏の応援グッズを披露してくれた。
そして公演開始。アイドルが披露する曲に合わせ、ファンが日本語で入れる「MIX(合いの手)」に驚く。ファンは、時にカラフルなペンライトを振りかざし、時にタオルをなびかせ、声援を送る(写真④)。途中、メンバーのフリートークも交え、会場は和気藹々とした雰囲気に。最後は、メンバーとハイタッチ(写真⑤)して会場を後にする。最初は圧倒されていた取材班も、最後は銭蓓婷を「推しメン」に。日本から来ていた彼女のファンと意気投合、良さを語らうのだった。
~上海ジャピオン2014年5月23日号