今も変わらぬ楽しさ 中国昔あそび

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二千年以上の歴史ある遊び

公園や広場で、老若男女問わず3~4人のグループが、羽子板の羽根に似たものを蹴り合う姿が見られる。これは「毽子(ジェンズ)」という遊びで、日本の蹴鞠に近い。1人でも手軽に遊べて運動になることから、性別や年代を超えて人気の健康スポーツなのだ。

毽子は漢代が起源とされ、その歴史は2000年以上に上る。日本には、平安時代に仏教とともに伝わり、それが日本の蹴鞠に発展したと考えられているそう。

1980年代、特に女性からの人気が高かったとされる毽子だが、男性も負けていない。現在ではストレス発散のため、仕事の合間に遊ぶサラリーマンもいる。

 1人でも複数でも遊べる

毽子は、ゴムや金属でできた直径約2㌢の円形の台に、5~10枚の羽根が付いたもので、高さ約10㌢。スーパーのおもちゃ売り場やショッピングサイト「淘宝(タオバオ)」などで、1つ数元程度で手に入る。1人で遊ぶ場合、サッカーのリフティングのようにポンポンと蹴り上げ続ける。その際、足の甲ではなく足の側面に毽子を当てると真上に上げやすい。あるいは壁に当てながら遊ぶのもいいだろう。

2人以上であれば、各人の間に一定の距離を置き、落とさないように蹴り合う。ルールが簡単で動きも単純なため、ずっと続けられるはず…と考えたのが間違いだった。普段デスクワークが多く身体が凝り固まっているうえ、運動不足が重なって、足が上がらなかったり、毽子に追い付かなかったり、果ては変な方向に飛ばしてしまったりとヘトヘトに…。2回と続かない(笑)。上級者は、足を身体の前ではなく後ろに上げ毽子を背中越しに蹴り返すなんていう技を繰り出すんだとか。

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日本でも流行ったゴム跳び

「ゴム跳び」と聞いて「懐かしい!」そんな声が漏れたアナタは、1980年代以前の生まれではないだろうか。定期的に流行すると言われているゴム跳び。実は、日本でブームが起こった90年代には、中国でも流行していたのだ。

「弄堂(ロンタン)」と呼ばれる上海の下町で、かつて日常だった光景…それは、女の子たちがゴム跳びをする風景だった。中国人女性に聞くと「ゴム跳び、よく遊んだ!女の子ならみんなやったことあるんじゃないかな? 歌に合わせてゴムの間をステップするの。ステップは何種類もあるんですよ」と口を揃えて言う。

 歌に合わせてステップ

中国のゴム跳びでは、ゴムズボンの腰周りに使うようなゴムで長いタイプ(8コール、3㍍ほど)を輪にして、2人の両足に掛けて2㍍ほど離れて立ち、もう1人がゴムの間でステップを踏む、というのが基本的な遊び方。中国ではその時に、決まって歌う歌があると言う。「馬蘭花(マーランフア)、馬蘭花、風吹雨打都不怕(フォンチュイユゥダァドウブパァ)…〝花しょうぶや、花しょうぶ、吹く風打つ雨怖くない…〟」。この歌は、中国児童劇・アニメの代表作「馬蘭花」の歌で、約50年に渡り中国の子どもに歌い継がれてきたものだ。

取材班も20年ほど前の記憶を頼りに遊び始める。人の身体というのは不思議なもので、何度か練習するうちに、すっかり忘れていたステップでも踏むことができるように。ゴムは両端に立つ人のくるぶし辺りに引っ掛けて行うが、ヒザの辺りにまで高くして、難易度を上げてみても面白い。

中国人の同僚や友人と一緒に遊んで、各々のステップを見せ合うのも一興。小さい頃に、ほとんど同じもので遊んでいたという偶然に、盛り上がること間違いなし。

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「沙包」は母の手作り

「お手玉」と言えば、昔の日本でも女の子にとって遊びの代表格として挙げられた。現在20~30代の人の中にも、小さい頃に遊んだ思い出がある人も多いだろう。中国の「丢沙包(ディウシャーバオ)」は、このお手玉に相当する。1980年代生まれの中国人曰く、小さい頃、女の子はみんな持っていたんだとか。

丢沙包は、2つを交互に上に投げたり、上に投げたものを手の甲でストンとキャッチしたりする。中には3つ同時に投げる強者もいる。

沙包は布切れに米や小豆を詰めて、立方体に作製。多くの場合母親が作ってくれ、家庭によって作り方が少し違うと言う。

時にはドッジボールに

丢沙包にはまた、お手玉とは異なる別の遊び方がある。上海っ子にとってはむしろこちらが主流で、ドッジボールのように投げて遊ぶというものだ。まずは、長さ5㍍幅2㍍ほどの長方形を地面に描くか、カラーコーンやコンクリートの切れ目などを線引きとして利用しプレイゾーンを設定しよう。その枠の外側に2人が立ち、残りの人は中へ。外の2人が沙包を、ゾーンの中にいる人に向かって投げる。中の人は、当たったらアウトで退場、沙包を手で受け止めてもいけない。

これなら前ページの跳皮筋に比べ動きが簡単なため、すぐに始められる。外の人は沙包を投げるだけだから疲れ知らずで、一方場内の人は前後から飛んでくる沙包を避け続けるのに必死…。速く投げたり、フェイクを入れたり、2人同時に投げたりと、場内を徹底攻撃しよう。

会社や語学学校などの大人数で行うBBQや旅行に「沙包」を持って行くのも◎。道中や旅先で2つ取り出して遊べば、グッと距離が縮まるはず。

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今では見ない香煙牌遊び

メンコと言えば、テレビゲームが登場する前の日本でも、男の子の代表的な遊びだった。現在、上海の30代前後に当たる男性陣もまた、幼少時代に「香煙牌(シィアンイェンパイ)」と呼ばれるメンコの魅力にハマっていた。

香煙牌とは、元々タバコの箱におまけとして入っていた図柄付きカードが由来とされている。日本のメンコと同じように、主にアニメをモチーフとした色々なデザインがあった。

当時、香煙牌で遊んだことがないという少年はほぼいなかったと言うが、今では遊んでいる風景が見られることはほとんどない。しかし、かつて遊んでいた少年が大人になった今、ノスタルジーを求めるコレクターが増加中。ショッピングサイト「淘宝(タオバオ)」で検索すると、1セット100元以上で売られているものもいくつか見受けられる。

 男子遊びの代表格で勝負

遊び方は日本のメンコとほぼ同じ。最初に攻撃する人以外は香煙牌を床や地面に置き、攻撃する人が手持ちの香煙牌をそこに叩き付け、場にあるカードをひっくり返す。ひっくり返せたら、そのカードは攻撃者のものとなるのだ。

今回は上海や北京、広東など各エリアのジャピオン表紙を使って正方形の袋状に折ったものを使用。カードができあがったらいざ勝負…が、投げれど投げれど全くひっくり返せない。何度か挑戦し、ようやく床のカードが軽く浮く程度になり、最終的に1回だけひっくり返すことに成功した。

中国人男性にとって、少年時代の思い出が詰まった「香煙牌」。レアタイプのカードを1980年代以前に生まれた人にプレゼントすれば、意外な贈り物として喜ばれるかも!?

 

~上海ジャピオン2017年9月8日発行号

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