食道をゆく 第55回 太谷餅

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タイグービン
太谷餅
~山西省晋中市太谷県~

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ずっしりと食べ応えがある太谷餅は、1個約3.5元

〝餅〟好き夫人のリクエスト
職人たちの知恵の結晶

 山西省の無形文化遺産にも登録されている、伝統あるお菓子、それが「太谷餅」だ。
ずっしりとした手のひら大のサイズで、ほんのりと甘い。
由来の地は読んで字のごとくなのだが、その誕生のきっかけを生み出したのは、
自分の好物に対し、飽くなきこだわりを見せた、あるお金持ちの夫人だった。
 その夫人が太谷県に暮らしていたのは、清朝中期の康煕年間のこと。
彼女は「餅子(粉を練って焼いたもの)」が大好物で、毎夜のごとく様々な種類のものを食べていた。
ところがある日、ついにあらゆる種類の餅子を食べ尽くしてしまったため、「これは硬すぎる」、
「これは油っぽい」などと難クセをつけては、使用人たちに新しい餅子を探しに行かせていた。

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明代初期からの街並みを残す、世界遺産・平遥古城

 するとこの話を聞きつけた餅子屋の店主が、夫人の気に入る新しい餅子を作って持っていけば、
大層な褒美がもらえるに違いないと考え、早速ベテランの職人たちに開発するよう言いつけたのだ。
そこで職人たちは知恵を絞り、小麦粉に白砂糖、ゴマ油などを加えて練り、
独自の製法で今までにない食感の餅子を作りだすことに成功した。
こうして完成した餅子は、夫人の気に召したのはもちろんのこと、多くの人々に好んで食されるようになった。
そして県を代表する食べ物として県名をそのまま取って「太谷餅」と名付けられ、今日まで愛され続けてきたのだ。
 焼き立てもいいが、3カ月~半年ほど保存がきくのも太谷餅の魅力。
大量に買い込んで帰り、餅子好き夫人になりきって、飽きがくるまで夜な夜なむさぼるのも良いかもしれない。

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【アクセス】
①上海虹橋空港から太原武宿空港まで飛行機で約2時間。
列車に乗り換えて太原から太谷まで列車で約1時間、硬座11元~
②上海から太原まで直達特別快速列車で約13時間、快速列車で約20時間。
太原から太谷まで列車で約1時間、硬座11元~

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~上海ジャピオン2月25日号

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