上海釣り日記

スポーツとしての釣り

釣りと聞くと、おじさんがのんびりと簡易イスに腰掛けながら楽しむもの、というイメージを持っている人は多いのでは? しかし、釣りはスポーツフィッシングとして若い人にも人気のスポーツ。釣りの大会も開かれるほど、れっきとしたアクティビティとして世界中で愛好者(アングラー)がいる。

魚のエサとなる虫などに触れるのはちょっと…という人も安心してほしい。釣りにはエサを使ったエサ釣りだけでなく、ルアーという疑似餌を使った釣り方もある。ルアーは、小魚に見立てたものに代表されるハードタイプ、ワームに見立てたものがポピュラーなソフトタイプがある。ソフトタイプは初心者が使いやすいものの遠投に不向き。一方ハードタイプは、エサが逃げ惑う感じを演出でき魚を釣りやすいものの、根掛かり(針やルアーが水底の岩や水草などの障害物に引っ掛かってしまうこと)を起こしやすいなど、どちらにもメリット・デメリットがあり、状況に応じて使い分けるのがいいだろう。

まずは道具一式を揃えよう

道具を貸し出してくれる釣り場も多いが、本格的に釣りを始めるなら、最低限の道具一式は揃えた方が◎。ルアーを使った釣りの場合は釣り竿(ロッド)、ルアー、リール、糸(初心者はナイロン製一択)、釣れた魚からルアーを外したりする時に使うペンチ、糸を切るラインカッターは必須。

そのほか、最近はだいぶ気温が高くなったとはいえ、郊外の朝晩は冷え込むことがあるため、一枚羽織る衣服や、紫外線対策として帽子やサングラスも用意した方がいい。それでは道具を揃えたところで、実際に上海の釣り場に移動しよう。

日本メーカー提携の釣り堀

今回は、編集班3人で市郊外にある釣り堀「漁楽新天地垂釣基地」にやって来た。ここは7号線の北の終点「美蘭湖」駅から、さらにタクシーで15分ほど進んだところにあり、のどかなところでのびのびと釣りに没頭できる。

ここは、日本の釣り具メーカー「シマノ」が提携している釣り場。海釣りや川釣りは自然での釣りとなるため、魚を釣るのは一定程度のテクニックを要する。一方こういった釣り堀では、人工的に造った水面に魚を放流していることから、初心者でも比較的簡単に魚を釣れるのが特徴。入口で入場料150元とデポジット100元を払ったら、いざ釣り場へ向かう。なお今回は自前の道具でルアー釣りに挑戦したが、ここではプラス50元でルアーセットの貸し出しも行っている。

ゲームフィッシングに挑戦

まずは、日本でもポピュラーなバス釣りから。バスはスズキ目の一種で、ゲームフィッシングの対象としてアメリカや日本の釣り場でよく見掛ける品種だ。あくまでアクティビティとして楽しむため、その場で水に戻すのが原則。持ち帰る場合は有料となる。

 竿にリールをセットして、エサに見立てたルアーを糸の先端に結んだら、バス釣りスタート! バスは隅っこや物陰辺りに潜んでいることが多いという、編集班の中で釣り経験者Kのアドバイスに従い、渡り橋の下や、あえて池に設置している発泡スチロール周辺に狙いを定めてみる。すると10分後、ほぼ初心者Nが持つ釣り竿に重みが加わり、バスがヒット! リールをしっかりと回すと、それほど大きさはないものの、立派なバスが釣れた。その後も時々ルアーの種類を変えたり場所を移動したりして、バスを定期的に釣っていく。中には針が魚の目玉付近に引っ掛かって流血する痛々しいシーンもあったが、釣りの楽しさに引き込まれていく。

まさかの超巨大魚をゲット

まもなくお昼の時間に差し掛かろうとした時、経験者のKが大声で残りの編集班を呼び出す。なんでも大物が釣れたとかで、彼の周りにはスタッフやほかの一般客が集まり、釣り糸の先を見つめている。リールの力だけでは釣り上げることができず、ほかの人が網で引き揚げる。釣れたのは、今まで釣れた魚の2~3倍、全長7080㌢はあろうかというコイ科の一種「パイユ(翹嘴魚)」。あまりの大きさに驚いている編集班を横目に、スタッフは記念に(?)その魚をどこかへと持って行ってしまった…。ちなみにここでは、賞金付きの魚が時々放たれるという。

初心者でも意外に釣れる

午後はバス以外の魚を釣ろうと別の区画に移動するも、魚もお昼寝をしていたのか、ほとんどヒットせず…。午後のおやつに管理人がエサをまくと、魚たちが水面をバシャバシャと踊り出し、魚がいることは確認できるのだが、疑似餌には興味がないのか全く釣れない。

夕方に差し掛かると、魚は腹を空かせて動き出したのか、強力な歯を持つガーパイクやコクレンなどが次々と釣れるようになった。最初は数時間で切り上げるつもりが結局夕暮れまで続けるほどドハマりしてしまった編集班。初心者でも十数匹が釣れ、上機嫌で釣り堀を後にした。

一風変わったエビ釣り店

郊外に釣りに行く時間がない人は、市内商業施設に構える〝エビ〟釣りレストランでエビ釣りにトライしてみよう。

ここ「正巨蝦・室内釣蝦館」は、静安寺から7号線で15分ほどの「新村路」駅近くに構える商業誌施設にあるレストラン。巨大水槽に放たれた大ブリのエビを釣りながら、実際に釣れたエビを焼いてもらって食べたり、肉や野菜などの中国BBQなどを食べたりできるという、新感覚のアクティビティ+飲食スタイルを提供する店だ。

魚を釣るより難易度高し

最初に料金を支払うのだが、釣り1人分69元~、1人分+BBQセットで118元~。その他料理メニューもあり、エビ釣りだけを楽しむもよし、料理を片手にエビ釣りを楽しむもよし。なお釣れたエビは、無料で調理してくれる。店員さんからエビ釣りのコツを説明してもらったら、今晩のごちそうを求めて釣り開始!

…ところが始めてから5分、10分と経過するも、一向に釣れる気配がない。普通の釣りと違ってエビの様子が確認できるのだが、エサにピクリともしない。水槽の側面もガラス張りとなっていることから、クレーンゲームの要領でトライしてみるも、エビがエサに食らいついたと思っても、針がしっかり引っ掛かっていないせいで逃げてしまう。1時間半程度あの手この手で頑張ってみたが、結局1匹も釣れず…。人によっては何匹も釣れていたため、普通の魚釣り以上に高度なテクニックを要するのかも。

~上海ジャピオン2021年5月14日発行号

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