春は新茶でのんびりと③:洞庭碧螺春

【繊細かつ芳醇な洞庭碧螺春】
 日本語読みで「へきらしゅん」というこのお茶は、江蘇省の南、太湖にある洞庭東山と洞庭西山の丘陵地帯で栽培しており、龍井茶と肩を並べる中国2大緑茶のひとつだ。生産量が限られているため希少価値も高い。
 碧螺春の特徴は、湯を注いだ瞬間にふわりと立つフルーティーな香り。そのわけは、果樹園のそばで栽培しているため、茶葉が桃や枇杷などの甘い果実の香りを吸い込んでいるからだ。周囲の香りに影響されやすい緑茶の特性を充分に生かしている。ただし、品質によっては香りがほとんどわからない場合もあるので、香りを楽しむなら出来るだけ質のよい高価なものを選ぼう。

【極上の品質 にごる水の秘密】
 茶葉は、龍井茶と同じく「一芯一葉摘み」。表面を覆う毛茸(もうじ)と呼ばれる細かいうぶ毛は若い芽にほど多く、碧螺春のおいしさの秘密とも言われている。デリケートな毛茸は湯に触れた瞬間、葉から離れ漂い、水の色をにごしてしまう。しかし、言い換えれば、碧螺春はにごるほど高品質ということだ。茶葉を購入する際の判断基準として、この毛茸に注目してみるのも良いだろう。
 繊細な茶葉を傷付けないように、先に湯を注いでから茶葉を入れる上投法は、まさに碧螺春にぴったりの淹れ方。繊細な香りと味わいを壊さぬよう、湯の温度は若干低めの75~80℃で。湯の上に落とした茶葉は、水面に浮かばずに瞬く間に底まで落ちていく。
 水色は淡い黄緑色。香り、味ともに上品で、西湖龍井茶とは対照的に「内在香」と表現されている。通好みといわれる味わいは、中国では特に年配の人に人気がある。
 温度をさらに低めの50~60℃に設定すると、より甘味を感じることができる。果樹園育ちの碧螺春を120%楽しみたいなら、この飲み方もおすすめだ。
 茶菓子と共に頂くなら、お茶の風味をそこなわない薄味のものをセレクトしよう。

【九星茶葉批発市場】
 都心から少し離れた総合卸売市場の一角にある茶葉市場。茶葉全般を扱う総合店から、碧螺春や龍井茶などひとつの銘柄に特化した専門店まで、約500店舗が並ぶ。また、茶道具専門店では、茶器を8元ぐらいから販売している。郊外にあるため、全体的な相場は市内と比べリーズナブルになっている。アクセスは、上海体育館向かいのバスターミナルから764番のバスに乗り終着点のひとつ手前「九星路」バス停で下車。所要時間は約45分。

住所:閔行区7賽九星綜合批発城内
   漕宝路6号橋(星東路×平南路)
営業時間:8時半~20時(無休)
アクセス:上海体育館からバス764番に乗り、「九星路」で下車

~上海ジャピオン2006年4月7日発行号より

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