爆笑! 開心麻花に迫る

舞台から活躍の場を拡大

開心麻花こと「北京開心麻花娯楽文化メディア有限公司」は、2003年に創業。以来、舞台公演を基軸に据え、映画制作、バラエティ番組出演などの俳優マネジメント業、さらには専門劇場の運営などへ業務を拡大させてきた。

〝人々に娯楽を届ける〟をコンセプトに、主に舞台劇で独自の笑いを確立。特に〝新年は爆笑舞台で幕開けを〟という新しいイベントを提案し、唯一無二のスタイルを築き上げていった。

現在では全国24都市で、毎日のように舞台劇を上演。その公演数は全国でもトップクラス。年間舞台チケット総販売数の4分の1が同劇団のものというから、驚きだ。また全国各地に劇団員を擁し、少年少女劇団も設立。スター俳優を目指す若者の登竜門的存在になっている。

中国のコメディブランド

彼らが舞台の次に手掛けたのは映画だ。舞台脚本をもとに、実力派の沈騰や馬麗といった俳優陣を使って作られた映画は、これまでの総興行収入70億元を突破。中国のコメディ映画ブランドとして、中国人なら知らない人はいないほどに成長した。

作品は強烈な性格のキャラクターが縦横無尽に暴れまわり、老若男女に受け入れられるわかりやすい笑いを提供。しかし一方で、現代社会への皮肉が込められたブラックジョークを飛ばす作品も多い。そうかと

思えば、春節番組に必ず放映される「小品(コント)」では実に新年に相応しく、吉〇新喜劇さながらの、ほのぼのとした笑いを茶の間に届ける。そんな変幻自在の笑いのプロ集団が「開心麻花」だ。次のページからは、彼らの代表作品を紹介していこう。

一流コメディアンを揃える

舞台公演から始まった開心麻花は、確かな実力で、マルチに活躍する俳優・女優を多く輩出している。

同劇団の顔で、設立当時から舞台に立っているのが俳優の沈騰。数々のヒット映画で主演を務め、バラエティなどにも出演していることから、見たことがある人も多いのでは? 特定の芸や大げさなリアクションではなく、どの役でも自然体且つ絶妙な間合いのボケで笑いを取る姿は、さすが実力派といったところ。

一方沈騰と並び、コメディの女王として同劇団の看板を背負うのが馬麗。面白おかしい役どころが多いが、素顔はとても美しい。映画『夏洛特煩悩』で、ダメな夫を支える恐妻役がハマり〝国民の妻〟と呼ばれるように。現在はこの2人がトップスターだが、次期トップとも囁かれる艾倫や常遠の活躍にも注目したい。

20億元超えヒットが続々

開心麻花の代表作といえば『夏洛特煩悩』だ。2015年に公開された同映画は、興行収入14憶4100万元を記録し、ダークホースとして人々を驚かせた。誰もが持っている初恋や学生生活の思い出に、懐かしの音楽、笑いを散りばめながらも真実が込められた結末が共感を呼び、大ヒットを記録した。

18年公開の『西虹市首富』は興行収入25億4800万元と、同劇団歴代最高を記録。10億元という巨額を短期間で使い切らなければならない…という斬新なアイデアと、それに伴う豪華な演出が観ていて気持ちがいい。そして最新作の『跳舞! 大象』では、ダンスを通じた成功物語にも挑戦。一方で、太っている人や同性愛で笑いを取るスタンスには批判も出ており、時代に合わせた笑いの提供が課題とも指摘されている。

劇団の真骨頂がココに

年間何百もの公演をこなす開心麻花劇団。上海市でもほぼ毎日、市内の各劇場で舞台劇を鑑賞できる。

字幕がないので、かなりの中国語力が必要になるが、舞台劇では映画よりもさらに〝強烈な〟ジョークを突っ込んでいる印象。先に紹介した映画作品も、元々は舞台で演じられていたものがほとんどだが、映画化でかなりマイルドな笑いに変換されたのだな、ということが伺える。笑いはもちろん、殺人シーンなどは迫真の演技に圧倒されることも。

この舞台公演では、各都市にある劇団の団員が登場。上海市は「上海開心麻花」から、新進気鋭の劇団員が演じる。同劇団の真骨頂はやはり舞台。本気の〝笑い〟を肌で感じてみては?

~上海ジャピオン2020年12月4日発行号

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