新たな観光名所が誕生
浦東新区陸家嘴エリアのすぐ近く、東方明珠塔のはす向かいに満を持してオープンした「浦東美術館」。
フランス人のジャン・ヌーベルが設計、イギリスのテート・ギャラリーがコンサルを務める同館は、グローバルで開放的な雰囲気たっぷり。国際的アーティスト蔡国強の展示をメインに据え、テート・ギャラリーコレクション、ジョアン・ミロ作品展と、開館に相応しい、豪華絢爛なアート作品を展示している。
館内作品もさることながら、同館から見える景色もとってもゴージャス。2~3階に掛けて吹き抜けとなっているガラス張りの通路や、開放感たっぷりの屋上から臨む東方明珠や黄浦江、外灘は、それ自体が絵画のように美しい。アートの発信地として、上海の新たな観光スポットとして、国内外の観光客が詰めかけること間違いなしだ。
人は多いがマナー◎
オープン早々に訪れた浦東美術館は、休日ということもあり、入場に行列ができるほどの賑わいぶり。1階すぐの『オフィーリア』前は常に黒山の人だかりが出きている。係員が小まめに点検・巡回し、鑑賞マナーはしっかり守られているが、作品によっては、じっくり説明を読んでいられないところも。事前に同館公式アカウントで、説明や音声ガイドをチェックしておくことをオススメする。
現在蔡国強の作品展示を行っている2階フロアもかなりの賑わい。ここでは、彼の花火作品をVRで楽しめるコーナーをはじめ、様々なムービーを見られる視聴室もあり、人が留まりやすい。歩き疲れたらここで休憩するのも一手だ。3階のテート・ギャラリー所蔵展を挟み、4階のジョアン・ミロ展までくると人混みも落ち着き、ゆったりとした美術館らしい雰囲気に。
なお館内の気温は、作品保護のため20度に設定されており、夏でも長時間いると寒い。羽織るものを1枚持っていくと◎。
オリジナルドリンクも
作品鑑賞に疲れたら、ガラス張りの廊下「鏡庁」や屋上に出てリフレッシュ。また1階にはカフェ「SeeSow」、4階には屋上レストランを備え、そこで休憩もできる。「SeeSow」では同館コラボのオリジナルドリンクも2種用意しており、要チェックだ。なお1階のショップ「MAP SHOP」には展示作品がプリントされたステーショナリーやグラス、帽子などを販売しているが…価格がちょっと高め。お土産として買うには微妙かも!?
宇宙の知識を広める
上海市の東南、16号線終点「滴水湖」近くに開館した上海天文館。世界最大の建築サイズと、太陽系を意識したユニークなデザインが世界の注目を集めている。
同館は浦東新区にある上海科技館の分館という位置付け。科学知識の普及を目的とした施設で、科技館同様、子ども向けのコーナーや実際に触れたり体験できたりする施設も豊富だ。入場は午前・午後の2部制で、1日5000人限定。予約は一週間前から受け付けるが、現在は人気のためチケットは即完売。激しい争奪戦が繰り広げられている。
また同館では展示物だけではなく、光学太陽望遠鏡と100㌢望遠鏡も備え、太陽や月、惑星軌道の観測を行う。この望遠鏡を使った観測イベントや、子ども~大人を対象とした講座も、今後開催される予定だという。
人々を魅了する宇宙空間
星がちりばめられたトンネルを抜けると、ドーム状のプラネタリウム「天象庁」が現れ、変化に富んだ地球の映像が流れる。ここ「家園」展示スペースでは、地球を取り巻く太陽系をメインに紹介。宇宙遊泳の感覚で月、太陽などの天体を巡り、その恒星・惑星に関する知識から、地球に及ぶ影響や大気現象の構成まで、先進技術を駆使した可視化データと、インタラクティブ装置をもって楽しく学べる。リアルな月の模型の傍らには、強く照り輝いている太陽。スクリーンの前に身を置けば、熱風がサーと吹き、体感でも太陽を感じられる。
奥にはアカデミックな展示が豊富。太陽系内八大惑星の情報が表示されるアクティブボードをタッチしたり、VR体験型展示で様々な隕石を観測したり…天文学の知識をわかりやすく理解できる工夫たくさんで、男女年齢問わず壮大な宇宙世界に心が弾む。
天文・科学好きのメッカ
仮想の宇宙空間を映像で再現したハイテクな廊下を歩き、次の展示スペース「宇宙」へ。こちらでは宇宙の起源やブラックホールの成り立ちを、グラフや動くディスプレイなどで解説。中でも、ブラックホールをモチーフに設計し、吸い込まれるような曲線美が美しい出入口が圧巻だ。同館では、常設展に加え、要予約の「航向火星」「飛越銀河系」など特別プログラムを毎日4種、また「8K球幕影院」で鑑賞できる映像3選を用意。ほかにも音声ガイドやミニゲームなど、創意工夫に富んだアトラクションが多数。ファンタジーな宇宙世界に酔いしれて。
~上海ジャピオン2021年8月13日号