新型コロナウイルス感染症を時系列で振り返る 2020年

中国国内の感染者数10万人

今でも世界各地で猛威を振るう新型コロナウイルス感染症。世界保健機関(WHO)はこれを「Covid―19」と名付け、この新型コロナウイルスを「SARS―Cov2」と命名した。

中国では現在、海外から中国に入ってきた人が感染していた輸入症例のほか、輸入品に付着した主にウイルスから感染した国内感染者が全国で散見されるものの、全体としては感染抑制に成功しているといえるだろう。1210日(木)17時時点で、中国国内の感染者数は累計9万4735人、治療中患者は1690人、無症状感染者201人、退院数8万8290人、死亡者数4755人。同日における新規感染者の最多は上海市の9人だが、これはいずれも輸入症例。中国大陸の都市別で見ると、輸入症例における累計感染者数トップは上海市の1036人で、ほか市中感染は349人だった。

全世界で7000万人感染

ところ変わって日本では1210日(木)17時時点で、累計感染者数は前日比2078人の17万1522人、退院者数14万622人、死亡者数2497人。なおこの数字には、新型コロナウイルス感染症に感染した中国香港出身男性が乗っていたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の感染者は含まれていない。同船の感染者数は712人だった。

日本では爆発的な大流行はなく、1日1000~2000人の増加だが、イタリアでは1127日(木)に過去最多の5万7343人、アメリカでは12月4日(金)に23万4951人の増加を記録。アメリカにあるジョンズ・ホプキンス大学の統計によると、全世界の累計感染者数は6890万人、死亡者は157万人超を記録している。

2~3月 各地で都市封鎖

年の瀬の2019年1231日(火)、湖北省武漢市政府は、武漢市民27人が原因不明のウイルス性肺炎にり患したことを公表した。それから20年1月5日(日)、世界保健機関(WHO)がこの武漢市政府の発表を認める形で、武漢市で謎の肺炎が発生していることを世界に知らせる。とはいえ国内ではこの時期、噂程度に謎の肺炎患者が出たことを聞く程度で、庶民がただちに何らかの行動を取ったわけではなかった。

しかし1月20日(月)に上海市や北京市でも同様の患者が見付かった辺りから、上海市など国内で緊張感が一気に高まり、マスクの争奪戦が始まった。一方武漢市では春節大晦日の前日に当たる23日(木)、ロックダウン(都市封鎖)を断行。同日には中国当局の指示で中国各地の映画館が休業、春節映画は相次いで延期となった。さらに、国務院が春節休暇の〝延長〟を発表。本来24日(金)~30日(木)だった休みが、2月2日(日)まで延長となる。畳みかけるように上海市政府は、一般企業には9日(日)まで、学校には16日(日)まで操業や授業再開をしないよう通達。この間、多くの人が約2~3週間の自宅待機を強いられた。

4~5月 経済活性化推進

2月10日(月)には企業が操業を再開するものの、全員自宅外でのマスク着用必須で、建物に入る時は必ず検温が行われた。3月に入り、中国に入国した人たちを対象に14日間の集中隔離ルールが適用されるように。

こうした厳しい行動制限の甲斐あってか、3月18日(水)には武漢市における新規感染者がゼロを記録。その直後、中国外交部が28日(土)から中国査証・居留許可の効果を一時停止、29日(日)からは航空会社1社につき、1カ国1路線、1週間に1フライトの〝五個一〟の国際便減便政策を実施。日本に避難していた駐在員やその家族らが、上海に戻って来られないという事態に陥った。〝鎖国〟という言葉が飛び交うほどに、外国人の間に衝撃が走った出来事だった。

5月に入る頃には、国内情勢は落ち着きを見せる。2~3月に停滞した経済を立て直そうと、上海市では大型セール「〝五五〟ショッピングフェスティバル(五五購物節)」を初めて実施したり、商業施設などにおける週末マーケットを含む「屋台経済(地攤経済)」を推進したりと、市民の消費を促す政策を進めていった。

6~8月 北京などで再発

公共交通機関や病院などを除き、マスクを着用せずとも基本的に行動できるようになった6月、首都・北京で、新型コロナウイルス感染症の新規感染者を久々に確認。場所は北京の台所的な卸売市場「新発地市場」で、そこで扱うサーモンにウイルスが付着していたという仮説が出回ったことから、刺身を出す日本料理屋などでは打撃を受けた。その後7~8月に掛けて、新彊ウイグル自治区や遼寧省大連市など各地で、小・中規模の再流行を記録した。

9~11月 ビザ緩和、上海緊張

9~10月は大きな問題がなく、国慶節休暇には国内旅行に出掛けた人も多いはず。またビザの再取得が緩和されたことから、再入国できるようになった外国人が増えた。しかし11月に入り、市中感染者を半年近く出していなかった上海・浦東新区で、計7人の新規感染者を確認。その大半が浦東国際空港の関連職員だったことから、スタッフ1万7719人に対して一晩掛けて一斉PCR検査を実施するなど、一時緊張状態が走った。

~上海ジャピオン2020年12月18日発行号

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