脱炭素へ、世界的な取り組み
温暖化対策のための国際会議「COP26」が10月末に開催され、世界的な気温上昇の防止に向けた各国の動向が注目されている。
脱ガソリン車、新エネルギー車への転換は、脱炭素化に関する重要な取り組みだ。各国は2030~40年までに、ガソリン車の新車販売禁止などの目標を設定。中国でも海南省が、30年までにガソリン車の新車販売をゼロにすることを発表している。
新エネルギー車の開発や販売がどこよりも活発なのが中国だ。「比亜迪BYD」や「蔚来NIO」といった優秀な国内新エネルギー車メーカーが台頭してきたほか、各都市も、公共バスをすべてEV車にする、EV新車には無料で車のナンバープレートをプレゼントする…など、国を挙げてEV車への転換が推し進められている。では次のページから、人気の国内モデルを紹介しよう。
元電池メーカーのEV車 日本にもEVバスを展開
国内EV車売り上げにおいて、「テスラ」と常にトップ1、2を争う大手メーカー「比亜迪BYD(ビーワイディー)」。元は携帯電話のバッテリー電池を作る会社で、携帯電話用リチウムイオン電池では世界トップクラスのメーカーだ。EV車の将来性を見込んで2003年に自動車業界に進出し、最近はトヨタなどとも提携している。ほかの大手自動車メーカーとは違い、EV者の要である電池を自社で作れることが大きな特長だ。日本にも進出し、リーズナブルなEVバスを展開している。
同社の「王朝」シリーズは5G対応、デンマークのハイエンドスピーカー「DYNAUDIO」搭載を搭載した「漢EV」がオススメ商品。EV車ならではの静かな走りで、高音質の音楽を楽しめる。
ハイテク感たっぷりの車 自動運転や高速充電も
その成長力から〝中国版テスラ〟との呼び声高いメーカー「蔚来NIO(ニオ・二―オ)」。設立からたった7年で国内人気ランキングに食い込む成長ぶりで、自動運転システム、音声ガイドシステムなど、独自のAI技術が魅力的だ。
オススメ車種「ET7」は、フロントに12・8インチの大きなコントロールパネルを備え、未来感たっぷりなデザイン。流線型のバックランプ。フラットに収納するドアハンドルなど、細かなギミックも、幼い頃に見た映画のスーパーカーのようでワクワクする。また、オリジナルの充電ステーション「蔚来換電站」では、全自動運転で車の底に付いている電池そのものを取り換え、5分ほどでフル充電状態に。ほか充電カーが出張充電するなど、アフターフォローが充実している。
大手企業から出資を受ける ポップでリーズナブルな車
先の「NIO」、この後の「理想」と並び、中国3大新興EVメーカーといわれる「小鵬汽車(シャオペン)」。同メーカーのCEOである何小鵬氏は、かつてウェブブラウザの「UC」を立ち上げ、その時に「小米(シャオミ)」から出資を受ける。後に「UC」は「阿里巴巴集団(アリババ・グループ)」に買収され、彼はその後独立して「小鵬汽車」CEOに着任した。そんな経歴から、大手IT企業2社と深い繋がりを持ち、何度も出資を受けている。また車だけでなく、ほかメーカーとコラボしたスマートウォッチやクッキーも販売するなど、経営が手広い。
同メーカー売れ筋の「G3i」は都市型SUV。ポップな色使いと、スマホを5倍に大きくしたような操作パネルが特徴的だ。約15万元と、値段も他メーカーと比べてグッとリーズナブル。
高卒起業家の挑戦 SUV一点集中の販売
「理想ONE」のCEO、その名も李想氏は、元々自動車情報プラットフォーム「汽車之家」を創業・運営していたやり手の起業家。有名大学卒業出身者が多い中国起業家のなかで、異色の高卒起業家としても注目を浴びている。
同メーカーの車は「理想ONE」一種のみ。航続走行距離は驚きの1080㌔を実現し、ガソリンエンジンで発電できるレンジエクステンダーEVで、EV車の充電設備が必ずしも整っていない郊外や中国内陸部への長距離旅行にも適している。シックで落ち着いたデザインで、家族で使いやすい広々とした内装設計だ。
この「理想ONE」は10月末に生産台数が10万台を突破した。今後もSUV一本で生産を進め、近日にもう1車種、2023年までに2車種をリリース予定だという。
~上海ジャピオン2021年11月5日号