上海ジャピオンコラム・リサーチ
小小説 第21話 人間五十年
「人間五十年、下天の内を比ぶれば夢の如くなり、一度生を享け、滅せぬもののあるべきか」 これは織田信長が最も好きな歌だった。信長は安土桃山時代で一番の奇人だったと言っても言いすぎではないだろう。1534年に、ひとつの危機が…
小小説 第20話 針鼠のジレンマ 後編
お夏の葬儀から家に帰る途中のバスで、僕は彼女がいつか話した二匹の針鼠の物語が脳裏に浮かんでいた。雪と氷に閉ざされた森に二匹の針鼠。外は寒く、いつ凍え死にするかわからない。二匹の針鼠は互いに相手のことを心配して、自分の体温で相…
小小説 第19話 針鼠のジレンマ 前編
女は男より強いはずだろう。そうでなければ、なぜ神様が人間を造った時、男より女の寿命を長くしたのか。男は愛する人を失う苦痛を堪忍しなくてもいい。自分の愛する人より早く死ぬことが一番の幸せだ。そして一番利己的だ。目を…
小小説 第18話 隙2~今日もお風呂に入ったの?~
12月下旬のある日、母さんから電話があった。「毎日お風呂に入って服も替えているんだって?? 夏はまた別として、冬は寒いし、毎日ずっと座って本を読んでばかりで、激しいスポーツを全然やらない。 汗もかかないくせに…。月夜に提…
小小説 第17話 隙~明日何を着るか~
「ばか、今は何月だと思っているの。まだ長袖シャツを着ているなんて…」 久しぶりに南京から僕のアパートを訪れた母さんが、僕に会ったとたんに言い出した話がこれだ。「どちら様が6月に長袖を着てはいけないと、お決めになったのか。僕は二百…
小小説 第13話 珊瑚夫人
「やはり珊瑚はとても美しい。ただし、その美しさの下にどれくらいの屍が積もっているのかなあ」 今日まで、私はずっとこの言葉を忘れられない。友達のお虫が死んでいくとき、この話を何度もぼそぼそとしていたのだ。 あっ、自己紹介を…
小小説 第12話 藤蔓の日記
4月12日 日曜日 晴れ----曇り 向こうの奴を見ると、また高くなったみたいだ。そいつの蔓はそろそろ三階の露台に這い上がる。そのスピ―ドなら、すぐに屋根に這い上がるに違いない。では、私は? 高さは相変わらずこの藤棚と同…
小小説 第11話 天使の背中 後編
周りは暗くなってしまった。風がますます厳しく吹いてきた。風は身の毛をよだたせる化け物の声のように吼えたけり、暗い空に響いた。 母さんを探している小白鳥は道に迷い、寒さに飢えていた。不案内な所で一夜を明かすしかないと思う…
小小説 第10話 天使の背中 前編
生い茂った花や緑に囲まれた大きな池には、白鳥の親子が2人で暮らしていた。 毎日、白鳥母さんは食べ物を探しに出かけた。小白鳥はこの格好の遊び場で、母さんの心配をよそに泳ぎまわったり石の上から飛び込んだりと元気いっぱい。「安全…
小小説 第9話 石段の文句
ある山の奥に1つの大きな石が静かに眠っていた。ある日、一人の若い僧侶が薪を切りに山に登った。帰る途中、彼は何気なくその石に目をとめ、「なかなか良い石のようだ。寺へ持ち帰ったら何かの役にたつかもしれない」と思った。 しか…








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