国際結婚手続きAtoZ

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「紅包」に期待を込めて

中国では、結婚式にかかる費用の高騰が続いている。ニュースサイト「新波財経」の報道によると、平均額は5年前に比べおよそ1・3倍。

以前は結婚式1卓(10人)当たり2000元~3000元が相場だったが、現在は3000元~1万元、特に4000元~7000元台が主流となりつつあるという。会場によってはこれに15%のサービス料が加算され、式と披露宴で20万元前後かかることも。そのほかにもブライダル写真に約6000元、新婦衣装約7000元、婚約指輪約1~3万元や新婚旅行など、その他もろもろ出費が必要となる。

ただし中国にも「紅包(ホンバオ)」と呼ばれる〝ご祝儀〟がある。一般的な金額は500元前後とされ、新郎新婦と親しい間柄関係であれば888元~2000元が包まれることも。例えば1卓5000元の式場で、全員から500元のご祝儀をもらった場合、1卓当たり500元×10(人)=5000元と、紅包だけで1卓分の費用を賄えてしまうのだ。

〝買車買房〟は必要?

しかし金銭面でネックとなるのが、中国での〝結婚の条件〟と言われる、家と車の購入だ。昨今、上海の不動産価格は上昇の一途、現在の平均は1平方㍍当たり約3万元にも及ぶ。

では、余程の貯金がなければ結婚は遠い話になる? その答えは「NO」だ。中国人も一般的に銀行で住宅ローンを組むし、近年上海高学院が行った「車は結婚の必需品か」とのアンケート調査では、約3分の2が「NO」と答えている。さらに現在では〝裸婚(ルオフン〟という、部屋も車も買わない結婚スタイルを指す言葉が流行。今や〝買車買房〟は結婚の絶対条件ではなくなっているようだ。

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結婚証を取得しよう

中国では、婚姻は許可制となっている。国際結婚の場合、それぞれの国内に戸籍を置いていないため、本人確認や独身証明を各国で発行し、提出しなければならない。中国人配偶者の出身地により対応が異なる場合があるので、事前に管轄の民政局へ確認すること。

まずは「婚姻要件具備証明書」を取得しよう。日本で取得する場合、法務局で必ず本人が申請すること。次に外務省総領事部で公印証明をもらい、それを持って在日中国大使館へ証明印を申請する。その後、上海市内の翻訳会社に同書類の中国語訳文の作成を依頼し、会社公印が入った証明書をもらうこと。

必要書類Bがそろったら、管轄地域の民政局にて婚姻手続きをする。書類に不備なく、婚姻が認められると、数日以内に夫婦に各1通ずつ赤い手帳「結婚証」が公布される。

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ビザを取得しよう

結婚手続きが完了したら、次はビザの切り替えが必要となる。切り替えには帰国が必要なので、この時に日本での結婚の届け出を済ませよう(詳しくは次ページ「日本で生活するには」を参照)。すでに中国で婚姻が成立しているため、婚姻届出用紙に証人を記載する必要はない。

ビザ申請に際して、まずは「招聘状」を作成する。配偶者の身分証コピーが必要となるため、事前に用意しておこう。日本へ帰国したら、中華人民共和国駐日本国大使館・領事館に必要書類Cを提出する。申請が受理されたら、中国へ入国後30日以内に「上海市公安局出入境管理局」へ必要書類Dを提出し、居留許可を申請しなければならない。配偶者との関係を記載した書類が必要となるので、「招聘状」を持って行こう。問題がなければ約2週間で居留許可が下りる。future-4

配偶者の在留資格申請

日本の市区町村役所へ結婚届けを提出し届出が完了すると、婚姻関係が記された戸籍謄本が新たに編纂される。中国人配偶者と日本で生活するには、必要書類Fを持参し、日本の法務省入国管理局にて「在留資格認定証明書交付申請」を行う。

婚姻の事実があっても、審査を通らなければ在留許可は受理されない。また、結婚の契機について質問書に「交際期間が短い」や「インターネットで知り合った」などと答えると、審査が通りにくいことがある。審査を無事通過し「在留資格認定証明書」が公布されたら、国際郵便で婚姻相手に送付。配偶者はそれを受け取り、在中国日本大使館・総領事館へパスポートとともにビザを申請する。

幾多の手続きと山ほどの書類を乗り越え、やっと国際結婚は成立する。末永くお幸せに!

国際結婚の先輩にインタビュー

国際結婚の手続きは大変? 新婚ホヤホヤの先輩に質問してみよう

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2011年、東京で留学生の王さんと、友人たちとの会食でたまたま出会い交際を開始。
王さんの両親の熱心な説得もあり、2人はゴールイン!
現在は上海で夫婦2人、仕事をしながら仲睦まじく暮らす。共通の趣味は食べ歩き

新婚さんインタビュー

――今回初めて、国際結婚の手続きについて知りましたが、とても煩雑ですね。

有加さん(以下Y) そうですね、私は行政書士に頼みました。手続きの順番や必要書類についてアドバイスをくれますし、とても助かりました。

――ご自分で用意された書類はありますか?

 「独身証明書(婚姻要件具備証明書)」は必ず本人が申請しなければいけないので、自分で法務省へ行きました。私は行政書士に訳文を作成してもらったんですが、中国の民政局で断られてしまい、そこで再度上海の翻訳会社に依賴して書類を手に入れました。必要書類は事前に調べた方がいいと思います。

――日中どちらも結婚手続きを終えられましたか?

 はい、私は先に中国で結婚手続きしました。「独身証明」が必要とのことだったので。あと、日本での届け出に必要な「出生公証書」と「結婚公証書」の取得には少し手間がかかりました。

――結婚式は?

 来月に予定しています。

――おめでとうございます!

 10卓で約100名を招くつもりです。

――居留許可はどうされましたか?

 ビザはビザ代行業者に頼みました。短期親族訪問(Q2)ビザです。Q2ビザは入国管理局に居留許可申請する必要がなかったです。
※数次査証の場合は申請者国籍国、あるいは長期居留国で申請

――ありがとうございます。それでは最後に、これから国際結婚を考えている人にメッセージをお願いします。

 今は外国人であることを忘れるくらい、楽しく生活しています。
手続きは主人も協力してくれたので、2人の絆も深まりますよ!

~上海ジャピオン2014年8月29日号

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