2週連続でお送りしている「春のカフェ特集」。
後編でご紹介するのは、朝に行きたいカフェ。
意外と知られていない、早朝からオープンしているカフェの数々を、
上海に暮らす5人の目線で紹介しよう。
春はカフェで過ごす・後編
1日の時間をもっと有効に使えたら。その答えは、朝にあった。
日を追うごとに気温が上がり、日が長くなっている上海。そんな今だからこそ、朝を楽しんでみるのはどうだろう。
街角には、そんな生活を応援してくれる、早朝オープンのカフェが点在している。テラスがあったりサンルームがあったりと、趣向はそれぞれだが、いずれにしても気持ちの良い朝が迎えられるはずだ。
今回は、そんな朝カフェの虜になった5人の話を紹介しようと思う。
(左写真)a Future Perfect ア・フューチャー・パーフェクトのガーデン
【a Future Perfect ア・フューチャー・パーフェクト】
秘密にしたい場所がある
上海ブロガーの苦悩
上海に来てからというもの、すっかりブログの楽しさにハマっている。どこに行くにもマイカメラを連れて行き、週2、3回のペースで更新。そうしているうちに、いつしか友人の間ではちょっと名の知れたブロガーになっていた。
特に、レストラン情報は評判が良い。というわけでここ最近は、新しい店の開拓とその情報のアップに夢中になっていた。…だけど、それがとびきりの隠れ家レストランとなると話は別。紹介したい気持ちは山々だが、しばらくは独り占めにしておきたいというのが本当のところだ。
この店もちょうどそんな感じで、先月末くらいに見つけて以来、未だに秘密にしたまま。きっと、言わない限り知られることはないだろう。それくらい、外からはわかりにくい場所にある。
店内は広く、奥には小さなガーデンも。中でもお気に入りは、朝の空気を全身で感じられるこのサンルーム。今は季節もちょうど良く、ポカポカ陽気の下で朝ごはんをゆっくり食べるのが、私にとって最高に贅沢な時間なのだ。
パンをすべて店内で手作りしているというのもポイント高し。全粒粉パン、雑穀パン、コーンパン、そしてなんとトマトパンまで、とにかくバラエティー豊かでいつもO型の私を苦しめる。
本当は教えたい、でもやっぱりもうちょっと秘密にしていたい。そんな葛藤を続けていたが、今日ついにアップすることに決めた。
(写真)朝食のメニューは全16種類。右のフレンチトーストは45元。
厚切りパンとフレッシュな果物が食欲をそそる。
◇a Future Perfect
華山路351弄16号(×常熟路)
TEL: 6248-8020
営業時間: 7時~22時半(ラストオーダー)
座席: 100席以上
【Art Deco Garden Cafe Bar アート・デコ・ガーデン・カフェ・バー】
オールドホテルには
モガの気分で出掛けたい
思えない、特別な「庭」を見つけた。それは瑞金賓館の中にあって、隣接するカフェがその庭を眺めるのに格好の立地なのだ。
午前8時半。私はそのカフェのサンルームに腰を下ろした。トーストの焼ける朝の匂いの中、緑あふれる開放的な景色を眺めていると、向こう側に、女性がひとりで座っているのに気が付いた。髪をショートにしてエリ元を詰めたその女性は、ちょっとお高くとまった感じで、お行儀よろしく腰をおろしていた。どことなくレトロで、ちょうど「モガ(モダン・ガール)」のような雰囲気だ。
モーニングセットはドリンクとフードがセットになって一律36元。
トーストやハムサンド、ガーリックブレッド、そしてコーヒー、ミル
ク、フルーツジュースなどから選べる。
そのとき、私のテーブルに、先ほど頼んだエッグサンドとヨーグルトドリンクが運ばれてきた。景色ばかりに気を取られていたのだが、ひとくち食べて驚いた。エッグサンド…いや、特にそこにサンドされているトマトが格別な味わいなのだ。フレッシュでジューシー、その上ほのかな甘みとフルーツのような香り。つい、まじまじとエッグサンドを観察してしまったほどだ。
そんな私をよそに、そのモガは相変わらずすまして、コーヒーを頂いている。私もそんな彼女を真似て、背筋をピンと伸ばし、モガを気取ってヨーグルトに口をつけた。
◇Art Deco Garden Cafe Bar
瑞金二路118号瑞金賓館3号楼(×復興路)
TEL: 6472-5222×3006
営業時間:8時半~翌1時
座席: 約70席
【BOONNA2 Cafe ボンナ2・カフェ】
出来る女性はここが違う
ゆとりの時間が作るもの
わからない。なんであんなに仕事がデキるのか、私にはさっぱりわからない。
先輩はいつも至って自然体で、力んだ感じは全くない。デキる理由を聞いてみると「なんなら明日、付き合ってみる?」と言うので、「ぜひ!」とお願いした。
朝8時。私たちは復興路と永福路の交差点で待ち合わせ、近くのカフェに入った。
「座って」
ドギマギする私とは対象的に、慣れた様子の先輩。
「実はね、2カ月くらい前から通ってるのよ」
夜型だった生活を2時間早めて、週に数回、出勤前にここに来ていると言う。軽く食事をして、9時頃に出社。10時の就業時間までに、こまごまとした仕事を一気に片付けてしまう。それが秘密だと教えてくれた。
シリアル(Museli)はコーヒーとセットだと35元。単品の場合は
25元ととても手頃。朝のメニューはこのほか全11種類で10~35元。
週末のホリデーブランチ(68元)も人気が高い。
ジューサーの音を聞きながらその話に頷いていると、フルーツとヨーグルトが盛りだくさんのシリアルが運ばれてきた。彩りがきれいで、いかにも健康そう。ゆっくり朝ごはんを食べ、コーヒーを飲む。いつもなら、まだ寝ている時間だというのに、なんだか不思議な感覚。
「じゃそろそろ行こうか」
時計は、あと10分で9時をまわるところだった。
◇BOONNA2 Cafe
復興西路57号(×永福路)
TEL: 6433-7142
営業時間:7時~翌1時
座席: 約25席
【wagas ワガス】
朝からしっかり食べたい
そんなフレッシュマンに
社会人1年生の生活も慣れてきた頃、南京西路の伊勢丹横にある「wagas」が、行きつけになっていた。
入ってすぐ目の前にあるガラスケースには、いかにも新鮮そうな野菜と、クロワッサンとか甘そうなチョコケーキとかが並んでいる。
写真の「ワガス・ビッグ・ブレック・
ファースト」(通常56元)を含むモー
ニングメニュー全10種が、10時まで
は半額に。
モスグリーンのソファ・チェアに座って料理を待つ間、ノートパソコンを取り出してネットをするのも、もはや日課になっている。仕事をしている、と言いたいところだが、実際は、チャットやネットゲームに夢中なのだ。
まもなく、僕の頼んだ「ワガス・ビッグ・ブレック・ファスト」がやってきた。いつもながらのボリューム感だ。このカフェが気に入っているのは、こうしたメニューが朝は半額になるから。食欲旺盛の僕を満足させてくれるには充分の量と優しい値段。
今のところ、ここ以上のカフェは見つかっていない。
◇wagas
南京西路1168号地下1階11A室(×陝西北路)
TEL: 5292-5228
座席: 約50席
【Keven Cafe Restaurant ケビン・カフェ・レストラン】
散歩帰りのつまみ食い
週に1回だけだから
定年を迎え、少しでも体を動かそうと、朝の散歩を始めた。徐家匯公園を1時間ほど歩き、その後近く喫茶店で休憩を兼ねてまどろむ。大きな声では言えないが、ここに来るのにはもうひとつ理由がある。
同店のオススメは、写真手前の
モーニングセット(50元)。こ
のほか、フレンチトースト(22元)
も人気が高い。
ウェイトレスにいつもと同じモーニングセットを注文し、その後少し考えて「じゃあ今日はスクランブルエッグで」とひと言。そう、私は卵に目がないのだ。なのに、先日とうとう妻に卵禁止令を発令されてしまった。そんなわけで、週に1度だけと心に決めて、ここでこっそり卵を食べているのだ。
この店はなんと言っても、卵の調理方法を自分で選べるのが良い。スクランブルエッグにゆで卵、目玉焼きに至っては片面焼きか両面焼きまで。
良い具合に半熟になったスクランブルエッグが私の前に運ばれてきたところで、私は「待ってました」と言わんばかりに、年甲斐もなくうきうきとフォークを伸ばした。
◇Keven Cafe Restaurant
衡山路525号(×建国西路)
TEL: 6433-5564
座席: 約100席
⑤PAUL 淮海路店
オープン後数週間の準備期間を経て、この4月に再オープンを果たしたばかり。軌道交通1号線の陝西南路駅から徒歩3分と好立地なこともあり、早朝から欧米人ビジネスマンらで賑わっている。
淮海中路843号(×茂名南路)
TEL: 5465-9350
営業時間: 7時半~22時
⑥La Casbah珈琲館
このほか、人民路、浦城路にも店舗を構える。店内はこじんまりとしているが、明るく活気が絶えない。3種類のパンから選べるサンドイッチは全6種。そのほとんどが28元と、朝でも利用しやすい。
淮海中路1554号(×高安路)
TEL: 6471-2821
営業時間: 8時~23時(日曜は22時まで)
⑦Cafe 85度C
地元、中国台湾ではスタバを超えるとも謳われる超人気カフェチェーン店。パンの相場はほとんどが10元代と手ごろな上、種類も豊富。ドリンクもケーキも本格的な味わいで、ここ上海でも絶大な人気を誇っている。
威海路600号(×茂名北路)
TEL: 6218-7693
営業時間:24時間
~ジャピオン4月18日発行号より