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4月5日(火)は「清明節」。
中国では、清明節の前日に「寒食」(火を使わない料理)を食べるという風習があり、
毎年この時期になると、コンビニをはじめ、上海の至る所で「青団(ヨモギ団子)」が売り出される。
そこで、まずはこの団子から挑戦。
数ある青団の中で今回食べたのは、老舗食品店で販売されていた、これまた〝老舗〟の青団。
老舗というだけに、店頭には団子を買い求める客の長い行列ができていた。
やっとの思いで手にした青団は、つやつやとした緑色をしており、持ってみるとずっしりとした重みがある。
一口かじってみると、ふわっとヨモギのいい香りに襲われ、同時に中から柔らかいこし餡が顔を出した。
シッカリとした歯ごたえの皮に、程よい甘さの餡が絡み、2、3個はペロリといけそうだ。
清明節は、青団で中国文化の一端を味わってみてはどうだろう。
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青団を買った店で、気になる団子を発見。
「花色?団・金団」と言う名で、おせち料理でお馴染みの「栗金団(きんとん)」を思わせるネーミングだ。
栗金団的な味なのか知りたくなり、購入した。
早速頬張ってみると、栗金団とは無縁の味で、見かけ通りきなこ餅に近かった。
しかしながら、日本のきなこ餅を想定して口に入れたとしたら、
予想をはるかに上回るきなこの濃厚な味にビックリすることだろう。
それもそのはず、中の餡まできなこの餡なのだ。
また口当たりは柔らかく、どことなく懐かしさを感じる甘さは、緑茶や抹茶との相性も◎。
売り子のおばちゃんによると、きなこには便秘の改善など健康や美容にも良いとのことなので、
そのきなこを美味しくたっぷりとれる金団は、なかなか優秀なスイーツかもしれない。
女性なら、常に家にストックしておきたいお菓子だ。
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「双醸団」も沈大成の定番団子ということで、押さえてみることに。
この名前は、直訳すると「2つが醸し出す団子」となる。
何が2つなのかと店員に尋ねると、黒ゴマ餡とあずき餡の2種類の餡のことという答えが返って来た。
白い粉がまぶされたそれの姿は、雪を頂いた山のようでとても上品だ。
その白雪のような粉は、日本の大福と同じ片栗粉か何かだろうと思って食べたら大間違いだった。
正解は、ココナッツ。
食べるとすぐに、口中一杯にココナッツの香りが充満し、
その後、じんわりと黒ゴマの香ばしい香りが漂ってくる。
白いココナッツと黒ゴマ…色は正反対だが、
ココナッツのシャリシャリ感とゴマの香ばしさの2つがマリアージュすると、
南国風の爽やかさが感じられるようだ。
「2つが醸し出す」ものは、実は南国の味わいなのかもしれない。
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上海で点心、お菓子と言って外せないお店といえば、100年以上の歴史を誇る「杏花楼」。
同店は月餅が有名で、中秋節の時期には多くの人が同店の月餅を求めて列をなす。
ここでは、「紅豆菓子」という団子を買ってみた。
「紅豆」は、日本でいうあずきのことで、このお菓子はいわゆるあんこ入りの団子ということになる。
名前はいたって普通で、形も無骨な部類に入るので、とりたてて気にもせず、半かじりしてみた。
すると、なんと中の餡は、こし餡とつぶ餡のミックスになっていた。
こし餡派もつぶ餡派も楽しめる作りに、少々感動。
餡は比較的甘く、しばらくすると何やらほのかにバラのオシャレな香りが漂ってきた。
バラのエッセンスが加えられているようだ。
見かけだけで判断してはいけないよ! そう話しかけられた気分になる団子だ。
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杏花楼でさらに別の団子を探していると、その名も「和菓子米点」というものを発見。
和菓子という文字に惹かれて見ていると、
「日本のお菓子を真似たお菓子で美味しいよ」と店員さんが話しかけてきた。
中国版和菓子とはなんぞや。
それを確かめるべく、手始めに栗味の〝和菓子〟を購入した。
開封してみると、小ぶりの大福のような団子が出現。
口当たりも大福のようで、皮部分が柔らかく、日本の何処かで食べたような和菓子を思い出す。
栗の香りが食欲をそそることもあるが、団子自体がかなり小ぶりなので、日本の大福が好きな人なら、
1個だけでは物足りなく、ついつい2個、3個…と手が伸びること間違いなしだろう。
今回購入したのは栗味だが、他にもオレンジや抹茶、あずきなどもある。
様々な種類の〝和菓子〟を買って、食べ比べしてみてはいかが?
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上海でもお馴染みのコンビニ・ファミリーマート。
日本のコンビニというだけに、日本人の口に合う団子があるのではと思い、入店してみると、
すぐ目に飛び込んできたのは「中式?点(中国式お菓子)」シリーズの「芝麻団(ゴマ団子)」。
パッケージには桜の絵柄が施され、和の雰囲気を醸し出している。
団子の表面は、白と黒のゴマで埋め尽くされ、身体に良さそうな印象。
封を開けるとふわっとゴマの香りがし、ちょっとかじると、
ゴマのしっかりした歯ごたえと柔らかい生地のハーモニーに心地良さを覚える。
ゴマの香りを楽しみながらもう一口食べると、柔らかいこし餡が顔を出した。
香ばしいゴマのプチプチ感と、こし餡のしっとり感の絶妙なコンビネーションは絶品だ。
この団子シリーズには、金団などもあるので、色んなコンビネーションを楽しみたい。
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上海には、地元の伝統あるお菓子専門店以外にも、
中国台湾発祥の食品メーカーも進出してきている。
その代表的メーカーは、「元祖」。
団子の発祥・元祖を名乗っているものはないかと思い、お店に行ってみた。
するとどこかで見覚えのあるピンク色のお菓子があった。
それは、春の象徴である桜をモチーフにした「桜花大福」だ。
この大福はその名に反して、見た目はずばり桜餅で、きちんと塩漬けされた桜の葉までついている。
早速頬張ってみると、桜の葉から発せられる独特の甘い香りが口中に広がる。
餅部分にまで桜の葉が練りこまれているからか風味豊かだ。
香りも味も桜餅に限りなく近く、唯一違うところは、
もち米のつぶつぶ感がないところだけといってもいいかも知れない。
ケースには、桜の枝をモチーフにしたワンポイントが施され、お土産としても喜ばれそうだ。
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お菓子屋「元祖」にて中国版桜餅に目を奪われている横で、
ぱっと見、小ぶりのコロッケのように見えるお菓子をレジに運ぶ人がいた。
この興味深い形が気になり、パッケージをじっくり見ると「花生」と書いてある。
ピーナッツ味の団子ということなのだろう。
形の面白さにつられ、自分も1つ購入してみることにした。
見た目と同様、割と歯ごたえのある生地にかぶりつくと、中からピーナッツバターのような餡が飛び出す。
甘さ控えめの餡の中には荒削りのピーナッツが散りばめられていて、
その歯ごたえが団子の食べ応えを演出する。
また店員さん曰く、ピーナッツは、アンチエイジング効果や、
新陳代謝・血行の促進などの効果が期待できるそうなので、毎朝朝ご飯代わりに食べると若返るかも!?
とはいえ、ピーナッツはカロリーが高いため、食べすぎには注意したい。
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あまりにも多くの団子がある、お菓子屋「元祖」。
表面に、アーモンドのスライスを散りばめた団子もあった。
「棗泥」というシールが貼ってあるということは、
ナツメをすりつぶして作った餡が入った団子だろうと、名探偵並に推理。
自分の推理の正さを証明するためにもと、これまた食べてみた。
正解かハズレか…期待と不安が入り交じりながら、半分だけかじってみると、現れたのは、
こしあんに粒状のアーモンドが入った餡で、ナツメは入ってはいるものの、味はほとんど感じられなかった。
ということで、推理は限りなくハズレに近い正解ということに。
ナツメ味を期待して買うとガッカリしそうだが、餡自体はしつこくないので、
アーモンドの食感を楽しみつつ、さっぱり味わえる。
ちなみにこの元祖の糯米団シリーズには、甘味を抑えた緑豆味や抹茶味など、種類が豊富だ。
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最後にお菓子専門店にも行かずとも、一般スーパーで簡単に一年中買える団子はないだろうかと、
大型スーパー・TESCO(楽購)に行って思い出したのが、「湯圓(餡入り白玉団子)」の存在。
中国では、旧暦1月15日にあたる「元宵節」に食べる伝統的団子だ。
今回買ってみたのは、巷でもっぱら美味しいと噂される、龍鳳ブランドの湯圓。
中でも最も代表的な黒ゴマ入りをチョイスした。
すぐにでも食べたいところだが、スーパーで売られる湯圓は冷凍されているので、
調理が必要となるが、作り方は簡単。
沸騰したお湯の中に湯圓を入れ、浮いてきたら弱火にし、少しボイルしたら出来上がりだ。
食べてみると、中からとろりと黒ゴマの餡が溶け出す。
団子の程良い温かさと、イライラを抑える鉄分たっぷりの黒ゴマの甘い味わいに、心の底からほっこりしよう。
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~上海ジャピオン4月1日号